受胎調節と避妊法
母性看護学 / 生殖・受精・避妊・不妊
解説
今回は受胎調節と避妊法について解説します。受胎調節とは、妊娠を望むか望まないかという女性・カップルの意思に基づき、計画的に妊娠の時期や回数を決めることを指します。家族計画やリプロダクティブヘルスの中核となる考え方で、看護師は対象者のライフスタイルや健康状態に応じて適切な避妊法を選択できるよう支援する役割を担います。
避妊法の分類と主導性
避妊法は、誰が主体となって行うかによって整理すると理解しやすくなります。女性主導の代表は低用量経口避妊薬(ピル)、子宮内避妊器具(IUD)、子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)、女性用コンドームなどです。男性主導の代表はコンドームと精管結紮術(パイプカット)です。両者の協力で行うものには基礎体温法やリズム法などの自然避妊法があります。女性自身の意思で確実に避妊できる方法として、ピルやIUDが重要視されます。
避妊効果の比較にはパール指数が用いられます。これは100組のカップルが1年間その避妊法を使用したときに妊娠した人数を示す指標で、数値が小さいほど避妊効果が高いことを意味します。一般に、不妊手術がもっとも確実で、続いてIUS(約0.2)、ピル(約0.3)、IUD(約0.6)、コンドーム(2〜18)、基礎体温法(約24)の順に効果が高いとされます。
低用量経口避妊薬(ピル)
低用量経口避妊薬は、エストロゲン(エチニルエストラジオール)とプロゲスチンを配合した内服薬で、OC(oral contraceptives)と呼ばれます。月経困難症や子宮内膜症の治療目的で保険適用となるものはLEP(low dose estrogen progestin)と呼ばれ、目的によって名称が使い分けられます。
作用機序
ピルの避妊効果は三つの作用で成り立ちます。第一に、視床下部・下垂体系への負のフィードバックによりGnRHやゴナドトロピン(FSH・LH)の分泌が抑制され、排卵が抑制されます。第二に、子宮頸管粘液が粘稠化し、精子が子宮内に進入しにくくなります。第三に、子宮内膜の増殖が抑えられ、受精卵が着床しにくい状態になります。正しく服用したときのパール指数は0.3前後で、極めて高い避妊効果を示します。
副効用と禁忌
ピルの主目的は避妊ですが、月経困難症や月経前症候群(PMS)の軽減、月経量の減少、月経周期の安定、子宮内膜症の改善、卵巣癌や子宮体癌の発症リスク低下など、多くの副効用があります。
一方で、もっとも注意すべき副作用は血栓症です。とくに服用開始から3か月以内にリスクが高まります。35歳以上で1日15本以上の喫煙者、血栓症既往、前兆を伴う片頭痛、重度高血圧、肝機能障害、乳癌、妊娠中などは禁忌となります。服用中に下肢の痛みや腫脹、胸痛、呼吸困難、激しい頭痛、視覚異常などが出現した場合は、ただちに受診するよう指導します。これらの初期症状は頭文字をとってACHES(Abdominal pain・Chest pain・Headache・Eye problems・Severe leg pain)と覚えられています。
その他の避妊法
コンドームは性器粘膜の接触を物理的に遮断する避妊法で、男性主導のもっとも普及した方法です。避妊効果はピルやIUDより劣りますが、性感染症の予防にも有効である点が他の避妊法にない大きな利点です。このため、ピルとコンドームを併用して避妊効果と感染予防を両立させる方法はダブルプロテクションと呼ばれ、推奨されています。
IUDは子宮内に挿入する避妊器具、IUSはこれにプロゲスチンを徐放する機能を加えたもので、いずれも数年単位で持続的に避妊効果が得られる長期的避妊法です。基礎体温法やリズム法は薬剤や器具を用いない自然避妊法ですが、避妊効果は低くなります。
緊急避妊薬
**緊急避妊薬(アフターピル)**は、避妊に失敗した場合や無防備な性交があった場合に、性交後72時間以内に内服することで妊娠成立を防ぐ薬剤です。あくまで緊急時の手段であり、日常的な避妊法ではありません。低用量ピルとは目的・成分が異なる別の薬剤である点に注意します。
まとめ
受胎調節とは、計画的に妊娠の時期や回数を決める行為であり、その手段が避妊法です。低用量経口避妊薬はエストロゲンとプロゲスチンの配合剤で、視床下部・下垂体系へのフィードバックによる排卵抑制を主作用とし、頸管粘液粘稠化と子宮内膜変化を加えた三つの機序で避妊効果を発揮します。女性主導で確実に避妊できる代表的方法ですが、血栓症リスクと禁忌に注意が必要です。コンドームは避妊効果では劣るものの性感染症予防に有効で、ピルとの併用(ダブルプロテクション)が推奨されます。緊急避妊薬は性交後72時間以内に服用する別個の薬剤であり、それぞれの避妊法の作用と効果、適応・禁忌を整理して理解することが国試対策の要となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
100組のカップルが1年間その避妊法を使用したときに妊娠した人数を示し、数値が小さいほど避妊効果が高い指標をという。
- 2.
低用量経口避妊薬はエストロゲンとを配合した内服薬で、視床下部・下垂体系への負のフィードバックを介して避妊効果を発揮する。
- 3.
低用量経口避妊薬の最も主要な避妊機序は、ゴナドトロピン分泌抑制によるの抑制である。
- 4.
低用量経口避妊薬は排卵抑制に加え、子宮内膜の増殖抑制との粘稠化により避妊効果を発揮する。
- 5.
低用量経口避妊薬の重大な副作用で、特に服用開始から3か月以内にリスクが高まる合併症はである。
- 6.
避妊効果と性感染症予防を両立させるため、低用量ピルとコンドームを併用する方法をという。
- 7.
避妊に失敗した場合などに性交後72時間以内に内服することで妊娠成立を防ぐ薬剤をという。
- 8.
避妊法のうち、女性自身の服薬によって避妊を行うことができ「女性主導」の代表とされる方法はである。
