パルスオキシメータの測定
基礎看護学 / バイタル・フィジカルアセスメント
解説
今回はパルスオキシメータの測定について解説します。
パルスオキシメータの原理
パルスオキシメータとは、皮膚の上から光を当てるだけで動脈血の酸素飽和度を測定できる非侵襲的な医療機器です。測定値はSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)と表示され、動脈血中のヘモグロビンのうち酸素と結合している割合を百分率で示します。
原理は2波長の光の吸光度差を利用したものです。プローブからは**赤色光(波長660nm)と赤外光(波長940nm)**の2種類の光が組織に向けて照射されます。酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンでは2波長に対する光吸収特性が異なるため、その差を計算することで酸素飽和度が求められます。さらに動脈の拍動成分(脈波)のみを抽出して解析することで、静脈血や組織の影響を除外し、動脈血の値だけを取り出しています。この仕組みから、脈拍数(PR)も同時に表示されます。
なお、動脈血酸素分圧(PaO2)、二酸化炭素分圧(PaCO2)、重炭酸イオン濃度などはパルスオキシメータでは測定できず、これらは動脈血ガス分析で評価します。
測定部位と装着方法
測定には光が組織を透過する必要があるため、厚さがおおむね6〜18mmで動脈の拍動が十分に検出できる部位を選びます。標準的には手足の指先や耳たぶにプローブを装着します。末梢循環が低下している患者では、より中枢に近い耳朶や鼻翼を選ぶと測定値が安定します。同一部位に長時間装着すると皮膚障害や低温熱傷を起こす危険があるため、定期的にプローブの位置を変更します。
正常値と臨床的意義
SpO2の正常値はおおむね**96〜99%**で、90%以下は低酸素血症と判断します。ただしCOPDなど慢性的に二酸化炭素が貯留しやすい患者では、高濃度酸素の漫然とした投与によりCO2ナルコーシスを誘発する恐れがあるため、SpO2は90%前後を目標とします。
測定値に影響する因子
正確な測定には、末梢への拍動性血流が検出できることが前提となります。末梢循環不全があると脈波が弱まり、値が低く出るか測定不能となります。具体的には、ショック、低心拍出量、低血圧、寒冷、低体温、血管収縮薬投与時などが該当します。このような場合は装着部位を温めるか、血流の良い別の指や耳朶へ変更します。
光学的な誤差要因として、マニキュア(特に黒・青・緑)、人工爪、爪白癬、体動、強い外光、皮膚色素沈着などがあります。血液側の要因では、一酸化炭素中毒で生じる一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)は酸素化ヘモグロビンと類似の光吸収特性を示すため、SpO2が偽高値となり臨床判断を誤らせます。メトヘモグロビン血症では値が85%前後に収束し、重度貧血やメチレンブルーなどの色素投与でも誤差を生じます。
まとめ
パルスオキシメータは赤色光と赤外光の吸光度差から動脈血酸素飽和度を非侵襲的に測定する装置で、SpO2と脈拍数を表示します。正常値は96〜99%、90%以下は低酸素血症の指標となります。測定には末梢の拍動性血流が必要なため、末梢循環不全やマニキュア、一酸化炭素中毒などで誤差が生じることを理解し、看護では装着部位の選択、皮膚保護、臨床所見との総合的な判断が重要となります。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
パルスオキシメータで測定される動脈血の酸素飽和度をという。
- 2.
パルスオキシメータでは波長660nmのと波長940nmの赤外光を用いる。
- 3.
パルスオキシメータでは動脈の成分を抽出して動脈血の値を算出する。
- 4.
パルスオキシメータではSpO2とが同時に表示される。
- 5.
SpO2の正常値はおおむね%で、90%以下は低酸素血症と判断する。
- 6.
パルスオキシメータの標準的な測定部位は手足の指先とである。
- 7.
末梢循環不全や低体温では脈波が弱まり、SpO2は表示されるか測定不能となる。
- 8.
爪に塗られた(特に黒・青・緑)は光吸収を妨げ誤差の原因となる。
- 9.
一酸化炭素中毒ではCOHbの影響でSpO2がを示す。
- 10.
動脈血酸素分圧や二酸化炭素分圧の評価にはが必要である。
