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頸椎疾患の在宅看護

地域・在宅看護論 / 在宅難病・その他疾患

解説

今回は頸椎疾患の在宅看護について解説します。

頸椎疾患と神経症状

頸椎疾患とは、変形性頸椎症や頸椎椎間板ヘルニア、後縦靱帯骨化症(OPLL)などにより脊柱管が狭窄し、脊髄や神経根が圧迫される一群の疾患を指します。なかでも後縦靱帯骨化症は、椎体の後面を走る後縦靱帯が肥厚・骨化することで脊髄を圧迫する疾患で、中年男性に好発し、頸椎に最も多くみられます。国の指定難病に位置づけられており、四肢の運動麻痺、しびれや感覚障害、巧緻運動障害、歩行障害に加えて膀胱直腸障害を呈することが特徴です。治療として椎弓形成術などの除圧術が行われますが、これは脊柱管を拡大して圧迫を解除する手術であり、すでに損傷した脊髄機能は完全には回復しないため、術後も神経症状を抱えたまま在宅療養に移行する例が多くみられます。

膀胱直腸障害と排尿管理

在宅看護で最も重要な観察項目は排尿状態です。神経因性膀胱では尿意の低下、排尿困難、残尿、尿閉が生じ、放置すると尿路感染症から膀胱尿管逆流、水腎症、腎機能障害へと進行します。尿量、排尿回数、残尿感、尿の混濁や悪臭、発熱、側腹部痛の有無を継続的に観察します。尿流動態検査により排尿筋過活動型か低活動型かを評価し、抗コリン薬やα遮断薬、**清潔間欠自己導尿(CIC)**などが導入されます。訪問看護では十分な水分摂取の指導と尿路感染の早期発見が重要です。

排便管理と便塊埋伏への対応

神経因性直腸では結腸通過時間が延長し、肛門括約筋の制御も障害されるため便秘になりやすく、便塊が下行結腸からS状結腸に貯留する**便塊埋伏(糞便塞栓)**を起こすことがあります。この状態で刺激性下剤を追加すると、上流から水様便だけが流出する溢流性下痢を招き根本的解決になりません。排便管理は食事・水分・食物繊維の調整、定時のトイレ習慣、腹部マッサージ、浸透圧性下剤(酸化マグネシウムなど)、必要時の坐薬・浣腸・摘便と段階的に進めます。刺激性下剤の頻用は大腸メラノーシスや耐性を招くため避け、浸透圧性下剤を基本とします。浣腸や摘měなどの直接処置は必ず医師の指示を確認します。

口腔ケアと自助具による自立支援

頸髄症では手指の巧緻運動障害により口腔ケアが困難となります。在宅看護の基本は本人の残存機能を活かすセルフケアの自立支援と介護者負担の軽減の両立にあり、家族への依頼が難しい場合は自助具を用いて本人が実施できる方法を検討します。柄を太くした歯ブラシ、電動歯ブラシ、歯ブラシを手掌に固定するユニバーサルカフなどを作業療法士と連携して選定します。口腔ケアは齲歯や歯周病の予防に加え、神経疾患患者における誤嚥性肺炎の予防にも不可欠です。

まとめ

頸椎疾患の在宅看護では、術後も残存する脊髄症状を前提に、膀胱直腸障害による尿路感染と便塊埋伏の予防、神経症状下での口腔ケア自立を支援することが要となります。観察・指導・多職種連携を通じて、合併症予防と本人の自立、介護者支援を統合的に進めることが求められます。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    後縦靱帯骨化症の略称はであり、中年男性に好発し国の指定難病である。

  2. 2.

    OPLLなどの頸椎疾患で脊柱管を拡大して脊髄圧迫を解除する代表的な術式はである。

  3. 3.

    頸椎疾患の在宅看護で最も重要な観察項目はであり、放置すると尿路感染から水腎症や腎機能障害に至る。

  4. 4.

    神経因性膀胱に対し残尿や尿閉を管理するために行う手技を(CIC)という。

  5. 5.

    神経因性直腸で便が下行結腸からS状結腸に貯留した状態を(糞便塞栓)といい、刺激性下剤の追加では溢流性下痢を招くだけで根本的に解決しない。

  6. 6.

    排便管理で第一選択となる、酸化マグネシウムなど水分を引き込むタイプの下剤をという。

  7. 7.

    巧緻運動障害がある患者が自力で口腔ケアを行えるよう、歯ブラシを手掌に固定する自助具をという。

  8. 8.

    神経疾患患者における口腔ケアの最大の意義は、齲歯予防に加えての予防である。

頸椎疾患の在宅看護」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。