経産婦の産褥期経過観察
母性看護学 / 産褥期・授乳
解説
今回は経産婦の産褥期経過観察について解説します。産褥期とは、分娩終了後から妊娠・分娩で生じた母体の変化が非妊時の状態へ戻るまでの約6〜8週間をいいます。経産婦は子宮筋の収縮が強く後陣痛が増強しやすい一方、子宮復古不全や出血のリスクも高いため、経時的な観察と異常の早期発見が重要となります。
産褥早期の経過観察
産褥早期の観察項目は、子宮復古、悪露、バイタルサイン、排尿、創部、乳房、精神状態の7項目です。分娩後12時間以内の最初の排尿は特に重要で、尿閉や残尿は膀胱の充満による子宮復古不全や膀胱機能障害の原因となります。会陰切開縫合部の痛みは創部が存在する以上、ある程度生じる生理的反応であり、発赤・腫脹・熱感・滲出液などの感染徴候がなければ経過観察可能です。会陰部の評価にはREEDAスケール(発赤Redness、腫脹Edema、内出血Ecchymosis、滲出液Discharge、創閉鎖Approximation)を用います。一方、尿意の消失、頻脈、子宮底が軟らかいなどの所見は、分娩後膀胱麻痺、出血、感染、子宮復古不全を示唆するため、原因確認と介入が必要です。
子宮復古の経過と子宮復古不全
子宮底の高さは、胎盤娩出直後に臍下5cm、分娩後12時間で臍高、その後1日1〜2cmずつ下降し、産褥10日頃には恥骨上縁で触知できなくなります。産褥2日に子宮底が臍高で軟らかく触れ、凝血塊の排出と後陣痛の増強がみられる場合は、子宮復古不全を強く疑います。原因には胎盤・卵膜の遺残、子宮筋疲労、巨大児や多胎による子宮過伸展、感染、膀胱・直腸の充満などがあります。対応としては経腹超音波で子宮内遺残物を確認し、子宮収縮薬や抗菌薬の投与、必要時には子宮内容除去術を行います。
悪露の経過と退院指導
悪露は子宮内膜の修復に伴って排出される分泌物で、産褥1〜3日が赤色悪露、4〜9日が褐色悪露、10日以降が黄色悪露、3〜4週で白色悪露へ移行し、約4〜6週で消失します。退院時には、悪露の量が増加したり鮮血化した場合は異常サインであり受診が必要であることを指導します。退院後の生活指導としては、清潔保持としてシャワー浴を行うこと、授乳婦の推奨量に沿った栄養摂取、十分な休養、悪露・乳房・会陰部の自己観察、そして1か月健診の受診を伝えます。
まとめ
産褥期の経過観察では、子宮復古、悪露、バイタルサイン、排尿、創部、乳房、精神状態の7項目を経時的に評価することが基本です。経産婦では後陣痛が強い反面、子宮復古不全のリスクも高いため、子宮底の高さや悪露の性状の変化を見逃さず、生理的経過と異常を鑑別することが看護師に求められます。退院後も悪露の変化や自己観察の方法を指導し、異常時の受診行動につなげることが重要です。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
産褥早期の観察7項目は、子宮復古、悪露、バイタルサイン、排尿、創部、乳房、である。
- 2.
会陰切開縫合部の評価には、発赤・腫脹・内出血・滲出液・創閉鎖の5項目からなるスケールを用いる。
- 3.
分娩後12時間以内の最初のは重要であり、尿閉や残尿は子宮復古不全の原因となる。
- 4.
子宮底は胎盤娩出直後に臍下5cm、分娩後12時間で、その後1日1〜2cmずつ下降する。
- 5.
子宮底が産褥10日頃にで触知不能となれば、子宮復古は順調である。
- 6.
産褥2日に子宮底が臍高で軟らかく、凝血塊排出と後陣痛増強がみられる場合はを疑う。
- 7.
悪露は産褥1〜3日が赤色悪露、4〜9日が、10日以降が黄色悪露へと変化する。
- 8.
退院後に悪露の量が増加したりした場合は異常であり、受診が必要である。
- 9.
子宮復古不全の原因として、胎盤・卵膜の、子宮筋疲労、子宮過伸展、感染、膀胱・直腸の充満がある。
