子宮内胎児死亡のグリーフケア
母性看護学 / 母性看護総論・その他
解説
今回は子宮内胎児死亡のグリーフケアについて解説します。
周産期死亡とグリーフ
周産期死亡とは、流産・死産・新生児死亡を総称した概念であり、いずれも親にとって我が子を失う深い喪失体験となります。なかでも子宮内胎児死亡は、妊娠中に子宮内で児が死亡した状態を指し、その後は死産として娩出されます。 お腹の中で動いていた児を失った母親や父親は、強いショックや悲嘆に襲われ、「自分のせいではないか」という自責感や「ごめんね」という罪悪感、現実感の喪失を経験します。これらの反応は異常ではなく、喪失に対する自然な感情として受け止める必要があります。
悲嘆プロセス
悲嘆(グリーフ)とは、大切な存在を失ったときに生じる心理的反応の総称です。一般に悲嘆プロセスはショック期 → 喪失期 → 閉じこもり期 → 再生期の4段階で進むとされます。 ショック期では強い衝撃と否認、現実感の喪失がみられ、喪失期では悲しみや怒り、自責感が表出します。閉じこもり期には抑うつや無気力が前面に出て、やがて少しずつ再生期に至ります。死産直後から翌日ごろはショック・否認の段階にあり、感情が追いつかない時期であることを理解して関わります。 こうした悲嘆を乗り越えていく心理的作業を**悲嘆作業(モーニングワーク)**と呼び、看護師はそれを妨げず支援する立場にあります。
グリーフケアの基本姿勢
グリーフケアでは、喪失と悲嘆の感情を肯定し、受容の過程に寄り添うことが基本です。共感的傾聴を心がけ、沈黙や涙も含めた感情表出を促します。 一方で、「次の妊娠もあるから」「元気を出して」「早く忘れたほうがいい」といった安易な励ましや話題の方向転換は禁忌です。罪悪感や自責感を否定せず、「お母さんのせいではありません」と一方的に説得するのではなく、まずその気持ちをそのまま受け止めます。沈黙を共有することも大切なケアになります。
メモリアル支援
子宮内胎児死亡では、児を「いなかったことにしない」関わりが悲嘆作業を助けるとされ、メモリアル支援と呼ばれます。具体的には、児との面会や抱っこ、写真撮影、命名、手形・足形の作成などがあり、希望に応じて行います。これらは親が児の存在を確かなものとして心に刻み、別れを受け入れていく助けになります。父親やきょうだいなど家族全体への配慮も欠かせません。
長期的支援
強い悲嘆が長期化・複雑化した状態を複雑性悲嘆といい、産後うつ病を発症するリスクも高まります。退院後も継続的に支援し、必要に応じて精神科医や臨床心理士など多職種と連携します。
まとめ
子宮内胎児死亡のグリーフケアでは、悲嘆プロセスを理解したうえで共感的傾聴を行い、感情表出を促し、安易な励ましを避ける姿勢が基本です。面会や手形・足形などのメモリアル支援によって悲嘆作業を助け、退院後も複雑性悲嘆や産後うつに注意して長期的に関わることが、看護師の重要な役割となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
流産・死産・新生児死亡を総称した概念をという。
- 2.
大切な存在を失ったときに生じる悲嘆の感情を乗り越えていく心理的作業をという。
- 3.
悲嘆プロセスはショック期・喪失期・閉じこもり期を経て、最終的にに至るとされる。
- 4.
死産直後の親に対しては感情表出を促し、否定せずに受け止めるの姿勢が基本となる。
- 5.
子宮内胎児死亡の母親に対して「次の妊娠もあるから」といったは避けるべきである。
- 6.
児との面会・抱っこ・写真撮影・命名・手形足形の作成など、児の存在を確かなものとする関わりをという。
- 7.
強い悲嘆が長期化・遷延化した状態をといい、産後うつ病のリスクにもなる。
