斜視の手術と看護
小児看護学 / 小児循環器・呼吸器・その他
解説
今回は斜視の手術と看護について解説します。
斜視とは
斜視とは、片方の眼が見ようとする対象に向いているのに対し、もう片方の眼が異なる方向を向いてしまう眼位異常のことです。両眼の視線が一致しないため、両眼視機能(立体的に物を見る機能)の発達に支障をきたします。
斜視の分類
斜視は偏位する方向によって分類されます。眼球が鼻側(内側)に偏位するものを内斜視、外側に偏位するものを外斜視といいます。さらに眼球が上方に偏位する上斜視、下方に偏位する下斜視もあります。なかでも国試で頻出なのは内斜視と外斜視で、向く方向と名称の対応を正確に押さえることが重要です。
乳児内斜視と早期手術
乳児内斜視とは、生後6か月以内に発症する内斜視のことです。視機能の発達には3歳前後までの臨界期があり、この時期に両眼視ができない状態が続くと、弱視や両眼視異常といった不可逆的な障害が残ってしまいます。そのため乳児内斜視では、視機能の発達を妨げないように早期手術が原則です。早期に眼位を矯正することで弱視を予防し、正常な両眼視機能の獲得を目指します。
斜視の手術
斜視の手術は、眼球を動かす外眼筋の前転・後転を行い、眼位を整える方法です。筋肉の付着部を強める方向にずらすのが前転、弱める方向にずらすのが後転で、これらを組み合わせて左右のバランスを調整します。小児では協力が得られにくいため全身麻酔下で行うことが一般的です。
術前管理
小児の全身麻酔手術では、不安と恐怖の軽減、唾液・気道分泌の抑制を目的に前投薬が行われます。
前投薬の種類と注意点
ミダゾラムは鎮静・抗不安作用を目的に経口投与される薬剤で、約30分後に手術室入室となります。ただし小児では、興奮・不穏・多動が出現する逆説的興奮(パラドキシカル反応)がみられることがあり注意が必要です。アトロピンは唾液や気道分泌を抑制し、麻酔導入時の徐脈を予防する目的で投与されます。
前投薬後の看護
前投薬投与後はふらつきによる転倒・転落のリスクが高まるため、ベッド上で安静を保ちます。麻酔のため絶飲食を維持することも重要です。子どもが不安にならないよう、両親に絵本を読んでもらうなど、静的な活動で気を紛らわせるよう支援します。
術後管理
術後はガーゼと眼帯で創部を保護します。感染予防のために抗菌薬の点眼が行われ、退院後も自宅で継続します。幼児の場合、無意識に眼をこすってしまうのを防ぐため、肘関節抑制帯を一定期間装着します。創部の感染や離開を防ぐため、医師の許可が出るまで洗顔・洗髪は控えます。
一過性の複視
術後、外眼筋を動かしたことにより、物が二重に見える複視が一時的に出現することがあります。小児は視覚の適応力が高く、多くは自然に軽快するため、家族には一過性の症状であることを説明し、過度な不安を抱かせないよう配慮します。
退院後の家族指導
退院後は家族のケアが回復の鍵となります。抗菌薬点眼を指示通り継続し、感染を予防すること、子どもが眼をこすらないように見守り、必要に応じて抑制帯を継続すること、複視が出現しても一過性であることを理解しておくこと、定期受診を欠かさないことを伝えます。
まとめ
斜視は眼位異常であり、内斜視・外斜視・上下斜視に分類されます。乳児内斜視は視機能発達の臨界期との関係から早期手術が原則で、外眼筋の前転・後転で眼位を整えます。術前はミダゾラム・アトロピンによる前投薬が行われ、逆説的興奮や転倒・絶飲食維持に注意します。術後は抗菌薬点眼の継続、肘関節抑制帯による創部保護、一過性の複視への対応が重要です。家族指導まで含めて理解することが国試対策の要となります。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
眼球が鼻側(内側)に偏位する斜視をという。
- 2.
眼球が外側に偏位する斜視をという。
- 3.
生後6か月以内に発症し、放置すると弱視や両眼視異常を残すため早期手術が原則となるのはである。
- 4.
視機能の発達には前後までの臨界期があり、この時期までに眼位を矯正することで弱視を予防する。
- 5.
斜視の手術では、眼球を動かすの前転・後転によって眼位を整える。
- 6.
術前の前投薬として用いられ、鎮静・抗不安作用をもつが、小児では逆説的興奮がみられることがある薬剤はである。
- 7.
術前の前投薬として、唾液・気道分泌を抑制し徐脈を予防する目的で投与される薬剤はである。
- 8.
斜視術後に外眼筋を動かしたことで物が二重に見える一時的な症状をという。
- 9.
斜視術後、幼児が眼をこすって創部を傷つけないようにするため、一定期間装着する抑制具をという。
- 10.
斜視術後の感染予防のため、退院後も自宅で継続して使用する薬剤はである。
