性感染症とパートナー治療
母性看護学 / 生殖・受精・避妊・不妊
解説
今回は性感染症とパートナー治療について解説します。
主な性感染症
性器クラミジア感染症(Chlamydia trachomatis)は国内で最も報告数が多いSTDです。女性では自覚症状に乏しく、白色〜淡黄色帯下の増加、軽度の下腹部痛、不正性器出血などが出現します。進行すると子宮頸管炎、卵管炎、骨盤内炎症性疾患(PID)へと波及し、卵管性不妊や子宮外妊娠の原因となります。
淋菌感染症は膿性帯下、排尿時痛が特徴で、オーラルセックスによる咽頭感染や直腸感染も増えています。性器ヘルペスは水疱・潰瘍と強い疼痛、初感染で発熱を伴います。梅毒は第1期の硬性下疳、第2期のバラ疹、第3期のゴム腫、晩期の神経梅毒と経過し、RPRとTPHAで診断します。尖圭コンジローマはHPV6・11型が原因で淡紅色乳頭状腫瘤を形成します。そのほかHIV感染症、B型・C型肝炎、トリコモナス、カンジダなども重要です。
クラミジアの診断と治療
診断は子宮頸管擦過検体や尿を用いた核酸増幅検査(PCR、SDA、TMA)で行います。治療はアジスロマイシン単回投与、あるいはドキシサイクリン7日間内服が基本です。
治癒確認のタイミング
内服終了から3〜4週後に核酸増幅検査で陰性を確認します。早期に再検査を行うと残存核酸を検出して偽陽性となる場合があるため、適切な間隔をあけることが重要です。
パートナー治療の原則
STD治療ではパートナーの同時検査・同時治療が必須です。一方のみの治療では性交によるピンポン感染で繰り返し再感染が起こります。パートナーへの通知は本人主導型が基本であり、看護師はロールプレイや文例の提示を通じて心理的ハードルを下げる支援を行います。医療者が本人の同意なくパートナーへ直接連絡することは守秘義務に反し適切ではありません。
性交渉再開のタイミング
双方が治療を完了し、治癒確認検査で陰性が確認された後に再開します。再開後もコンドームの適切な使用を継続するよう指導します。
看護のポイント
プライバシーの保護と心理的支援を徹底し、思春期・若年女性へのセクシュアルヘルス教育を行います。学生であることや交際継続を望む背景にも配慮し、再感染予防と禁忌行為について丁寧に指導することが重要です。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
国内で最も報告数が多い性感染症はである。
- 2.
クラミジア感染症が進行すると卵管炎や(PID)を引き起こし、卵管性不妊の原因となる。
- 3.
クラミジアの診断には子宮頸管擦過検体や尿を用いた(PCR、SDA、TMA)が用いられる。
- 4.
クラミジアの治療では単回投与またはドキシサイクリン7日間内服が行われる。
- 5.
クラミジアの治癒確認は内服終了から週後に核酸増幅検査で陰性を確認する。
- 6.
梅毒の血清学的診断にはRPRとが用いられる。
- 7.
尖圭コンジローマの原因ウイルスはの6型・11型である。
- 8.
性感染症ではパートナーの検査・同時治療を行わなければピンポン感染を繰り返す。
- 9.
パートナーへの通知は型が基本であり、医療者が同意なく連絡することは守秘義務上適切ではない。
- 10.
治療完了後の性交渉再開後もの適切な使用を継続するよう指導する。
