経産婦の後陣痛と母児経過
母性看護学 / 産褥期・授乳
解説
後陣痛とは、分娩後に子宮が元の大きさへ戻る過程で生じる子宮収縮痛のことです。今回は経産婦の後陣痛と、産褥期の母体・新生児の正常経過について解説します。
後陣痛の機序と授乳との関係
分娩後の子宮は、下垂体後葉から分泌されるオキシトシンの作用によって収縮し、徐々に縮小していきます。この子宮収縮に伴う痛みが後陣痛であり、子宮復古に伴う生理的な現象です。
後陣痛は産褥2〜3日にピークを迎え、とくに授乳時に増強しやすい特徴があります。これは児の吸啜刺激が下垂体に伝わってオキシトシン分泌が促進され、射乳とともに子宮収縮も同時に起こるためです。痛みが我慢できない場合は、医師の指示のもとで鎮痛薬を使用します。
経産婦で後陣痛が強くなる理由
経産婦は妊娠を繰り返したことで子宮筋の伸展が大きく、産後にもとの大きさへ戻すために一度に強く収縮する必要があります。そのため初産婦に比べて後陣痛を強く感じやすいとされます。
子宮復古の正常経過
子宮底の高さは復古の重要な指標です。分娩直後は臍下1〜2横指、産褥1日には臍高〜臍下1横指となり、産褥10〜12日でほぼ恥骨上に隠れて触れにくくなります。最終的に産褥6〜8週で非妊時の大きさに戻ります。
産褥4日目以降も強い疼痛が続いたり、子宮底の下降が遅れたり、悪露の量増加・悪臭・血塊などの異常がみられる場合は、子宮復古不全や子宮内感染を疑い医師に報告します。
産褥3日前後の乳房ケア
産褥2〜3日は乳汁生成Ⅱ期にあたり、胎盤娩出によるプロゲステロンの急激な低下でプロラクチン作用が解放され、乳汁分泌が一気に増加します。この時期は生理的乳房緊満が起こりやすく、乳房が硬く張って乳輪部まで緊満すると、児が乳輪を深く含めずラッチオンが浅くなり、授乳が滞ってさらに緊満が増す悪循環に陥ります。
対応としては、授乳前に乳輪部の温罨法やマッサージ、少量の搾乳で乳輪をやわらかくし、児が深く吸啜できるよう援助します。授乳後は冷罨法で疼痛を緩和します。搾乳しすぎると分泌がさらに促進されるため注意が必要です。
乳腺炎の徴候
38℃以上の発熱や片側乳房の発赤・硬結・強い疼痛がみられる場合は乳腺炎が疑われ、早期の対応が必要です。
新生児の正常経過
新生児のバイタルサイン基準値は、体温36.5〜37.5℃、呼吸数40〜60回/分、心拍数120〜160回/分、収縮期血圧60〜80mmHgです。
生理的体重減少は出生体重の最大10%までで、生後2〜3日にピークとなり、7〜10日で出生体重に戻ります。生理的黄疸は生後2〜3日に出現し、4〜5日でピーク、7〜10日で消退します。光線療法の適応は村田・井村の基準などにより体重・日齢別に判断します。
排尿は生後24時間以内に初回がみられ、その後は1日6回以上、排便は1日3〜8回が目安です。出生時の状態評価にはApgarスコアが用いられ、心拍・呼吸・筋緊張・反射・皮膚色の5項目を生後1分後と5分後に評価し、10点満点で点数化します。
まとめ
経産婦の後陣痛はオキシトシンによる子宮収縮で生じ、授乳時に増強し産褥2〜3日にピークを迎えます。子宮復古や悪露、乳房の状態、新生児のバイタル・体重・黄疸・排泄を総合的に観察し、生理的経過から逸脱した所見を早期に捉えることが産褥期看護の要となります。
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- 1.
後陣痛は、下垂体後葉から分泌されるによる子宮収縮で生じる、子宮復古に伴う生理的現象である。
- 2.
後陣痛は産褥日にピークを迎え、児の吸啜刺激により時に増強しやすい。
- 3.
経産婦は妊娠中の子宮伸展が大きく、産後に子宮筋が一度に強く収縮する必要があるため、に比べて後陣痛を強く感じやすい。
- 4.
子宮底の高さは分娩直後で臍下1〜2横指、産褥10〜12日で上に隠れ、産褥週で非妊時の大きさに戻る。
- 5.
産褥2〜3日は乳汁生成期にあたり、プロゲステロン低下によりプロラクチン作用が解放されて乳汁分泌が急増し、生理的が起こりやすい。
- 6.
乳房緊満時は授乳前にやマッサージで乳輪をやわらかくし、児が深く吸着できるようを援助する。授乳後は冷罨法で疼痛を緩和する。
- 7.
38℃以上の発熱と片側乳房の発赤・硬結・強い疼痛がみられた場合は、を疑い早期に対応する。
- 8.
新生児の正常な呼吸数は回/分、心拍数は回/分である。
- 9.
生理的体重減少は出生体重の最大%までで、生後日で出生体重に戻る。生理的黄疸は生後2〜3日に出現し、4〜5日でピークを迎える。
- 10.
出生時の新生児の状態は、心拍・呼吸・筋緊張・反射・皮膚色の5項目を生後1分後と5分後に評価するスコアで判定される。
