臓器移植法
健康支援と社会保障制度 / 福祉法・人権関連法
解説
臓器移植法とは、脳死または心停止後の人から臓器を提供し、重い病気の患者に移植するための手続きを定めた法律です。今回は看護師国家試験で頻出の臓器移植法について、基礎から解説します。
臓器移植法の概要
正式名称は臓器の移植に関する法律といい、1997年に成立・施行されました。この法律は、心臓・肺・肝臓・腎臓・膵臓・小腸・眼球など、提供された臓器を移植によって有効に活用するためのルールを定めたものです。臓器を提供する人をドナー、移植を受ける人をレシピエントと呼びます。
脳死とは
脳死とは、脳幹を含む脳全体の機能が不可逆的に停止した状態をいいます。人工呼吸器によって心臓は動いていても、自発呼吸はなく回復の見込みはありません。日本では臓器移植の場面に限り、脳死が「人の死」として扱われます。これに対して植物状態は、大脳の機能は失われていても脳幹は生きており、自発呼吸が可能で回復の可能性も残されている状態であり、脳死とはまったく異なる概念です。
1997年の旧法と2009年の改正
旧法では、臓器提供には本人の書面による意思表示が必須であり、提供できる年齢は15歳以上に限られていました。そのため、小児の脳死下臓器提供は国内では事実上不可能で、海外渡航による移植に頼らざるを得ない状況がありました。
2009年に改正され、2010年7月から全面施行された現行法では、ドナー要件が大きく緩和されました。最大のポイントは、本人の意思が不明な場合でも家族の書面による承諾があれば臓器提供が可能になったことです。これにより15歳未満の小児からの提供も認められるようになりました。さらに、配偶者・子・父母など親族への優先提供の意思表示も可能になっています。
意思表示の方法と小児の脳死判定
臓器提供の意思表示は、運転免許証・健康保険証・マイナンバーカードの裏面にある意思表示欄、あるいは臓器提供意思表示カードに記入して行います。提供する・しないのいずれの意思も尊重されます。
小児の脳死判定には特別な配慮があり、生後12週未満は判定の対象外です。また、6歳未満では2回の判定の間隔を24時間以上、6歳以上では6時間以上とるように定められています。さらに、虐待を受けた疑いのある小児からの臓器提供は除外されます。
看護師の役割
臓器移植の現場で看護師は、ドナー家族への精神的支援すなわちグリーフケアや、レシピエントの術前術後管理、長期にわたる免疫抑制療法の自己管理支援など、幅広い役割を担います。家族の意思決定を尊重しつつ、丁寧な情報提供と心理的サポートを行うことが求められます。
まとめ
臓器移植法は1997年に成立し、2009年の改正によって本人の意思が不明でも家族の承諾があれば臓器提供が可能となり、15歳未満からの提供も認められました。脳死下臓器提供の年齢制限は撤廃され、親族への優先提供や意思表示の手段拡充もなされています。脳死と植物状態の違い、小児脳死判定の特例など、国試で問われる基本事項を確実に押さえておきましょう。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
臓器移植法の正式名称は「臓器のに関する法律」であり、年に成立した。
- 2.
脳死とはを含む脳全体の機能が不可逆的に停止した状態をいい、日本では臓器移植の場面に限り人の死として扱われる。
- 3.
旧法では臓器提供は本人の書面による意思表示が必須で、提供可能年齢は歳以上に限られていた。
- 4.
2009年改正・2010年施行の現行臓器移植法では、本人の意思が不明でもの書面による承諾があれば臓器提供が可能となった。
- 5.
現行法では脳死下臓器提供の年齢制限が撤廃され、歳未満の小児からの提供も認められた。
- 6.
現行法では配偶者・子・父母などへの優先提供の意思表示が可能である。
- 7.
小児の脳死判定では、生後週未満は判定の対象外とされる。
- 8.
を受けた疑いのある小児からの臓器提供は除外される。
- 9.
臓器を提供する人を、移植を受ける人をレシピエントと呼ぶ。
