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救命救急病棟の地震対応

看護の統合と実践 / 災害看護

解説

地震などの災害が発生したとき、救命救急病棟の看護師には冷静かつ系統立った行動が求められます。特に人工呼吸器や輸液ポンプ、酸素療法など生命維持に直結する医療機器を使用している患者が多い病棟では、停電や機器停止が即座に生命の危機につながるため、災害発生直後の初動が極めて重要となります。本稿では発災直後の対応、火災を伴う場合の熱傷患者へのトリアージ、そして災害後の小児の心理的反応への関わりまでを順に学んでいきます。

災害発生直後の行動原則

災害看護の基本原則として CSCATT (指揮:Command、安全:Safety、情報伝達:Communication、評価:Assessment、トリアージ:Triage、治療:Treatment、搬送:Transport) が知られています。発災直後はこのうちSafety(安全確保)とAssessment(評価)が中心となります。

行動の順序は 自身の安全確保 → 患者の安全確認 → 被災状況の把握 → 報告 が原則です。看護師自身が負傷すれば救護活動ができなくなるため、まず机の下に入る、頭を保護するなどして自分の身を守ることが最優先です。

揺れが収まった直後の段階では、入院患者の安否確認と医療機器の作動状況確認が最優先となります。人工呼吸器が停電で停止していないか、輸液ポンプが転倒・破損していないか、酸素配管に損傷がないかを速やかに確認します。停電時にはバッテリー駆動への切り替えや用手換気(バッグバルブマスク)への移行を即座に判断する必要があります。

火災を伴う災害と気道熱傷

地震後には火災が発生しやすく、煙に巻き込まれた傷病者が搬送されてくることがあります。トリアージで特に注意すべきは 気道熱傷(きどうねっしょう)です。

気道熱傷とは、熱い空気や煙を吸入することで気道粘膜が損傷を受ける状態です。受傷直後は無症状でも、数時間後に咽頭や喉頭の浮腫が進行し気道閉塞をきたすため、皮膚熱傷の範囲が小さくても最優先で対応する必要があります。

気道熱傷を疑う所見には、鼻毛の焼け焦げ、顔面の熱傷、煤(すす)を含む痰、嗄声(させい:声がれ)、喘鳴、咽頭痛などがあります。これらの所見があれば、皮膚熱傷の疼痛よりも気道確保の準備(気管挿管の準備)が優先されます。皮膚熱傷の処置や疼痛緩和は気道の安全が確保された後に行います。

災害後の小児の心理反応

災害を体験した小児には、特有のストレス反応が現れます。食欲低下、不眠、過敏反応のほか、年齢より幼い行動に戻る 退行(たいこう)現象がみられます。退行の具体例としては、夜尿(おねしょ)、指しゃぶり、甘え、親から離れられないなどがあります。

これらは異常な状況に対する正常な反応であり、叱ったり無理にやめさせたりすると不安が強まります。家族には「災害後によくみられる反応であること」を説明し、安心感を与えるためにスキンシップを増やし、子どもの求めに応じて受容的に関わるよう支援します。

多くは数週間から数か月で軽快しますが、症状が長期化したり悪化したりする場合には急性ストレス障害(ASD)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)を疑い、専門家への相談が必要となります。

まとめ

救命救急病棟での地震対応では、発災直後はまず自身の安全を確保し、その後に患者の安否確認と医療機器の作動状況確認を行います。火災を伴う災害では気道熱傷を見逃さず、鼻毛の焼け焦げや顔面熱傷があれば気道確保の準備を最優先とします。災害後の小児にみられる退行現象は正常な反応であり、受容的な関わりと家族への説明が重要です。CSCATTの原則を軸に、優先順位を意識した行動を身につけましょう。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    災害看護の基本原則であるCSCATTのうち、発災直後に中心となるのは安全確保とである。

  2. 2.

    災害発生直後の行動順序は、自身の安全確保→患者の安全確認→→報告である。

  3. 3.

    停電時に人工呼吸器が停止した場合、用手換気としてに切り替える。

  4. 4.

    熱い空気や煙の吸入により気道粘膜が損傷を受ける状態をという。

  5. 5.

    気道熱傷を疑う所見には、鼻毛の焼け焦げ、顔面熱傷、煤を含む痰、、喘鳴などがある。

  6. 6.

    気道熱傷では受傷後数時間でが進行し気道閉塞をきたすため、早期の気道確保準備が必要である。

  7. 7.

    災害を体験した小児が、夜尿や指しゃぶりなど年齢より幼い行動に戻る現象をという。

  8. 8.

    災害後の小児のストレス反応が長期化・悪化した場合は、心的外傷後ストレス障害()を疑い専門家への相談を考慮する。

救命救急病棟の地震対応」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。