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新生児便・ラッチオン・黄疸

母性看護学 / 新生児期・適応

解説

今回は新生児便・ラッチオン・黄疸について解説します。

出生直後の新生児の生理的適応

新生児期とは、生後28日未満の時期を指します。この時期の児は、母体内環境から子宮外環境への適応の真っ最中にあり、呼吸・循環・代謝・消化・体温調節などのさまざまな機能が急速に変化します。看護師は、便の性状、哺乳の確立、皮膚の黄染といった「目に見える指標」を通じて、児が順調に適応しているか、あるいは異常が潜んでいないかを観察する必要があります。本記事では、新生児便・ラッチオン・新生児黄疸の3項目を、基礎から順に解説します。

新生児便の3段階

新生児の便は、生後の日数に応じて胎便・移行便・普通便(乳便)と性状が変化していきます。それぞれの時期と特徴を理解することが、消化管疾患の早期発見につながります。

胎便(メコニウム)

胎便とは、出生後最初に排泄される便で、子宮内で飲み込んだ羊水・胎脂・腸管上皮細胞・胆汁色素などが混ざり合ったものです。色調は黒緑色から暗緑黒色で、粘稠(ねばねば)としており、まだ腸内細菌叢が形成されていないため無臭であることが特徴です。正常な新生児では生後24時間以内に初回排泄されます。 胎便排泄が24時間を過ぎても認められない場合は、ヒルシュスプルング病・メコニウムイレウス・鎖肛などの先天性消化管異常を疑い、医師に報告する必要があります。

移行便

移行便は生後2〜4日ごろにみられる便で、胎便と乳便が混ざった状態です。色調は緑色〜黄緑色、性状は泥状で、哺乳が進むにつれて胎便から普通便へと移り変わっていく過渡期の便です。

普通便(乳便)

生後4〜5日以降に出現する、いわゆる乳児の便です。栄養方法によって性状が異なります。母乳栄養児では黄色〜黄緑色の泥状〜液状便で、ヨーグルトのような酸臭がします。人工栄養児では濃い黄色〜淡褐色で、母乳栄養児よりやや硬めの便となります。母乳栄養児の便がやや水っぽくても、それだけで下痢と判断してはならない点が国試で問われます。

ラッチオンと母乳栄養

ラッチオン(latch-on)とは、児が乳頭と乳輪を口に深くくわえて吸啜する動作のことです。母乳栄養を確立するうえで最も基本となる技術であり、ラッチオンが適切かどうかが、母児双方のトラブルを左右します。

良好なラッチオンの指標

良好なラッチオンでは、児の口が大きく開き、乳頭だけでなく乳輪まで深くくわえています。下唇は外側にめくれ(外反)、両頬はへこまずに丸く膨らみ、顎は乳房に密着し、鼻は乳房に軽く触れる程度の位置になります。吸啜時にはリズミカルな吸啜嚥下音が聞こえます。深く正しく含めていれば、乳頭の一点に圧力が集中しないため、痛みや乳頭損傷は起こりません。

ラッチオン不良によるトラブル

児が乳頭だけを浅くくわえる「乳頭吸い」になると、乳頭への摩擦と圧迫が強くなり、乳頭亀裂や乳腺炎、母乳分泌不足を招きます。哺乳量が確保できなければ児の体重減少が遷延し、生理的体重減少を超える病的体重減少へとつながります。 そのため、産褥婦が乳頭痛や発赤を訴えた場合、看護師が最優先で観察・指導すべき項目はラッチオンの状態です。抱き方には横抱き・交差抱き・フットボール抱き・添い寝授乳などがあり、母児の状況に合わせて選択します。

新生児黄疸

新生児黄疸とは、新生児期にビリルビンが血中に増加し、皮膚や眼球結膜が黄染する状態です。多くは生理的なものですが、重症化すると神経学的後遺症を残すため、適切な観察と管理が求められます。

生理的黄疸の経過

生理的黄疸は生後2〜3日に出現し、生後4〜5日にピークを迎え、1〜2週間で自然に消退します。胎児期に多い赤血球(HbF)が出生後に壊れて間接ビリルビンが大量に産生される一方、新生児の肝臓ではビリルビンを処理する酵素活性がまだ未熟なため、一過性に血中ビリルビンが上昇するためです。

核黄疸(ビリルビン脳症)の機序

非抱合型(間接)ビリルビンが過剰になると、血液脳関門を通過して大脳基底核や脳幹に沈着し、神経細胞を障害します。これが**核黄疸(ビリルビン脳症)**で、筋緊張低下、甲高い泣き声、哺乳不良、後弓反張(オピストトーヌス)などを呈し、不可逆的な脳性麻痺や難聴を残します。

管理の目安と治療

経皮ビリルビン値は胸骨上や前額部で測定するのが一般的です。日齢4の正期産児では、概ね15〜17mg/dL以下であれば経過観察となります。20.0mg/dLは明らかな高値で、医師への報告とともに光線療法の適応となり、さらに高値や急上昇例では交換輸血が検討されます。なお光線療法中は経皮値の信頼性が低下するため、血清ビリルビン値で評価します。早産・低出生体重・母児血液型不適合・頭血腫・著明な体重減少・母乳性黄疸はリスク因子です。

観察ポイントと看護

看護師は、便の色・性状・回数、初回胎便排泄の有無、哺乳時のラッチオン、皮膚黄染の広がり(Kramer法)、活気、筋緊張、啼泣の様子を継続的に観察します。便・哺乳・黄疸はいずれも互いに関連しており、哺乳不足は脱水と黄疸の増悪を招き、黄疸が強い児は活気が低下して哺乳が進みにくくなるという悪循環に陥ります。早期に異常を察知し、適切な授乳支援と医師への報告につなげることが看護の要となります。

まとめ

新生児便は胎便(24時間以内、黒緑色、無臭)→移行便(2〜4日、緑色泥状)→普通便(4〜5日以降、母乳児は黄色酸臭)と変化し、24時間以内の胎便排泄がなければ消化管異常を疑います。ラッチオンは乳輪まで深くくわえ下唇外反・頬が丸い状態が正常で、不良時は乳頭亀裂・乳腺炎・分泌不足・体重減少を招くため最優先で観察します。新生児黄疸は生後2〜3日出現・4〜5日ピーク・1〜2週間で消退が生理的経過で、間接ビリルビンが脳に沈着すると核黄疸を起こします。日齢4で15〜17mg/dL以下が目安、20mg/dL前後で光線療法、重症例は交換輸血を検討します。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    新生児が出生後最初に排泄する便をといい、生後24時間以内に排泄されるのが正常である。

  2. 2.

    胎便の色調はで、粘稠かつ無臭であることが特徴である。

  3. 3.

    生後24時間以上経過しても胎便排泄が認められない場合、ヒルシュスプルング病・メコニウムイレウス・などの先天性消化管異常を疑う。

  4. 4.

    母乳栄養児の普通便は黄色〜黄緑色の泥状〜液状で、を伴うのが特徴である。

  5. 5.

    児が乳頭と乳輪を口に深く含んで吸啜する動作をといい、母乳栄養確立の基本となる。

  6. 6.

    ラッチオン不良で乳頭だけを浅くくわえる状態が続くと、乳頭亀裂や、母乳分泌不足、児の体重減少を招く。

  7. 7.

    生理的黄疸は生後2〜3日ごろに出現し、生後日にピークを迎え、1〜2週間で自然に消退する。

  8. 8.

    非抱合型ビリルビンが血液脳関門を通過し、大脳基底核や脳幹に沈着して生じる脳症をという。

  9. 9.

    新生児黄疸に対し、血中ビリルビン値が高値の場合に第一選択として行われる治療法はである。

  10. 10.

    経皮ビリルビン値は通常、前額部やで測定するが、光線療法中は信頼性が低下するため血清値で判断する。

新生児便・ラッチオン・黄疸」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。