エイジズムと高齢者ケア
看護師国家試験 第113回 午後 第50問 / 老年看護学 / 高齢者の理解と生活
国試問題にチャレンジ
高齢という理由で高齢者を画一的に捉え、差別することを意味するのはどれか。
- 1.エイジズム
- 2.アディクション
- 3.パターナリズム
- 4.アンチエイジング
対話形式の解説
博士
今回は高齢者差別を示す言葉を学ぶぞ。
アユム
年齢による差別を表す用語があるのですね。
博士
そうじゃ。エイジズムといって、1969年にバトラーが提唱したのじゃ。
アユム
具体的にはどんな場面で現れますか。
博士
「おばあちゃん」と一律に呼びかけたり、幼児語を使う態度などじゃな。
アユム
それは無意識にやってしまいそうです。
博士
だからこそ意識が大切なのじゃ。パターナリズムとの違いはわかるか?
アユム
パターナリズムは強い立場の人が本人の意思を尊重せず介入することですよね。
博士
うむ、年齢を理由にするとは限らん点が違うぞ。
アユム
アディクションは依存症、アンチエイジングは加齢抑制の取り組みでしたね。
博士
その通り。どちらも年齢差別を示す語ではない。
アユム
看護でエイジズムを避けるにはどうすべきですか。
博士
個別性を尊重し、本人の強みに目を向ける関わりが基本じゃ。
アユム
説明を省略せず、意思決定を支える姿勢が大事ですね。
博士
よく理解したのじゃ。権利擁護の視点を忘れぬようにな。
POINT
エイジズムは年齢を理由とした偏見・差別を指す概念で、高齢者を画一的に捉える態度全般を含みます。呼称や言葉遣い、ケアの手抜きなど無意識の差別にも注意が必要です。パターナリズム・アディクション・アンチエイジングとの意味の違いを整理し、個別性尊重と権利擁護の視点でケアを実践しましょう。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:高齢という理由で高齢者を画一的に捉え、差別することを意味するのはどれか。
解説:正解は1の「エイジズム」です。エイジズムはアメリカの老年医学者R.バトラーが1969年に提唱した概念で、年齢を理由にした偏見・ステレオタイプ・差別行為を総称します。高齢者を一括りに「弱く・保守的・学習困難」などと捉え、ケアの質や社会参加の機会を狭めてしまう問題は、医療・介護現場でも意識すべき課題です。
選択肢考察
-
○ 1. エイジズム
年齢を根拠とした偏見・差別を意味する概念で、特に高齢者に対する画一的な見方を指します。幼児語での呼びかけや能力軽視などがその具体例です。
-
× 2. アディクション
アルコール・薬物・ギャンブルなどへの依存症を指す用語で、年齢に基づく差別を示すものではありません。
-
× 3. パターナリズム
強い立場の者が弱い立場の者の意思を尊重せず介入することを意味します。高齢者ケアで見られることはありますが、年齢差別そのものを指す語ではありません。
-
× 4. アンチエイジング
加齢による心身の変化を抑え若々しさを保とうとする取り組みで、差別を示す概念ではありません。
エイジズムは無自覚に行われることが多く、看護者が「高齢者だから説明は不要」などと判断する態度もこれに含まれます。個別性を尊重し、本人の意思決定能力を見極めた関わりを心がけることが、権利擁護の観点からも重要です。
高齢者に対する年齢差別を表す用語を正確に識別できるかを問う問題です。
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