IgA血管炎(紫斑病性腎炎)
小児看護学 / 小児血液・腫瘍・その他
解説
IgA血管炎とは、IgAを含む免疫複合体が全身の小血管に沈着して起こる全身性の血管炎であり、かつてはHenoch-Schönlein紫斑病(HSP)と呼ばれていました。今回はIgA血管炎と、その腎合併症である紫斑病性腎炎について解説します。
疾患の概要と病態
IgA血管炎は3〜10歳の小児に好発し、思春期にもみられます。多くは上気道感染をきっかけに発症することが知られています。病態の中心は、IgAを含む免疫複合体が皮膚・関節・消化管・腎臓などの小血管壁に沈着し、白血球破砕性血管炎を引き起こすことです。これにより血管の透過性が亢進し、出血や浮腫をきたします。
4つの主要症状
本症の特徴は、皮膚・関節・消化管・腎の4徴候がそろう点にあります。
紫斑
両下肢を中心に左右対称性に出現する触知可能な出血性紫斑が特徴で、圧迫しても消えません。紫斑の再出現は疾患の再燃を意味する重要なサインです。
関節症状
下肢関節を中心に関節痛や関節腫脹がみられますが、多くは一過性で関節破壊は残しません。
消化器症状
腸管壁の浮腫や粘膜出血により強い腹痛や血便を呈し、まれに腸重積を合併します。
腎症状(紫斑病性腎炎)
血尿・蛋白尿として現れ、長期予後を左右します。
検査所見と鑑別診断
紫斑性疾患の鑑別では血液検査が重要です。IgA血管炎では血小板数は正常で、PT・APTTといった凝固能も正常範囲にとどまります。この点が、血小板減少を示す特発性血小板減少性紫斑病(ITP)や白血病との大きな鑑別点になります。CRPは正常から軽度上昇、補体価(CH50)は多くは正常、抗核抗体は陰性です。SLEや感染性疾患も鑑別に挙がります。
治療
軽症では安静・疼痛コントロール・補液を中心とした対症療法が基本です。強い腹痛や消化管出血、腎症を伴う重症例ではステロイドや免疫抑制薬が用いられます。紫斑病性腎炎の重症度は、国際小児腎臓病研究班(ISKDC)分類における半月体形成の割合で評価され、治療強度が決定されます。
確定診断と長期フォロー
6か月以上にわたり血尿・蛋白尿・低アルブミン血症が持続する場合は糸球体病変の慢性化が疑われ、確定診断のため腎生検を行い、半月体やメサンギウム増殖の有無を組織学的に評価します。腎症の有無が予後を決定するため、退院後も数か月から年単位で尿検査によるフォローが必要です。
ステロイド治療の副作用と看護指導
ステロイド療法中は、易感染性、満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満、骨粗鬆症、ステロイド糖尿病、消化性潰瘍、精神症状、小児では成長障害、皮膚の菲薄化などが生じます。最も注意すべきは自己判断で中止すると副腎不全をきたす点であり、必ず漸減します。看護師は感染予防の指導、カルシウムとビタミンDを意識した食事指導、服薬遵守の徹底を行います。また、家庭では皮膚を観察し、紫斑の再出現を記録して外来受診時に医師へ提示するよう指導します。学校生活への復帰支援も重要な役割です。
まとめ
IgA血管炎は小児に好発し、紫斑・関節痛・腹痛・腎症の4徴候を示します。血小板・凝固能が正常である点がITPや白血病との鑑別点となり、紫斑病性腎炎の有無が長期予後を左右します。ステロイド治療では副作用と自己中断の危険を踏まえた看護指導が不可欠です。
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- 1.
IgA血管炎は歳の小児に好発し、感染後に発症することが多い疾患である。
- 2.
IgA血管炎の病態は、を含む免疫複合体が小血管に沈着して起こる血管炎である。
- 3.
IgA血管炎の4徴候は、紫斑、、、腎症状である。紫斑は両下肢中心に対称性に出現するな出血性紫斑が特徴である。
- 4.
IgA血管炎では血小板数はで、PT・APTTも正常であり、この点が(特発性血小板減少性紫斑病)や白血病との鑑別点となる。
- 5.
紫斑病性腎炎の確定診断にはが行われ、ISKDC分類では形成の割合で重症度を評価する。
- 6.
重症例や腎症を伴う場合はや免疫抑制薬が使用される。自己中断はを招くため、必ず漸減する必要がある。
- 7.
ステロイドの副作用として、易感染性、(ムーンフェイス)、中心性肥満、、ステロイド糖尿病などがみられる。
- 8.
看護指導では、紫斑のが疾患の再燃を意味するため、家庭で皮膚を観察し記録するよう説明する。また、腎症の有無が長期予後を左右するため、退院後もによるフォローを継続する。
