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国民医療費と保健統計調査

健康支援と社会保障制度 / 公衆衛生・人口統計

解説

今回は国民医療費と保健統計調査について解説します。看護師国家試験では、日本の保健医療の現状を数値で把握する力が求められます。各統計の目的・実施主体・対象・頻度・主な指標を整理して理解しましょう。

国民医療費

国民医療費とは、当該年度内に国内の医療機関等で保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものです。厚生労働省が毎年公表しており、医療政策や診療報酬改定の基礎資料となります。

国民医療費に含まれないもの

国民医療費は保険診療の範囲を対象とするため、正常な妊娠・分娩に要する費用、健康診断、予防接種、人間ドック、市販薬の購入費、固定した身体障害のための義眼や義肢、室料差額、選択的な美容整形などの自費診療は含まれません。「治療」ではなく「予防」や「健診」に関する費用は対象外と覚えておくと整理しやすいです。

規模感と1人当たり医療費

国民医療費は年々増加傾向にあり、近年は40兆円を超える水準で推移しています。平成28年度(2016年度)の人口1人当たり国民医療費は約33万円で、総額は42兆1,381億円でした。国家試験では「1人当たり約33万円」という目安を押さえておくと、選択肢から最も近い金額を選ぶ問題に対応できます。

年齢階級別の特徴

国民医療費を年齢階級別にみると、65歳以上が全体の約6割を占め、特に75歳以上の後期高齢者の1人当たり医療費は若年層の約4倍に達します。医療費増加の主因は人口の高齢化と医療技術の高度化です。

保健統計調査の全体像

日本の保健統計は、人口の状態を捉える人口統計と、医療や生活の状況を捉える保健・医療関連調査に大別されます。それぞれの目的・実施主体・頻度を区別して覚えることが国試対策の鍵となります。

人口静態統計と国勢調査

人口静態統計とは、ある一時点の人口構造(性別・年齢・世帯など)を示す統計です。基礎資料となるのは総務省統計局5年ごとの10月1日時点で実施する国勢調査で、日本国内に住むすべての人を対象とする全数調査です。日本で最も基本的な人口統計と位置づけられます。

人口動態統計

人口動態統計は、一定期間内の人口の変動を示す統計で、出生・死亡・死産・婚姻・離婚の5つの届出を集計したものです。戸籍法等に基づく届出を厚生労働省が集計します。死亡率・出生率・婚姻率などの算出に用いられます。

母子保健統計の指標

母子保健関連の死亡指標は、分母が何かを区別することが頻出ポイントです。

出生数を分母とする指標

乳児死亡率は「年間の乳児死亡数(生後1年未満の死亡数)÷年間の出生数×1000」で算出され、出生千対で表されます。同じく新生児死亡率(生後4週未満)と早期新生児死亡率(生後1週未満)も分母は出生数です。乳児死亡率はその国の母子保健や公衆衛生の水準を反映する代表的指標で、日本は世界で最も低い水準(1.7前後/出生千対)にあります。

出産数(出生+死産)を分母とする指標

死産率や周産期死亡率は分母が出産数(出生+死産)となります。妊産婦死亡率は「年間妊産婦死亡数÷年間出産数×10万」で算出され、10万対で表す点が特徴です。

主要な保健統計調査

看護師国家試験では、調査名と主な調査項目・実施主体・頻度の組合せが繰り返し問われます。

患者調査

患者調査は厚生労働省が3年ごとに実施する標本調査で、全国の医療施設を利用した患者の傷病状況や受療の状況を把握します。推計患者数、受療率、退院患者の平均在院日数などを算出し、医療計画や診療報酬改定の基礎資料となります。

国民生活基礎調査

国民生活基礎調査は厚生労働省が実施する標本調査で、世帯構造、所得、有訴者率通院者率、健診受診状況などを把握します。大規模調査は3年ごと、簡易調査は毎年実施されます。

国民健康・栄養調査

国民健康・栄養調査は厚生労働省が毎年実施する標本調査で、身体状況、栄養摂取状況、生活習慣(喫煙、飲酒、運動、睡眠など)を把握します。健康日本21の評価指標としても活用されます。

医療施設調査

医療施設調査は厚生労働省が実施し、医療施設数、病床数、診療機能などを把握します。静態調査は3年ごと、動態調査は毎月実施されます。

まとめ

国民医療費は保険診療の対象費用を推計したもので、予防接種や健康診断は含まれません。1人当たり約33万円、年齢では65歳以上が約6割を占めることが頻出知識です。人口統計は、5年ごとの国勢調査を基にする人口静態統計と、出生・死亡・死産・婚姻・離婚の届出を集計する人口動態統計に分かれます。母子保健指標では分母が出生数か出産数かを区別し、妊産婦死亡率のみ10万対で表されます。患者調査は受療状況、国民生活基礎調査は有訴者率・通院者率、国民健康・栄養調査は栄養摂取と生活習慣を扱う、と調査ごとの主な項目をセットで整理しておくと、組合せ問題で迷わず正答にたどり着けます。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    国民医療費は当該年度内に国内の医療機関等での対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。

  2. 2.

    国民医療費には、正常分娩費・健康診断・・人間ドックなどの費用は含まれない。

  3. 3.

    平成28年度(2016年度)の人口1人当たり国民医療費は約円である。

  4. 4.

    国民医療費を年齢階級別にみると、歳以上が全体の約6割を占める。

  5. 5.

    ある一時点の人口構造を示す人口静態統計の基礎資料となるのは、総務省統計局が5年ごとに実施するである。

  6. 6.

    人口動態統計は、出生・死亡・死産・婚姻・の5つの届出を集計したものである。

  7. 7.

    乳児死亡率は、年間の乳児死亡数を年間ので割り1000を乗じて算出される(出生千対で表される)。

  8. 8.

    妊産婦死亡率は分母を出産数とし、対で表される。

  9. 9.

    受療率や退院患者の平均在院日数を把握するために厚生労働省が3年ごとに実施する保健統計調査はである。

  10. 10.

    世帯構造や有訴者率・通院者率を把握する保健統計調査はである。

国民医療費と保健統計調査」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。