壮年期の心身の特徴を理解しよう
看護師国家試験 第105回 午後 第84問 / 成人看護学 / 成人の特徴と生活
国試問題にチャレンジ
壮年期の特徴はどれか。2つ選べ。
- 1.骨密度の増加
- 2.味覚の感度の向上
- 3.総合的判断力の向上
- 4.早朝覚醒による睡眠障害
- 5.水晶体の弾力性の低下による視機能の低下
対話形式の解説
博士
第105回午後203は壮年期の特徴を2つ選ぶ問題じゃ。
アユム
博士、壮年期は何歳くらいを指すのですか。
博士
おおむね30歳代から60歳前後までの時期で、身体機能のピーク後の低下と社会的成熟が同時に進む移行期なんじゃ。
アユム
正解は何番ですか。
博士
正解は3と5じゃ。3の総合的判断力の向上は経験と知識の蓄積による結晶性知能の向上で説明できるんじゃよ。
アユム
結晶性知能と流動性知能の違いを教えてください。
博士
結晶性知能は知識や経験に基づく判断力で壮年期も維持・向上する。流動性知能は情報処理速度や新しい問題への対応で、若年期がピークじゃ。
アユム
5の水晶体の弾力性低下はどう起こるのですか。
博士
水晶体は40歳頃から弾力を失い、毛様体筋の調節機能も衰えて近方視力が低下する。これが老視じゃ。
アユム
1の骨密度の増加はなぜ誤りですか。
博士
骨密度は20歳代がピークで以降は低下し、女性は閉経後にエストロゲン低下で急速に減るんじゃ。
アユム
2の味覚の感度向上も違いますね。
博士
味蕾の数は加齢で減少し、塩味や苦味の閾値が上がるのじゃ。壮年期に向上することはない。
アユム
4の早朝覚醒は老年期の特徴でしたね。
博士
その通り。メラトニン分泌の減少や深睡眠の減少が関係する老年期に多い症状じゃ。
アユム
壮年期の健康課題は何ですか。
博士
生活習慣病の発症や更年期障害、LOH症候群などじゃ。特定健診の対象年齢とも重なる重要期じゃよ。
アユム
子育てと介護が重なる世代ですね。
博士
サンドイッチ世代と呼ばれる心理社会的負担も看護上注視すべきポイントじゃ。
POINT
壮年期は身体機能のピーク後の緩やかな低下と社会的成熟が並行する時期で、結晶性知能の向上と老視の出現が特徴です。骨密度や味覚は加齢により低下し、早朝覚醒は老年期の睡眠障害です。生活習慣病や更年期への対応、心理社会的負担への配慮が看護上重要となります。
解答・解説
正解は 3 ・ 5 です
問題文:壮年期の特徴はどれか。2つ選べ。
解説:正解は 3 と 5 です。壮年期はおおむね30歳代から60歳前後までの時期で、身体機能は20代後半のピークから緩やかに低下し、一方で社会的役割や経験は蓄積される「成熟と加齢の移行期」です。エリクソンの発達理論では「生殖性対停滞」の段階にあたり、次世代の育成や仕事への責任が課題となります。身体面では骨量・筋量・基礎代謝の低下、女性の更年期、水晶体の弾力低下による老視(40歳代から顕在化)などの変化が現れます。
選択肢考察
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× 1. 骨密度の増加
骨密度は20歳代でピークに達し、その後は緩徐に低下します。特に女性は閉経に伴うエストロゲン低下で骨吸収が亢進し、壮年期後半から骨粗鬆症のリスクが急速に高まります。
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× 2. 味覚の感度の向上
味蕾の数は加齢とともに減少傾向となり、塩味や苦味の閾値が上昇します。壮年期にさらに向上することはありません。
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○ 3. 総合的判断力の向上
経験や知識の蓄積により、状況判断や問題解決能力といった結晶性知能は壮年期に向上・維持されます。一方で情報処理速度などの流動性知能は若年期がピークです。
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× 4. 早朝覚醒による睡眠障害
早朝覚醒は老年期に特徴的な睡眠障害で、メラトニン分泌量の減少や深睡眠の減少が背景にあります。壮年期の典型ではありません。
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○ 5. 水晶体の弾力性の低下による視機能の低下
水晶体は40歳頃から弾力性を失い、毛様体筋の調節機能も低下するため近方視力が落ちる老視が出現します。壮年期の代表的な感覚機能変化です。
壮年期には生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)の発症が増え、特定健康診査・特定保健指導の対象年齢(40歳から74歳)と重なります。女性は閉経前後の更年期障害、男性はLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)にも注意します。心理社会的には子育て・介護・仕事責任が重なるサンドイッチ世代としての心理的負担も看護上の関心事です。
壮年期の身体的・心理的特徴と、老年期との違いを問う設問です。