帝王切開出生児の適応と母乳
母性看護学 / 新生児期・適応
解説
今回は帝王切開で出生した児の適応と母乳育児の経過観察について解説します。
成熟度の評価
在胎週数が37週0日から41週6日までに出生した児を正期産児といい、身体所見と神経学的所見の両面から成熟度を評価します。身体的な指標としては、身長・体重・頭囲・胸囲が成熟児の基準範囲にあること、四肢が屈曲位をとり筋緊張が良好であること、皮膚が厚く胎脂は腋窩などの一部に限られること、うぶ毛が背部の一部にのみ残っていること、耳介軟骨がしっかりしていること、足底線が踵まで明瞭であること、乳房結節が触知できること、外陰部では男児の精巣が陰嚢内まで完全に下降し、女児では大陰唇が小陰唇を覆っていることなどが挙げられます。
成熟度を客観的に評価する方法としてデュボヴィッツ法とニューバラード法があります。ニューバラード法では、姿勢・スカーフサイン・皮膚・うぶ毛・足底線・乳房・耳介・外陰の身体的成熟度8項目と神経学的所見を点数化し、在胎週数を推定します。なお、ラジアントウォーマー下では体温がやや高めに測定されやすい点に注意が必要です。出生直後の全身状態はApgarスコアで評価し、臍帯動脈血pHとあわせて低酸素やアシドーシスの有無を確認します。
新生児一過性多呼吸
陣痛を経ない予定帝王切開で出生した児では、産道通過時の胸郭圧迫が起こらないため肺胞液の吸収が遅れ、出生後に呼吸障害をきたすことがあります。これを**新生児一過性多呼吸(TTN)**といいます。新生児の呼吸数の正常値は40〜60回/分で、60回/分を超えると多呼吸と判断します。所見としては多呼吸に加え、陥没呼吸・鼻翼呼吸・呻吟・チアノーゼがみられ、重症度はシルバーマンスコアで評価します。リスク因子は陣痛のない予定帝王切開、男児、母体糖尿病、母体への鎮静薬投与などで、通常は数時間から24〜72時間以内に自然軽快します。治療は酸素投与や経鼻持続陽圧(nCPAP)などの支持療法が中心であり、サーファクタント投与は通常必要ありません。
母乳育児の経過観察
新生児は出生後、不感蒸泄や胎便・尿の排泄により生理的体重減少を起こし、生後3〜5日頃に出生時体重の5〜10%の減少をピークとし、生後7〜10日で出生時体重に戻ります。母乳育児の確立を確認する目安は、1日8回以上の直接授乳、1日6回以上の排尿、1日3〜4回以上の排便、そして生後2週以降で1日20〜30g以上の体重増加です。これらを満たせば摂取量は十分と判断できます。また生理的黄疸は日齢3〜5にピークを迎え、日齢7〜10で軽快します。経皮黄疸計の値が生理的範囲内であり、バイタルサインが安定し排泄回数も保たれていれば、帝王切開後であっても直接授乳を継続するよう支援し、母親の不安に寄り添うことが看護のポイントとなります。
まとめ
帝王切開で出生した児では、成熟度評価で正期産児であることを確認したうえで、陣痛を経ない場合に起こりやすい新生児一過性多呼吸の早期発見が重要です。出生後は生理的体重減少と生理的黄疸の経過を理解し、排泄回数や授乳回数を指標に母乳育児の確立を支援することが求められます。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
在胎37週0日から41週6日に出生した児をという。
- 2.
成熟度評価法のうち、姿勢・スカーフサイン・皮膚・うぶ毛・足底線・乳房・耳介・外陰の8項目を用いるのはである。
- 3.
陣痛を経ない予定帝王切開後に肺胞液の吸収遅延により生じる呼吸障害を(TTN)という。
- 4.
新生児の呼吸数の正常値は40〜60回/分であり、回/分を超えると多呼吸と判断する。
- 5.
新生児の呼吸障害の重症度を定量評価するスコアをという。
- 6.
新生児一過性多呼吸の治療では酸素投与や経鼻持続陽圧()などの支持療法が中心である。
- 7.
生後3〜5日頃に出生時体重の5〜10%減少し、7〜10日で出生時体重に戻る現象をという。
- 8.
母乳育児確立の目安として、生後2週以降で1日g以上の体重増加が望ましい。
- 9.
生理的黄疸は日齢にピークを迎え、日齢7〜10で軽快する。
