腰部脊柱管狭窄症の在宅生活支援
老年看護学 / 運動器・転倒・リハビリ
解説
今回は腰部脊柱管狭窄症の在宅生活支援について解説します。高齢者に多く、在宅療養の継続には症状の特徴を踏まえた生活指導と、合併しやすい排泄障害への対応が重要となります。
腰部脊柱管狭窄症とは
腰部脊柱管狭窄症とは、加齢に伴う変化により椎間板の膨隆、黄色靱帯の肥厚、椎間関節の変形などが生じ、脊髄や馬尾神経・神経根が通る脊柱管が狭くなることで神経が圧迫される疾患です。中高年に好発し、男性にやや多くみられます。
特徴的な症状
最も特徴的な症状が間欠性跛行です。これは、しばらく歩くと下肢のしびれや痛み、脱力感が出現して歩けなくなり、少し休むと再び歩けるようになる状態をいいます。重要なポイントは、前屈姿勢(腰を曲げた姿勢)をとると症状が軽減することです。これは前屈により脊柱管がわずかに広がり、神経への圧迫が和らぐためです。逆に、立位や腰を反らす動作(後屈)では症状が悪化します。自転車では前屈姿勢になるため長時間こげるという特徴もあります。
治療
保存療法が中心で、薬物療法ではNSAIDsによる鎮痛、末梢血流を改善するプロスタグランジンE1製剤、神経障害性疼痛治療薬などが用いられます。コルセットによる装具療法、運動療法も併用されます。改善が乏しい場合や麻痺・膀胱直腸障害が出現した場合は手術が検討されます。
在宅生活の指導
在宅では、症状を悪化させない生活動作を習慣づけることが大切です。前屈姿勢で症状が軽減する特徴を活かし、外出時にはシルバーカーや買物カートを活用すると、自然に前屈姿勢を保てるうえ歩行距離を延ばせます。重い物を持つ動作は腰部への負担となるため避け、長時間の立位や歩行は控え、こまめに休息をはさみます。起き上がる際は仰臥位から直接起き上がるのではなく、いったん横向きになってから手で押し上げるようにすると腰への負担が減ります。コルセットの装着、体重管理、腹筋・背筋のストレッチも増悪予防に有効です。
合併しやすい尿失禁への対応
高齢者の尿失禁は、腹圧性・切迫性・混合性・溢流性・機能性の5つに分類されます。このうち腰部脊柱管狭窄症の患者で起こりやすいのが機能性尿失禁です。これは下部尿路自体には異常がないものの、運動機能や認知機能の低下によりトイレまで間に合わず漏らしてしまう失禁で、本疾患では動作の緩慢さや歩行困難が原因となります。
機能性尿失禁への介入
機能性尿失禁への対応では、本人の能力を最大限に活かす環境調整が基本です。ポータブルトイレの設置、手すりの設置、夜間の足元照明、着脱しやすい衣類の工夫などを行います。定時誘導や、歩行能力を維持するためのリハビリテーションも有効です。
排泄用具と社会資源の活用
排泄用具は自立を妨げない過不足のない支援が原則です。軽度の失禁であれば下着に装着する尿失禁パッドから開始し、必要に応じてパンツ型紙おむつ、テープ型紙おむつへと段階的に変更します。ADLが保たれている段階で安易にテープ型おむつを使用すると、かえって自立を損ねる可能性があります。介護保険による訪問介護の導入は、本人の自立度と家族の介護力を総合的に評価して決定します。
看護師の関わり
患者は痛みへの恐怖や在宅療養への不安を抱えやすいため、看護師はその思いをまず受け止め、共感的に関わります。そのうえで、増悪を予防する具体的な生活動作を患者とともに考え、セルフケアを継続できるよう支援することが、自己効力感の向上と在宅生活の継続につながります。
まとめ
腰部脊柱管狭窄症の在宅生活支援では、前屈姿勢で症状が軽減するという特徴を活かしたシルバーカーの活用や生活動作の工夫が要となります。動作緩慢から機能性尿失禁を合併しやすいため、環境調整と過不足のない排泄用具の選択を行い、患者の自立と自己効力感を支える看護が求められます。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
腰部脊柱管狭窄症で歩行により下肢のしびれや痛みが出現し、休息で改善する症状をという。
- 2.
腰部脊柱管狭窄症の症状は姿勢で軽減する。
- 3.
腰部脊柱管狭窄症患者の外出時、前屈姿勢を保ちながら歩行できる補助具として(買物カート)の活用が有効である。
- 4.
下部尿路に異常はないが運動機能や認知機能の低下によりトイレに間に合わず漏れる尿失禁をという。
- 5.
咳やくしゃみなど腹圧上昇で漏れる尿失禁をといい、骨盤底筋体操が有効である。
- 6.
残尿が多くあふれ出るように漏れる尿失禁をという。
- 7.
ADLが保たれている軽度の尿失禁患者にまず勧める排泄用具はである。
- 8.
腰部脊柱管狭窄症で末梢血流を改善する目的で用いられる薬剤は製剤である。
