食中毒の原因菌
健康支援と社会保障制度 / 感染症対策と予防
解説
食中毒とは、病原微生物や有害物質を含む飲食物を摂取することにより、下痢・嘔吐・腹痛・発熱などの健康被害をきたす疾患の総称です。今回は食中毒の原因菌について解説します。
食中毒の分類
食中毒は原因によって、細菌性、ウイルス性、自然毒(フグ毒、キノコ毒など)、化学物質によるものに大別されます。日本で発生件数の多くを占めるのは細菌性とウイルス性であり、看護師国家試験ではこの二つを中心に学習することが重要です。
細菌性食中毒の発症機序による分類
細菌性食中毒は発症機序によって三つに分類されます。
感染型
生きた細菌が体内に侵入し、腸管内で増殖して発症します。潜伏期は半日から数日と比較的長く、発熱を伴うことが多いのが特徴です。代表的な菌にサルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオがあります。
毒素型(食品内毒素型)
食品中で細菌が産生した毒素を摂取することで発症します。菌そのものは死滅しても毒素が残れば発症するため、潜伏期は数時間と短く、嘔吐が主症状となります。代表は黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌(嘔吐型)です。
生体内毒素型
摂取された菌が腸管内で毒素を産生して発症します。腸管出血性大腸菌(ベロ毒素を産生)、ウェルシュ菌が代表です。
代表的な原因菌と媒介食品
サルモネラは鶏卵や鶏肉、食肉を介して感染し、加熱不十分な調理で発症します。カンピロバクターは鶏肉が主な媒介食品です。腸管出血性大腸菌O157は牛肉や生レバーから感染し、ベロ毒素により溶血性尿毒症症候群を引き起こすことがあります。黄色ブドウ球菌はヒトの皮膚・鼻腔・咽頭に常在し、特に化膿した創部に高密度で存在するため、食品を扱う人の手指の傷が汚染源となります。産生されるエンテロトキシンは耐熱性で、100℃30分の加熱でも失活しません。腸炎ビブリオは魚介類などの海産物、ウェルシュ菌はカレーなどの作り置き、セレウス菌はチャーハンや米飯、ボツリヌス菌は缶詰やはちみつ、ノロウイルスはカキなどの二枚貝が代表的な媒介食品です。
潜伏期と症状
黄色ブドウ球菌は潜伏期1〜6時間と短く、激しい嘔吐・腹痛・下痢が主症状で発熱はまれです。サルモネラやカンピロバクターは潜伏期半日〜数日で発熱を伴います。ボツリヌス菌は神経毒により眼瞼下垂・嚥下障害・呼吸麻痺をきたします。
予防の三原則と看護対応
食中毒予防の三原則は「つけない・増やさない・やっつける」です。手洗いの徹底、食品の低温保存、十分な加熱が基本となります。黄色ブドウ球菌の対策として、手指に化膿創のある調理従事者は食品に直接触れないこと、手袋を使用することが重要です。
まとめ
食中毒の原因菌は媒介食品、潜伏期、症状、発症機序がそれぞれ異なります。感染型と毒素型の違いを整理し、代表的な菌と媒介食品の組み合わせを正確に覚えることが国家試験対策の要点です。看護師は予防三原則に基づき、調理従事者の衛生管理と患者・家族への食品衛生指導を行うことが求められます。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
食中毒予防の三原則は「・・」である。
- 2.
食品を扱う人の化膿した創が汚染源となる代表的な食中毒原因菌はであり、産生される毒素をという。
- 3.
黄色ブドウ球菌が産生するエンテロトキシンはであり、100℃30分の加熱でも失活。
- 4.
黄色ブドウ球菌による食中毒の潜伏期は時間と短く、主症状は激しいで、発熱はである。
- 5.
鶏卵や鶏肉を介して感染し、加熱不十分で発症する代表的な食中毒原因菌はである。
- 6.
鶏肉を主な媒介食品とする食中毒原因菌はであり、牛肉や生レバーを介してベロ毒素による食中毒を起こすのは(O157)である。
- 7.
魚介類など海産物を媒介する食中毒原因菌は、カキなど二枚貝を媒介するウイルス性食中毒の原因はである。
- 8.
カレーなどの作り置きで発生しやすい食中毒原因菌は、缶詰やはちみつを媒介する食中毒原因菌はである。
- 9.
細菌性食中毒のうち、食品中で産生された毒素を摂取して発症するものをといい、生きた菌が腸管内で増殖して発症するものをという。
