自殺リスクの評価と対応
精神看護学 / 物質依存・自殺・自傷
解説
自殺リスクの評価と対応とは、自殺の危険性を段階的に見立て、切迫度に応じて安全を確保していく一連の臨床プロセスのことです。今回は自殺リスクの評価と対応について解説します。
自殺に至る段階
自殺は突然起こるのではなく、いくつかの段階を経て進むとされます。一般に、漠然と死を考える念慮から始まり、具体的な計画を立て、実行しようとする意図が固まり、薬剤や刃物などの手段の準備を行い、最終的に実行へと進みます。看護師は患者さんの言動からこの段階のどこにあるかを見極めることが重要です。
切迫度を判断するポイント
切迫度の判定で最も重視されるのは、計画の具体性です。日時・場所・手段・遺書の用意などが具体化しているほど切迫度は高く、特に「いつ自殺するか日にちを決めている」場合は最も危険な状態とみなします。漠然とした希死念慮よりも、いつ・どこで・どのようにという計画が定まっている方が、実行に移される可能性が格段に高くなります。
警告サインとうつ病回復期
身辺整理を始める、大切な物を他人に譲る、急に穏やかになる、別れを告げるような言動が見られる場合は警告サインです。また、うつ病では最悪期よりも回復期初期に自殺既遂が増える傾向があります。これは抑うつ感情が残ったまま行動するエネルギーが戻るためで、気分が上向きに見えても警戒を緩めてはいけません。
TALK原則と評価ツール
自殺の危険を察したときの基本対応としてTALK原則があります。Tell(心配を率直に伝える)、Ask(自殺について直接尋ねる)、Listen(傾聴する)、Keep safe(安全を確保する)の頭文字です。自殺について直接尋ねても自殺を促す効果はなく、むしろ抑制に働くことが知られています。評価ツールにはSAD PERSONSスケールやC-SSRS(コロンビア自殺重症度評価尺度)があります。
対応と禁忌
対応では、本人だけの「死なない約束(不自殺契約)」に依存せず、家族など周囲への情報共有、薬剤や刃物といった手段へのアクセス制限、精神科受診や入院、必要に応じて医療保護入院の検討を行います。話題をそらす、安易に励ます、説得で気持ちを変えようとする、約束を強要するなどは禁忌です。
まとめ
自殺リスクは念慮から実行へと段階的に進み、計画の具体化と日時の決定は最も切迫した徴候です。直接尋ねること、傾聴、安全確保、手段制限、専門医療への橋渡しが看護師の役割となります。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
自殺リスクは念慮→→意図→手段準備→実行の順に進む。
- 2.
切迫度が最も高いサインは自殺のを決めていることである。
- 3.
自殺対応の基本原則であるTALKのうち、Aは自殺について直接ことを意味する。
- 4.
うつ病では最悪期よりも初期に自殺既遂が増える傾向がある。
- 5.
自殺予防では薬剤や刃物などへのアクセスを制限することが重要である。
- 6.
自殺リスク評価尺度のひとつにスケールがある。
