分娩進行と授乳・同胞対応
母性看護学 / 分娩期・分娩経過
解説
分娩は一連の連続した過程ですが、看護のアセスメントを行いやすくするため、進行度に応じて第1期から第4期まで区分されます。さらに産褥期には、子宮復古・乳汁分泌・全身状態の回復に加え、上の子(同胞)への心理的支援も必要となります。ここでは分娩進行の判断、産褥期の授乳支援、そして退行現象への家族支援について順に整理していきます。
分娩各期の区分と進行のアセスメント
分娩第1期は、規則的な陣痛が開始してから子宮口が**全開大(10cm)**になるまでの時期で、開口期ともいいます。さらに第1期は、子宮口0〜約4cmまでの潜伏期と、約4〜10cmまでの活動期に分けられます。子宮口7cm開大は活動期の後半に位置づけられ、産婦の不安や疼痛が強くなる時期です。
第2期は子宮口全開大から児娩出までの娩出期、第3期は児娩出から胎盤娩出までの後産期、第4期は胎盤娩出後2時間程度の分娩直後の時期を指します。各期の長さは初産婦と経産婦で異なり、経産婦のほうが全般に短い傾向があります。
破水は発生する時期によって名称が異なります。陣痛開始前に破水するものを前期破水、陣痛開始後で子宮口全開大前に破水するものを早期破水、全開大時に破水するものを適時破水、児娩出後も破水しないものを遅滞破水と呼びます。
胎児心拍数の正常基線は110〜160bpmで、160を超えると頻脈、110未満は徐脈と判断します。一過性徐脈の有無、変動の幅などとあわせて胎児の状態を評価します。母体の血圧は140/90mmHg未満が正常域で、これを超える場合は妊娠高血圧症候群を疑います。
産褥期の子宮復古と授乳支援
産褥期には、妊娠・分娩で変化した母体が非妊時の状態に戻っていきます。子宮底の高さは分娩直後は臍下数横指、産褥3日目には臍下2〜3横指程度まで下降し、産褥10日ごろには腹壁から触れなくなります。悪露は分娩直後の赤色悪露から褐色悪露、黄色悪露、白色悪露へと色調が変化していきます。
乳汁分泌は産褥3〜5日に急増し、初乳から移行乳を経て成乳へと移行します。初乳は黄色みを帯び、免疫グロブリンを多く含むのが特徴です。授乳がうまく進むためには、乳管の開通と乳頭の伸展性、児の吸着(ラッチオン)の3要素が重要となります。乳頭の伸びが不十分で児が吸啜しにくい場合には、乳頭マッサージで乳頭を柔らかくし、ポジションや抱き方を調整して深い吸着を促します。吸着不良を放置すると乳頭損傷、乳汁うっ滞、乳腺炎、児の哺乳量低下につながるため、早期介入が大切です。
産褥貧血はHb11g/dL未満またはHt33%未満が目安で、境界域では経過観察と栄養指導が中心となります。
同胞への退行現象と家族支援
第二子以降の誕生に伴い、上の子(同胞)に退行現象(赤ちゃん返り)が現れることがあります。これは指しゃぶり、夜尿、過度の甘えなど、以前の発達段階の行動が一時的に再出現する正常な反応であり、特に2〜4歳児に多くみられます。背景には、愛着対象である母親を奪われる不安や弟妹へのライバル心があります。
対応の原則は、否定しない・比較しない・甘えを受け止めることです。叱責や「お兄ちゃんなんだから我慢して」といった要求は、自己肯定感を低下させ情緒を不安定にするため避けます。短時間でも上の子と1対1で関わる時間を確保し、育児への参加(おむつを取ってもらう、見守ってもらうなど)を通して存在価値を肯定することが効果的です。父親や祖父母と協働し、母親が新生児への対応と上の子への関わりを両立できる体制を整える支援も看護師の役割です。
まとめ
分娩第1期は陣痛開始から子宮口全開大までで、活動期では胎児心拍と破水の有無を総合的に評価します。産褥期は子宮復古と乳汁分泌の進行を確認し、乳頭伸展が悪いときは乳頭ケアと吸着指導で授乳確立を支援します。さらに同胞の退行現象は正常な反応として受容し、家族全体を視野に入れた関わりが求められます。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
分娩第1期は規則的な陣痛開始から子宮口までの時期である。
- 2.
子宮口の全開大はcmである。
- 3.
陣痛開始後で子宮口全開大前に起こる破水をという。
- 4.
陣痛開始前に起こる破水をという。
- 5.
胎児心拍数基線の正常範囲は110〜bpmである。
- 6.
産褥3日目の子宮底の高さは臍下〜3横指程度である。
- 7.
分娩直後にみられる赤みを帯びた悪露をという。
- 8.
免疫グロブリンを多く含み黄色みを帯びた産褥早期の乳汁をという。
- 9.
同胞誕生時に上の子にみられる、以前の発達段階の行動が再出現する正常反応をという。
- 10.
産褥貧血はHbg/dL未満またはHt33%未満を目安とする。
