ADHDの看護と支援
精神看護学 / 発達・知的障害・その他
解説
今回は注意欠如・多動性障害(ADHD)の看護と支援について解説します。ADHDとは、attention-deficit/hyperactivity disorderの略で、年齢や発達水準に不釣り合いな不注意・多動性・衝動性を特徴とする神経発達症の一つです。多くは幼児期から学童期にかけて症状が顕在化し、成人期まで持ち越されることも少なくありません。
ADHDの病態と原因
ADHDは、前頭葉の機能やドパミン・ノルアドレナリンといった神経伝達物質の調節の偏りが関与する、脳の発達特性に基づく疾患です。遺伝要因の関与が大きく、しつけや育て方が原因で発症する疾患ではありません。環境はあくまで症状の現れ方を修飾する要因にすぎず、家族の関わり方の問題と短絡的に結びつけてはいけません。看護師は家族にこの基本情報を繰り返し伝え、保護者の罪責感を軽減する関わりが求められます。
中核症状の理解
ADHDの中核症状は不注意・多動性・衝動性の3つです。不注意は集中が続かない、忘れ物が多い、ケアレスミスが目立つといった形で現れます。多動性は落ち着きなく動き回る、じっとしていられないなどの行動として現れ、衝動性は順番を待てない、思いつきで行動するなどの形で現れます。
小児期には多動が目立ちますが、成人期になると多動は内的な落ち着きのなさへと変化し、外見からは見えにくくなります。代わりに不注意症状が前面に現れ、書類の紛失、締切の遅延、会議中に上の空になる、マルチタスクの失敗など、職場での不適応の主因となります。叱責を受け続けることで自己評価が低下し、抑うつや不安、出勤困難など二次障害につながることもあります。
治療と看護支援
薬物療法では、メチルフェニデート徐放錠やアトモキセチン、グアンファシンが用いられます。これに加え、環境調整や認知行動療法、ペアレントトレーニングを組み合わせるのが一般的です。
不注意症状に対する行動戦略の基本は、記憶を本人の頭の中だけに頼らず外部ツールに預ける外在化と、思いついた瞬間に行う即時行動化です。具体的には予定をその場で手帳やスマートフォンに書き込む、チェックリストを使う、アラームでリマインドする、物の置き場所を決めるなどがあります。看護師は原因を追及するより、目の前で予定表に書き込んでもらうなど即時的な行動変容を促し、成功体験を積み重ねて自己効力感を育てる関わりを行います。
まとめ
ADHDは不注意・多動性・衝動性を中核症状とする神経発達症で、成人期では不注意が職場不適応の主因となります。育て方が原因ではないことを家族に伝え罪責感を和らげること、そして外在化ツールを用いた具体的な行動支援が看護の基本となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
ADHDの中核症状は不注意・・衝動性の3つである。
- 2.
ADHDは前頭葉機能や・ノルアドレナリン神経系の発達の偏りが関与する神経発達症である。
- 3.
ADHDは育て方やしつけが原因で発症する疾患では。
- 4.
成人期のADHDでは、多動は内的な落ち着きのなさとして残り、症状が職場不適応の主因となりやすい。
- 5.
ADHDの薬物療法に用いられる中枢神経刺激薬は徐放錠である。
- 6.
ADHDの不注意症状への支援では、記憶を外部ツールに預けるが基本戦略となる。
- 7.
予約日を忘れてしまうADHD患者への対応では、看護師の目の前で次回の予約をに書き込んでもらうことが適切である。
- 8.
ADHDの保護者が自責の念を抱いている場合、看護師はまずを軽減する言葉かけを行う。
