肝炎の種類と経過
成人看護学 / 肝・胆・膵
解説
今回は肝炎の種類と経過について解説します。
ウイルス性肝炎の感染経路
ウイルス性肝炎は感染経路により大きく二つに分けられます。A型・E型は経口感染(Eatable=食べ物)、B型・C型・D型は血液体液感染と覚えると整理しやすくなります。
A型肝炎
HAV(Hepatitis A Virus)による感染症で、汚染された水や生牡蠣などからの経口感染が中心です。潜伏期は2〜6週で、発熱・全身倦怠感・黄疸を伴い急性発症し、AST・ALTが著明に上昇します。診断にはIgM-HA抗体陽性を確認します。
多くは自然治癒し慢性化はしませんが、ごく一部(約1〜2%、特に高齢者)で**劇症肝炎(急性肝不全)**に進展し、意識障害や出血傾向をきたします。予防はHAワクチンで、東南アジアやアフリカなど流行地域への渡航者や男性同性間性交渉者に推奨されます。
B型肝炎
HBVは血液・体液感染で広がり、性行為、母子感染、医療事故、針刺しが主な経路です。成人の急性肝炎では約10%が慢性化し、新生児期感染では90%以上が慢性化します。完全排除は困難で、エンテカビルやテノホビルなどの核酸アナログ製剤で持続的に抑制します。HBs抗原・HBc抗体・HBs抗体で感染状態を評価し、肝細胞癌のリスクとなります。予防にはHBワクチンが定期接種や医療従事者に推奨されます。
C型肝炎
HCVは血液感染で、輸血・針刺し・刺青・注射器共有が主な経路です。急性期は症状に乏しく約70%が持続感染し慢性肝炎へ移行、長期放置で肝硬変・肝細胞癌へ進展します。現在は**DAA(直接作用型抗ウイルス薬)**により95%以上の治癒率が得られますが、ワクチンはありません。
D型・E型肝炎
D型肝炎はHBVとの重複感染で日本では稀です。E型肝炎は豚・イノシシ・シカの生肉や加熱不十分な食肉からの経口感染で、通常は自然治癒しますが、妊婦では重症化しやすく妊娠後期の致死率は約20%に達します。
看護のポイント
スタンダードプリコーションの徹底が基本です。患者には感染経路、家族内予防、性行為時のコンドーム使用について教育します。キャリア患者には定期受診の継続と肝細胞癌スクリーニングが重要で、B型肝炎ワクチンの接種も積極的に勧めます。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
A型・E型肝炎は感染、B型・C型・D型肝炎は感染で伝播する。
- 2.
A型肝炎の診断にはIgM-の陽性を確認する。
- 3.
A型肝炎は予後良好で慢性化しないが、約1〜2%でに進展することがある。
- 4.
B型肝炎は新生児期に感染すると%以上が慢性化する。
- 5.
B型肝炎の治療にはエンテカビルやテノホビルなどのが用いられる。
- 6.
C型肝炎は急性期に約%が持続感染し慢性肝炎へ移行する。
- 7.
C型肝炎の治療には(直接作用型抗ウイルス薬)が用いられ、95%以上の治癒率が得られる。
- 8.
E型肝炎はで重症化しやすく、妊娠後期の致死率は約20%とされる。
- 9.
B型・C型肝炎キャリアでは長期経過でのリスクが高まる。
