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多発性硬化症の在宅看護

地域・在宅看護論 / 在宅難病・その他疾患

解説

今回は多発性硬化症の在宅看護について解説します。

多発性硬化症とは

**多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)**とは、脳・脊髄・視神経といった中枢神経の神経線維をおおう髄鞘(ミエリン)が自己免疫機序により破壊される、脱髄疾患の代表です。髄鞘は神経の電気信号を素早く伝えるための絶縁体の役割を担っており、これが障害されると神経伝導が遅れたり途絶えたりして、さまざまな神経症状が出現します。20〜40歳代の若年女性に好発し、再発と寛解を繰り返しながら緩やかに進行することが特徴で、国の指定難病に位置づけられています。

主な症状

障害される中枢神経の部位によって症状が多彩で、視神経炎による視力低下、眼球運動障害、四肢のしびれや麻痺、小脳失調、そして膀胱直腸障害などがみられます。脊髄に病巣が広がると、両下肢麻痺や尿閉・便秘などの膀胱直腸障害を呈し、自己導尿や浣腸が日常的に必要となる方も少なくありません。

ウートフ現象

在宅療養の指導において最も重要な特徴が、体温の上昇によって神経症状が一過性に悪化する**ウートフ現象(Uhthoff現象)**です。脱髄を起こした神経は熱に弱く、体温が少し上がるだけで伝導が乱れ、視力低下や麻痺の増強、強い疲労感が出現します。入浴で湯船につかること、発熱、激しい運動、夏季の高温環境などがきっかけとなるため、これらをいかに避けるかが在宅生活の鍵となります。

在宅看護のポイント

体温上昇を避けるため、入浴は熱い湯船を避け、ぬるめのシャワー浴を基本とします。室温管理にも気を配り、夏季は冷房を適切に使用します。疲労やストレスは再発の引き金になるため、活動と休息のバランスを整え、規則正しい生活を支援します。両下肢麻痺がある患者では転倒予防の環境調整、尿閉のある患者では清潔な手技による自己導尿の継続支援、便秘に対しては浣腸を含む排便コントロールが看護の中心となります。介護保険や指定難病の医療費助成制度の活用も忘れず案内します。

まとめ

多発性硬化症は中枢神経の脱髄により多彩な症状を呈し、再発と寛解を繰り返す指定難病です。在宅看護では、ウートフ現象を踏まえて体温上昇を避けること、シャワー浴の選択、疲労やストレスの回避、膀胱直腸障害への対応が要となります。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    多発性硬化症は中枢神経の髄鞘が障害される疾患である。

  2. 2.

    多発性硬化症の好発年齢は歳代で、女性に多い。

  3. 3.

    多発性硬化症の経過はを繰り返しながら進行することが特徴である。

  4. 4.

    多発性硬化症で体温が上昇すると神経症状が一過性に悪化する現象をという。

  5. 5.

    ウートフ現象を避けるため、多発性硬化症の患者の入浴は湯船に浸からずとすることが望ましい。

  6. 6.

    多発性硬化症で脊髄に病巣が及ぶと、尿閉や便秘などのがみられる。

  7. 7.

    多発性硬化症は国のに認定されており、医療費助成の対象となる。

多発性硬化症の在宅看護」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。