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認知症高齢者の在宅看護

精神看護学 / 発達・知的障害・その他

解説

認知症高齢者の在宅看護とは、認知機能の低下を抱えながらも住み慣れた自宅で生活を続ける高齢者と家族に対し、その人らしさと安全を両立させる支援を行う看護のことです。今回は認知症高齢者の在宅看護について解説します。

認知症の重症度評価

認知症高齢者の生活の困難さを客観的に把握する指標として、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準が用いられます。ランクⅠ(ほぼ自立)、Ⅱa(家庭外で支障)、Ⅱb(家庭内外で支障があるが注意すれば自立可能)、Ⅲa(日中を中心に介護を要する)、Ⅲb(夜間も介護を要する)、Ⅳ(常に介護を要する)、M(医療機関等での対応が必要)と段階的に評価します。在宅サービス導入の判断材料となるため、看護師は対象者がどのランクに該当するかを把握しておく必要があります。

認知症ケアの基本理念

認知症ケアの中心となる考え方がパーソンセンタードケアです。これはイギリスのトム・キットウッドが提唱した理念で、認知症をもつ人を「症状」ではなく一人の人格として捉え、その人の生活史・価値観・人間関係を尊重したケアを行うという考え方です。長年続けてきた家事や買い物などの習慣は、本人の役割意識や自尊心を支える重要な活動であり、危険を理由にむやみに制限するのではなく、安全に継続できる工夫を優先します。たとえば道迷いが心配な場合でも、本人のプライドを傷つけない自然な理由をつけて家族が同行するなど、本人の尊厳を守る支援が求められます。

行動・心理症状(BPSD)への対応

認知症の症状は、記憶障害や見当識障害などの中核症状と、徘徊・興奮・抑うつ・妄想などの行動・心理症状(BPSD)に分けられます。BPSDは本人の不安や環境の不適合から生じることが多く、関わり方や環境調整により軽減が可能です。

血管性認知症の特徴

認知症のうち、脳梗塞や脳出血の繰り返しにより生じるものを血管性認知症といいます。アルツハイマー型が緩やかに進行するのに対し、血管性認知症は脳血管障害のたびに段階的(階段状)に悪化するのが特徴です。障害された脳の部位により症状が異なるため、保たれる能力と失われる能力が混在する「まだら認知症」とも呼ばれます。代表的な精神症状として感情失禁があり、些細な刺激で泣いたり怒ったりと感情コントロールが困難になります。また、計画を立てて段取りよく物事を進める高次脳機能の障害である実行機能障害もみられ、料理の手順がわからなくなるなどの形で現れます。治療は高血圧・糖尿病・脂質異常症・心房細動など基礎疾患の管理による再発予防が中心です。

在宅療養に潜む健康リスク

高齢者は皮膚が菲薄化し皮下脂肪が減少しているうえ、温度や痛みに対する感覚も鈍くなっています。そのためこたつ・湯たんぽ・カイロなど比較的低い温度の熱源でも、長時間接触することで低温熱傷を起こします。44℃で約3〜4時間、46℃で約30分〜1時間の接触で発症するとされ、初期は紅斑のみで気づきにくいものの、深部まで及ぶⅡ度〜Ⅲ度熱傷となることが少なくありません。同時に、同一姿勢での長時間の臥床は仙骨部や踵部の褥瘡リスクも高めます。こうした状況では全身の皮膚状態(発赤・水疱・硬結・熱感)の観察を最優先で行います。

在宅サービスの選択

介護保険の地域密着型サービスである小規模多機能型居宅介護は、1つの事業所が「通い」「訪問」「泊まり」の3形態を柔軟に組み合わせて提供する仕組みです。月額定額制で登録定員は29名以下と小規模で、なじみのスタッフが対応するため環境変化に弱い認知症高齢者に適しています。医療ニーズが高い場合は訪問看護も統合した**看護小規模多機能型居宅介護(看多機)**が選択肢となります。

まとめ

認知症高齢者の在宅看護では、自立度の評価をもとにパーソンセンタードケアの理念に基づき、本人の習慣や尊厳を守りつつ安全を確保することが基本となります。血管性認知症では感情失禁や実行機能障害といった特徴的症状を理解し、低温熱傷や褥瘡などの在宅特有のリスクにも目を配ります。家族の介護負担を軽減するためには、小規模多機能型居宅介護のような柔軟な地域密着型サービスを適切に紹介することが大切です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    認知症高齢者の生活の困難さを段階的に評価する指標をという。

  2. 2.

    認知症ケアの中心となる、本人の人格・生活史・関係性を尊重するという理念をという。

  3. 3.

    認知症の症状のうち、徘徊・興奮・抑うつ・妄想などの周辺症状を総称して(行動・心理症状)という。

  4. 4.

    脳梗塞などの脳血管障害の繰り返しによって段階的に進行する認知症をという。

  5. 5.

    血管性認知症で、保たれる能力と低下する能力が混在する状態をという。

  6. 6.

    些細な刺激で泣いたり怒ったりと感情のコントロールができなくなる症状をという。

  7. 7.

    計画立案や段取り、遂行といった高次脳機能の低下をという。

  8. 8.

    44〜50℃程度の比較的低い温度に長時間接触することで生じる熱傷をという。

  9. 9.

    1つの事業所が通い・訪問・泊まりを柔軟に組み合わせて提供する地域密着型サービスをという。

  10. 10.

    小規模多機能型居宅介護に訪問看護を加え、医療ニーズの高い利用者に対応するサービスをという。

認知症高齢者の在宅看護」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。