骨粗鬆症の病態と生活指導
成人看護学 / 運動器
解説
今回は骨粗鬆症の病態と生活指導について解説します。
骨代謝の基礎
骨は一度作られたら変化しない組織ではなく、絶えず古い骨を壊して新しい骨に置き換える「リモデリング(骨改変)」を繰り返しています。骨を壊す働きを骨吸収といい破骨細胞が担い、新しい骨を作る働きを骨形成といい骨芽細胞が担います。両者のバランスが保たれることで、骨量と骨の強度は維持されます。 女性ホルモンであるエストロゲンには破骨細胞の働きを抑える作用があり、骨吸収を抑制して骨量を保つ役割を果たしています。閉経によりエストロゲンが急激に低下すると、骨吸収が骨形成を上回り、骨量が減少していきます。
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは、骨密度の低下と骨質の劣化により骨が脆くなり、骨折しやすくなる全身性の骨疾患です。閉経後の女性と高齢者に多くみられ、自覚症状が乏しいまま進行する点が特徴です。 軽い転倒やしりもち、くしゃみなどの軽微な外力でも骨折を起こしうる「脆弱性骨折」が問題となります。好発部位は大腿骨近位部、椎体(脊椎圧迫骨折)、橈骨遠位端、上腕骨近位部であり、これらは寝たきりや日常生活動作の低下を招く主要な原因となります。
危険因子
最大の危険因子は閉経によるエストロゲン低下と加齢です。やせ・低体重も骨に荷重がかかりにくくなるため危険因子となります。 喫煙はカルシウム吸収の阻害、ビタミンD代謝の障害、エストロゲン低下の促進、骨芽細胞の抑制を介して骨量を減らす独立した危険因子です。過度の飲酒、運動不足、カルシウム・ビタミンD摂取不足、ステロイドの長期使用、家族歴も発症リスクを高めます。
診断
骨密度の評価にはDXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)が標準的に用いられ、腰椎や大腿骨近位部の骨密度を測定します。診断には若年成人の平均骨密度を基準としたYAM(若年成人平均値)を用い、YAMが70%未満になると骨粗鬆症と診断されます。
治療薬
薬物療法では、骨吸収を抑える薬と骨形成を促す薬が用いられます。 活性型ビタミンD製剤は腸管からのカルシウム吸収を高めます。ビスホスホネート(アレンドロン酸、リセドロン酸など)は破骨細胞を抑制して骨吸収を抑える代表薬で、食道炎や顎骨壊死を防ぐため起床時にコップ一杯の水で服用し、服用後30分は横にならず飲食も避けるよう指導します。SERM(ラロキシフェンなど)は選択的エストロゲン受容体モジュレーターで、骨にエストロゲン様作用を示します。デノスマブは抗RANKL抗体で皮下注射により骨吸収を抑制します。テリパラチドは副甲状腺ホルモン製剤で、骨形成を促進する注射薬です。
生活指導
運動では荷重のかかる運動が骨形成を刺激するため重要です。ウォーキング、軽い筋力トレーニング、バランス運動を1日30分程度、週数回行うことが推奨されます。買い物の際に歩く時間を増やすなど、日常生活に組み込める方法が継続しやすく効果的です。 栄養面ではカルシウム、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質をバランスよく摂取します。皮膚でのビタミンD合成を促すため、適度な日光浴も勧められます。喫煙と過度の飲酒は控えるよう指導します。 高齢者では骨折予防として転倒対策が欠かせません。手すりの設置、段差の解消、十分な照明、滑りにくい床材など、住環境の整備を行います。
まとめ
骨粗鬆症は骨吸収と骨形成のバランスが崩れて骨密度と骨質が低下し、骨折リスクが高まる疾患です。閉経後のエストロゲン低下、加齢、喫煙などが主な危険因子で、DXA法でYAM70%未満により診断します。治療はビスホスホネート、活性型ビタミンD、SERM、デノスマブ、テリパラチドなどを病態に応じて用い、生活指導では荷重運動、カルシウム・ビタミンD摂取、日光浴、禁煙節酒、転倒予防の住環境整備を組み合わせて骨折を防ぐことが重要です。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
骨を壊す働きを骨吸収といい、新しい骨を作る働きをという。両者のバランスにより骨量が維持される。
- 2.
閉経後女性に骨粗鬆症が多いのは、破骨細胞の働きを抑え骨吸収を抑制するが急激に低下するためである。
- 3.
骨粗鬆症は骨密度の低下と骨質の劣化により骨が脆くなり、軽微な外力で骨折を起こすのリスクが高まる疾患である。
- 4.
カルシウム吸収阻害やビタミンD代謝障害、骨芽細胞抑制を介して骨量を減らす独立した危険因子はである。
- 5.
骨密度測定で標準的に用いられる二重エネルギーX線吸収測定法をという。
- 6.
骨粗鬆症は若年成人平均値(YAM)が%未満で診断される。
- 7.
破骨細胞を抑制して骨吸収を抑える代表的な薬剤で、起床時に水で服用し30分間は横にならないよう指導するのは製剤である。
- 8.
副甲状腺ホルモン製剤で骨形成を促進する注射薬はである。
- 9.
骨粗鬆症の運動療法では、骨形成を刺激するためにのかかる運動(ウォーキングなど)が推奨される。
- 10.
皮膚での合成を促すため、適度な日光浴が勧められる。
