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国民医療費と社会保障給付費

健康支援と社会保障制度 / 医療保険・社会保障制度

解説

看護師国家試験では、日本の医療や福祉を支えるお金の流れを示す統計として、国民医療費と社会保障給付費が頻出します。どちらも「国が公表する大きな数字」ですが、対象となる費用の範囲も、集計の目的も異なります。ここでは、それぞれの定義と内訳、そして「何が含まれ、何が含まれないのか」を、ゼロから整理していきます。

国民医療費とは

国民医療費とは、1年度間に医療機関等で保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものです。厚生労働省が毎年公表しており、医療政策の最も基本的な指標として位置づけられています。ここでいう「保険診療」とは、健康保険や国民健康保険、後期高齢者医療制度などの公的医療保険が適用される診療のことを指します。

国民医療費に含まれる費用は、医科診療医療費、歯科診療医療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費、療養費(移送費を含む)などです。とくに入院中に提供される食事の費用は入院時食事療養費として保険診療の枠組みに入るため、国民医療費に算入される点が国試で問われやすいところです。

一方で、保険診療の対象外となる費用は国民医療費に含まれません。具体的には、正常な妊娠・分娩に関する費用、健康診断や人間ドックなどの予防的医療費、予防接種費用、固定した身体障害のための義眼・義肢費用、差額ベッド代、市販薬の購入費などが該当します。「治療」ではなく「予防」「健診」「自由診療」に当たるものは外れる、と覚えると整理しやすいでしょう。

国民医療費の規模と財源

国民医療費は年々増加しており、平成23年度に約38.6兆円、平成25年度に初めて40兆円を突破し、令和3年度には約45兆円に達しました。国民1人あたりでは約35万円前後、対GDP比は約8%程度で推移しています。

財源構成はおおむね、保険料が約5割、公費(税)が約4割、患者の自己負担が約1割です。診療種類別では医科診療医療費が約7割を占めて最大で、続いて薬局調剤医療費、歯科診療医療費の順になります。年齢階級別にみると、65歳以上の医療費が全体の約6割、75歳以上で約4割を占め、高齢化が医療費増大の主な要因となっています。

社会保障給付費とは

社会保障給付費は、年金・医療・福祉などの社会保障制度を通じて国民に給付された費用の総額で、国立社会保障・人口問題研究所がILO基準に基づいて毎年集計しています。国民医療費が「医療」のみを対象とするのに対し、社会保障給付費はより広く「社会保障全体」の給付規模を示す指標です。

社会保障給付費は、年金、医療、福祉その他の3つに分類されます。福祉その他には介護、児童手当、失業給付、生活保護などが含まれます。

内訳の順位

国試で最も重要なのは、内訳の多い順が 年金 > 医療 > 福祉その他 であるという点です。平成24年度の総額は約108.6兆円で、年金が約54兆円(約50%)、医療が約34.6兆円(約32%)、福祉その他が約20兆円(約18%)でした。この順序は近年変わっておらず、総額は令和年間に入って130兆円を超え、対GDP比は25%前後に達しています。

まとめ

国民医療費は保険診療に要した医療費の推計、社会保障給付費は年金・医療・福祉を含む給付の総額です。国民医療費では入院時食事療養費が含まれる一方、正常分娩や健診、予防接種、差額ベッド代は含まれないこと、財源は保険料5割・公費4割・患者負担1割であること、社会保障給付費の内訳は年金>医療>福祉その他の順であることを、確実に押さえておきましょう。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    国民医療費は、1年度間に医療機関等での対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。

  2. 2.

    入院中の食事代はとして国民医療費に含まれる。

  3. 3.

    正常な妊娠・分娩、健康診断、予防接種、差額ベッド代は国民医療費に

  4. 4.

    国民医療費が初めて40兆円を超えたのは平成年度である。

  5. 5.

    国民医療費の財源は、保険料が約割、公費が約4割、患者負担が約1割である。

  6. 6.

    国民医療費を年齢階級別にみると、歳以上が全体の約6割を占める。

  7. 7.

    社会保障給付費は基準に基づいて国立社会保障・人口問題研究所が集計している。

  8. 8.

    社会保障給付費の内訳を多い順に並べると、年金>>福祉その他となる。

国民医療費と社会保障給付費」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。