ネフローゼ症候群
小児看護学 / 小児腎・内分泌・代謝系
解説
ネフローゼ症候群とは、糸球体基底膜の透過性が亢進することで大量のタンパク質が尿中に漏出し、その結果として低タンパク血症や全身性の浮腫を来す腎疾患の総称です。今回はネフローゼ症候群について解説します。
ネフローゼ症候群の病態
腎臓の糸球体は、血液をろ過して尿を作る装置ですが、健常人では基底膜のフィルター機能によりアルブミンなどのタンパク質はほとんど漏れません。ネフローゼ症候群ではこの基底膜の透過性が亢進し、大量のタンパク質、特にアルブミンが尿中に失われます。血中アルブミンが減少すると血漿の膠質浸透圧が低下し、血管内の水分が間質へ移動して全身に浮腫が生じます。さらに循環血液量の減少を感知した腎臓ではレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系が活性化し、ナトリウムと水の再吸収が亢進することで浮腫がさらに悪化します。また、肝臓では低アルブミン血症を代償しようとリポタンパクの合成が亢進し、高コレステロール血症(脂質異常症)を来します。
診断基準と四大徴候
ネフローゼ症候群の診断には次の四つの所見が重要です。第一に高度の蛋白尿で、成人では1日3.5g以上が基準となります。第二に低アルブミン血症で、血清アルブミン値3.0g/dL以下が目安です。第三に全身性の浮腫であり、眼瞼や下腿に始まり、進行すると腹水・胸水を伴います。第四に高コレステロール血症を含む脂質異常症です。小児では特発性ネフローゼ症候群が多く、その大部分は組織学的に微小変化型で、ステロイドへの反応性が良好です。
治療と食事療法
治療の第一選択は副腎皮質ステロイド薬(プレドニゾロン)の内服です。小児特発性ネフローゼ症候群では9割以上が寛解しますが、再発率も高く長期的な管理が必要となります。食事療法では、浮腫が高度な急性期に塩分制限を行うことが基本です。水分は乏尿や高度浮腫がない限り厳密な制限は不要で、タンパク質も小児では成長に必要な量を確保するため過度な制限はしません。かつて推奨された高タンパク食は糸球体への負担を増すため、現在は健常児と同程度の摂取が標準となっています。
ステロイド薬の副作用と看護
ステロイド薬には多彩な副作用があり、易感染性、満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満、食欲亢進、高血糖、骨粗鬆症、消化性潰瘍、精神症状、小児では成長障害などが知られます。長期内服後の急激な中止は副腎不全(離脱症候群)を招くため、自己判断での中断は厳禁であり必ず漸減します。免疫抑制状態となるため生ワクチンの接種は原則禁忌で、手洗い・うがい・人混みを避けるなどの感染予防行動の指導が重要です。思春期の患児には満月様顔貌が一時的で減量により改善することを事前に説明し、心理的負担の軽減を図ります。看護では体重・尿量・尿蛋白・浮腫・食欲を毎日観察し、感染徴候の早期発見に努めることが基本となります。
まとめ
ネフローゼ症候群は高度蛋白尿・低アルブミン血症・浮腫・脂質異常症を四徴とする病態で、小児では微小変化型が多くステロイドが奏効します。看護では塩分制限を中心とした食事管理、ステロイドの副作用観察、感染予防、自己中断防止の服薬指導が要となります。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
ネフローゼ症候群の四大徴候は、高度蛋白尿、、浮腫、高コレステロール血症(脂質異常症)である。
- 2.
ネフローゼ症候群の診断基準では、成人で1日g以上の蛋白尿がみられる。
- 3.
ネフローゼ症候群では血漿のが低下することで、血管内から間質へ水分が移動し浮腫を生じる。
- 4.
小児特発性ネフローゼ症候群の病型として最も多いのはである。
- 5.
ネフローゼ症候群の治療の第一選択薬は(プレドニゾロン)である。
- 6.
ネフローゼ症候群の食事療法では、浮腫の強い時期にの制限を行う。
- 7.
ステロイド薬の代表的な副作用として、顔が丸くなる(ムーンフェイス)が知られている。
- 8.
ステロイド内服中は免疫抑制状態となるため、退院指導では予防行動の徹底が重要である。
- 9.
ステロイド薬を長期内服している患者が自己判断で急に中止すると、(離脱症候群)を起こす危険がある。
