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整形外科周術期の看護

成人看護学 / 運動器

解説

今回は整形外科周術期の看護について解説します。

整形外科周術期の看護とは、骨・関節・筋・靱帯などの運動器疾患をもつ患者が手術を受ける際に、術前評価から術後の機能回復までを支える看護のことです。運動器は日常生活動作(ADL)に直結するため、痛みの管理、合併症予防、リハビリテーションへの橋渡しが重要となります。ここでは、術前評価、術後免荷期の筋力維持、術前からの深部静脈血栓症(DVT)予防という三つの柱を中心に整理します。

術前評価とロッキング現象

膝関節の半月板損傷では、断裂した半月板の一部が関節内に嵌頓し、膝関節の伸展運動が機械的にブロックされることがあります。これをロッキング現象といいます。多くは三〇〜四〇度程度の屈曲位で固定され、自然に整復することもありますが、無理に伸ばすと再損傷を招きます。看護師は関節可動域(ROM)を測定し、患肢を安静に保持して医師の診察を待つことが基本となります。確定診断にはMRIが有用で、治療は関節鏡視下手術が選択されます。関節鏡手術は侵襲が小さく早期離床が可能ですが、術前から術後の生活動作を見据えた指導が欠かせません。

術後免荷期の筋力維持

下肢の手術後は、患部保護のため一定期間の免荷が指示されます。免荷中は患肢を使わないため、大腿四頭筋などの廃用性筋萎縮が起こりやすくなります。これを防ぐために行うのが等尺性運動(アイソメトリック運動)です。等尺性運動は関節を動かさずに筋肉を収縮させる運動で、免荷を守りながら筋力を維持できる利点があります。代表例は大腿四頭筋セッティングで、膝窩の下にタオルを置き、膝裏でタオルを押し付けるように力を入れる方法です。これに対し、関節を動かす運動を等張性運動、機器で一定速度下に行う運動を等運動性運動といいます。免荷期には体重負荷や関節屈伸を伴う運動は治癒遅延や再損傷の原因となるため避けます。また、松葉杖歩行では杖・患側・健側の順で出す三動作歩行と、杖と患側を同時に出す二動作歩行があり、患者の安定性に合わせて選択します。

術前からのDVT予防

下肢の長期固定や肥満、長時間の同一体位が重なると、下肢静脈の還流が停滞し深部静脈血栓症(DVT)のリスクが急増します。整形外科領域では特にギプス固定や術後安静が加わるため、術前からの予防が重要です。看護のポイントは、ギプス固定下でも自由に動かせる足趾の自動運動を促し、下腿の筋ポンプ作用を維持することです。これにより血栓形成と筋萎縮を同時に予防でき、術後の早期離床にもつながります。あわせて弾性ストッキングの着用や十分な水分摂取を組み合わせます。なお、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合は、全身麻酔導入時の気道管理に影響するため、麻酔科への情報共有が不可欠です。

まとめ

整形外科周術期の看護では、術前にロッキング現象などの症状を的確に評価し、安静と可動域確認を徹底することが第一歩です。術後免荷期には等尺性運動で廃用性筋萎縮を防ぎ、松葉杖歩行など日常動作の指導を行います。さらに、肥満や下肢固定が重なる症例では術前から足趾運動と弾性ストッキングでDVTを予防し、麻酔リスクの情報共有まで含めて多職種で連携することが、安全な周術期管理の鍵となります。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    半月板損傷において、断裂片が関節内に嵌頓し膝関節の伸展運動が機械的にブロックされる現象をという。

  2. 2.

    ロッキング現象の確定診断にはが用いられ、治療としてが行われる。

  3. 3.

    免荷期に関節を動かさず筋肉を収縮させて筋力を維持する運動を(アイソメトリック運動)という。

  4. 4.

    等尺性運動の代表例として、膝窩にタオルを置き膝裏で押し付けるがある。

  5. 5.

    患肢を使わない期間が続くことで生じる筋力低下をという。

  6. 6.

    松葉杖歩行で杖・患側・健側の順に出す方法をという。

  7. 7.

    下肢固定や肥満、長時間同一体位により下肢静脈還流が停滞して生じる血栓症を(DVT)という。

  8. 8.

    ギプス固定下でも自由に動かせ、下腿の筋ポンプ作用を維持してDVTを予防する運動はである。

  9. 9.

    DVT予防として足趾運動と併せて着用するものはである。

  10. 10.

    全身麻酔導入時の気道管理に影響するため、術前に麻酔科への情報共有が必要となる呼吸障害は(SAS)である。

整形外科周術期の看護」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。