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災害時の妊婦と要配慮者

看護の統合と実践 / 災害看護

解説

今回は災害時の妊婦と要配慮者への支援について解説します。地震や水害などの大規模災害が発生した際、健康な成人と同じ環境で生活することが困難な人々を要配慮者と呼びます。看護師は要配慮者の特性を理解し、避難所での観察・支援・他職種連携を行う必要があります。

要配慮者と災害時要援護者

災害対策基本法では、高齢者、障害者、乳幼児その他特に配慮を要する者を要配慮者と定義しています。具体的には、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、傷病者、難病患者、外国人などが含まれます。要配慮者のうち、災害発生時に自ら避難することが困難で特に支援を要する人を避難行動要支援者と呼び、市町村は名簿を作成して支援に活用します。妊婦や乳幼児は身体的・精神的負担を受けやすく、一般の避難所では生活に支障を来しやすいため、優先的に配慮が必要です。

福祉避難所

福祉避難所は、一般の避難所での生活が困難な要配慮者を受け入れる二次的な避難所で、災害対策基本法に基づき市町村が指定・設置・運営します。平時に老人福祉施設や障害者支援施設などと協定を結び、災害時に開設されます。開設時には保健師やケースワーカーがアセスメントを行い、必要性の高い人から順に移送します。妊婦と乳幼児はいずれも要配慮者に該当し、必要に応じて福祉避難所への移動が検討されます。要配慮者を福祉避難所へつなぐ窓口として最も適切な連携先は、行政的調整と医学的視点の両方を担う市町村の保健師です。

災害時の妊婦への観察

災害時の妊婦は、脱水、ストレス、長時間の同一姿勢、栄養不足などにより子宮収縮をきたしやすく、切迫流産・切迫早産のリスクが高まります。妊娠22週未満で妊娠が中断するものを流産、22週以降37週未満の分娩を早産と定義し、切迫流産・切迫早産はそれらが切迫している状態を指します。切迫流産の三徴は下腹部痛、性器出血、子宮収縮で、特に性器出血を伴う場合は流産進行のリスクが高く、母体搬送を含めた速やかな対応が必要となります。避難所巡回時に妊婦から「おなかが張る」との訴えがあった場合、性器出血の有無の確認が最優先となります。

クラッシュ症候群

災害現場では家屋倒壊などによる長時間圧迫で**クラッシュ症候群(挫滅症候群)**が発生します。圧迫された筋細胞が崩壊し、圧迫解除後に細胞内成分が全身循環へ流れ込むこと(リパーフュージョン)で、高カリウム血症、代謝性アシドーシス、ミオグロビン尿による急性腎障害、循環血液量減少性ショックなどを引き起こします。血液検査では細胞内成分であるカリウム、クレアチンキナーゼ(CK)、ミオグロビンが高値となり、カルシウムは低下します。救出前からの大量輸液、重炭酸ナトリウムによる尿のアルカリ化、必要に応じた透析が治療の柱です。

まとめ

災害時には要配慮者の概念を理解し、妊婦や乳幼児を含む対象者を福祉避難所へ適切につなぐことが求められます。妊婦の子宮収縮では性器出血の確認が最優先であり、長時間圧迫の傷病者ではクラッシュ症候群を念頭に置いた対応が必要です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    災害対策基本法において、高齢者、障害者、乳幼児その他特に配慮を要する者をという。

  2. 2.

    一般の避難所での生活が困難な要配慮者を受け入れる二次的な避難所をという。

  3. 3.

    福祉避難所の指定・設置・運営の責任を担うのはである。

  4. 4.

    避難所を巡回し、要配慮者を福祉避難所へつなぐ窓口として最も適切な連携先は市町村のである。

  5. 5.

    切迫流産の三徴は、下腹部痛、子宮収縮、である。

  6. 6.

    妊娠週未満で妊娠が中断するものを流産という。

  7. 7.

    長時間の四肢圧迫の解除後に、筋細胞崩壊由来の物質が全身に還流して多臓器障害を起こす病態をという。

  8. 8.

    クラッシュ症候群で血中に上昇する代表的な電解質はである。

  9. 9.

    クラッシュ症候群で筋細胞崩壊を反映して高値となる酵素は(CK)である。

災害時の妊婦と要配慮者」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。