ノーマライゼーション 当たり前の生活を全ての人に
看護師国家試験 第103回 午前 第5問 / 必修問題 / 健康の定義と影響要因
国試問題にチャレンジ
全ての人が差別されることなく同じように生活できるという考え方を示しているのはどれか。
- 1.ヘルスプロモーション
- 2.ノーマライゼーション
- 3.プライマリヘルスケア
- 4.エンパワメント
対話形式の解説
博士
今日は社会福祉の基本理念の問題じゃ。似た言葉が並んでおるが、正確に区別できるかな?
サクラ
博士、4つとも聞いたことはあるんですが、混同しがちなんです…
博士
そうじゃろう。1つずつ整理していこう。問題は「全ての人が差別されることなく同じように生活できるという考え方」じゃな。これに当てはまるのは2のノーマライゼーションじゃ。
サクラ
ノーマライゼーションって、どこで生まれた考え方なんですか?
博士
1950年代のデンマークじゃ。社会運動家のニルス・エリク・バンク=ミケルセンが提唱した。当時の知的障害者施設の劣悪な環境を改善する運動から始まったんじゃよ。
サクラ
デンマーク発の理念だったんですね。日本ではどう取り入れられたんですか?
博士
日本では「障害者基本法」「障害者総合支援法」「障害者差別解消法」などの基本理念に位置づけられておる。具体的にはバリアフリー化、ユニバーサルデザイン、就労支援、地域生活支援などの形で実現を図っておる。
サクラ
ヘルスプロモーションとはどう違うんですか?
博士
ヘルスプロモーションは1986年のWHOオタワ憲章で提唱された「人々が自らの健康をコントロールし、改善できるようにするプロセス」じゃ。これは健康増進の戦略概念で、ノーマライゼーションとは目的が違うんじゃな。
サクラ
プライマリヘルスケアは?
博士
プライマリヘルスケアは1978年のアルマ・アタ宣言で提唱された理念じゃ。「すべての人に基本的人権としての健康を」というスローガンで、地域住民の主体的参加を重視する第一次保健医療の考え方じゃな。
サクラ
エンパワメントも似てる気がしますが…
博士
エンパワメントは「対象者が本来持っている力を引き出し、自己決定や問題解決を促す」考え方じゃ。看護でも非常に重要じゃが、差別なく生活するという主旨とは別物じゃな。
サクラ
最近インクルージョンって言葉も聞きますよね。
博士
いいところに気がついたな。ノーマライゼーションの発展形として、近年は「インクルージョン(包摂)」が重視されておる。障害者を社会に「合わせる」のではなく、社会の方が多様性を受け入れて変わるべきという考え方じゃ。
サクラ
教育分野でもインクルーシブ教育って言いますよね。
博士
そう。健常児と障害児が同じ教室で学ぶ仕組みじゃな。さらにユニバーサルデザイン、バリアフリー、合理的配慮など関連概念も整理して覚えておくとよいぞ。
サクラ
合理的配慮って具体的にはどういうことですか?
博士
個別の困難に応じた調整のことじゃ。例えば視覚障害のある学生に試験時間を延長する、車椅子利用者のためにスロープを設置する、などじゃな。2016年の障害者差別解消法施行後、行政や事業者に提供義務が課されておる。
サクラ
看護師として患者さんの尊厳を守るうえで、これらの理念は欠かせませんね!
POINT
ノーマライゼーションは1950年代のデンマークで提唱された理念で、障害の有無や年齢等に関わらず、すべての人が地域社会の中で平等に当たり前の生活を送れる社会を目指します。日本では障害者基本法等の基本理念となり、バリアフリーやユニバーサルデザイン、合理的配慮などの形で具体化されています。ヘルスプロモーション(オタワ憲章)、プライマリヘルスケア(アルマ・アタ宣言)、エンパワメント(力の引き出し)も保健・看護の重要概念ですが、差別なく生活する理念とは主旨が異なります。看護師は患者の尊厳を守り、地域生活を支援する立場としてこれらの理念を実践する役割を担います。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:全ての人が差別されることなく同じように生活できるという考え方を示しているのはどれか。
解説:正解は 2 です。「ノーマライゼーション(normalization)」とは、障害の有無や年齢、性別、国籍などによって差別されることなく、すべての人が地域社会の中で平等に、人間らしく当たり前の生活を送ることができる社会を目指す理念です。1950年代にデンマークの社会運動家ニルス・エリク・バンク=ミケルセンが提唱し、その後スウェーデンのベンクト・ニィリエらにより理論化され、世界に広がりました。日本では「障害者基本法」「障害者総合支援法」「障害者差別解消法」などの法整備の基本理念として位置づけられています。具体的にはバリアフリー化、ユニバーサルデザインの推進、就労支援、地域生活支援などの形で実現が図られています。一方、選択肢1のヘルスプロモーションは1986年WHOオタワ憲章で提唱された「人々が自らの健康をコントロールし改善できるようにするプロセス」、選択肢3のプライマリヘルスケアは1978年アルマ・アタ宣言で提唱された「すべての人に基本的人権としての健康を」の理念、選択肢4のエンパワメントは「対象者が本来持つ力を引き出して自己決定や問題解決を促す」という考え方で、いずれも重要な保健・看護の概念ですが「差別なく同じように生活する」という問いの主旨とは異なります。
選択肢考察
-
× 1. ヘルスプロモーション
誤りです。ヘルスプロモーションは1986年WHOオタワ憲章で提唱された「人々が自らの健康をコントロールし、改善できるようにするプロセス」です。健康増進の戦略概念であり、差別の撤廃を主軸とするノーマライゼーションとは異なります。
-
○ 2. ノーマライゼーション
正しい選択肢です。ノーマライゼーションは1950年代デンマークで提唱された理念で、障害の有無に関わらずすべての人が地域社会の中で平等に当たり前の生活を送れる社会を目指します。日本でも障害者基本法等の基本理念となっています。
-
× 3. プライマリヘルスケア
誤りです。プライマリヘルスケアは1978年WHOアルマ・アタ宣言で提唱された理念で、すべての人々に基本的人権としての健康を保障する第一次的な保健医療サービスを意味します。地域住民の主体的参加を重視しますが、本問の主旨とは異なります。
-
× 4. エンパワメント
誤りです。エンパワメントは「対象者が本来持っている力を引き出し、自己決定や問題解決ができるよう支援する」という考え方です。看護では患者中心ケアの重要概念ですが、差別なく同じように生活するという理念ではありません。
ノーマライゼーションの発展に伴い、近年は「インクルージョン(包摂)」という概念がさらに重視されています。これは障害者を社会に「適応させる」のではなく、社会の方が多様性を受け入れて変化していくべきという考え方で、教育分野ではインクルーシブ教育として実践されています。関連する重要概念としてユニバーサルデザイン(最初から誰もが使いやすい設計)、バリアフリー(既存の障壁を取り除く)、合理的配慮(個別の困難に応じた調整)も併せて押さえておきましょう。看護師は患者の尊厳を守り、地域生活支援を行う立場として、これらの理念を実践する重要な役割を担います。
ノーマライゼーションは障害の有無等に関わらず全ての人が平等に当たり前の生活を送れる社会を目指す理念である。
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