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アルツハイマー術後合併症

老年看護学 / 認知症ケア

解説

今回はアルツハイマー型認知症を持つ高齢者の術後合併症と看護について解説します。認知症高齢者は手術侵襲・環境変化・薬剤の影響を受けやすく、術後せん妄や昼夜逆転などの精神症状を起こしやすい状態にあります。さらに胃全摘術を受けた場合には、退院後の食事管理がきわめて重要となります。

術後せん妄

術後せん妄とは、手術後に急性に発症する意識障害・注意障害・認知機能変動を主徴とする状態で、日内変動を伴い一過性に経過します。高齢・認知症はもっとも重要な促進因子であり、手術侵襲、疼痛、薬剤、睡眠障害、点滴やドレーン類による拘束感、慣れない病室環境などが誘因となります。症状としては、夜間に大声をあげる、ベッド柵を叩く、現在地や状況がわからなくなるなどの見当識障害や興奮、幻覚がみられます。

看護のポイントは、まず穏やかに声をかけ、「ここは病院で、手術が終わった後である」ことを繰り返し伝えて見当識を補強することです。時計・カレンダーの設置、家族の面会、使い慣れた物品の活用も有効です。予防的には、十分な疼痛緩和、睡眠リズムの確保、不要な点滴・カテーテル類の早期抜去、過剰な身体抑制の回避が基本となります。スクリーニングにはCAM-ICUやDELIRIA-Jが用いられます。

昼夜逆転と徘徊

術後しばらく経過すると、日中は傾眠で過ごし夜間に覚醒・徘徊するという昼夜逆転が問題となることがあります。対応の基本は生活リズムを整えることで、午後にレクリエーションなど活動性を高めるプログラムを取り入れ、日中の活動量と覚醒度を確保します。朝の光曝露、規則正しい食事時間、カフェイン制限、夜間の暗環境調整も重要です。昼寝は短時間にとどめます。

徘徊は認知症のBPSD(行動・心理症状)の一つで、不安や疼痛、空腹、排泄欲求などの背景因子が隠れていることが多くあります。行動を頭ごなしに制止せず、安全な環境を確保したうえで見守り、背景にあるニーズを丁寧に評価する姿勢が求められます。

胃全摘術後の食事指導

胃全摘術後は胃の貯留機能が失われるため、1日5〜8回の分割食とし、よく噛んでゆっくり摂取するよう指導します。食物が小腸へ急速に流入することで起こるのがダンピング症候群です。食後30分以内に動悸・発汗・腹痛・下痢などが出現するものを早期ダンピング症候群、食後2〜3時間後に低血糖症状が出現するものを後期ダンピング症候群といいます。後期では糖質を含む補食で対応します。

その他の合併症として、逆流性食道炎、鉄欠乏性貧血、内因子欠如によるビタミンB12欠乏を背景とした巨赤芽球性貧血、カルシウム吸収低下による骨粗鬆症があります。ビタミンB12は経口吸収ができないため、定期的な筋肉内注射による補充が必要です。

まとめ

認知症高齢者の周術期では、術後せん妄と昼夜逆転の予防が重要であり、見当識補強・疼痛緩和・生活リズム調整が看護の柱となります。胃全摘術後は分割食を基本とし、ダンピング症候群やビタミンB12欠乏に注意した長期的な食事・補充療法が不可欠です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    手術後に急性に発症し、意識・注意・認知機能の変動と日内変動を伴う一過性の状態をという。

  2. 2.

    術後せん妄の評価に用いられる代表的なスクリーニングツールにDELIRIA-Jとがある。

  3. 3.

    認知症高齢者で日中に眠り夜間に覚醒・活動する状態をといい、午後のレクリエーションなど日中の活動量確保が対応の基本となる。

  4. 4.

    徘徊などの認知症に伴う行動・心理症状を総称してという。

  5. 5.

    胃全摘術後は胃の貯留機能が失われるため、1日回の分割食とする。

  6. 6.

    食物が小腸へ急速流入することで食後30分以内に動悸・発汗・下痢などを生じる状態をという。

  7. 7.

    食後2〜3時間で低血糖症状を呈するものをという。

  8. 8.

    胃全摘後は内因子欠如によりの吸収が障害され、巨赤芽球性貧血の原因となるため定期的な筋注補充が必要である。

アルツハイマー術後合併症」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。