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認知症高齢者の入院・リハビリ支援

老年看護学 / 認知症ケア

解説

認知症高齢者の入院・リハビリ支援とは、加齢や疾患により認知機能が低下した高齢者が入院生活や在宅復帰を安全に送れるよう、環境調整・身体管理・心理的支援を統合的に行う看護のことです。今回は認知症高齢者の入院に伴う問題と看護ケアについて解説します。

入院に伴うせん妄のリスク

認知症高齢者は、入院による環境変化、不動、痛み、薬剤、脱水、感染などをきっかけに、もともとの認知症に重なってせん妄を起こしやすくなります。せん妄は急性発症で日内変動があり、注意障害や意識レベルの変化を伴う一過性の精神症状です。緩徐に進行し意識が清明な認知症とは区別されます。両者は合併することも多く、急に落ち着きがなくなった、夜間だけ混乱が強いといった変化を見逃さないことが大切です。

せん妄予防の看護ケア

せん妄予防では、見当識を補助する環境調整が基本となります。ベッドサイドにカレンダーや時計を見やすく配置し、日中は離床や日光を取り入れて昼夜のリズムを整え、夜間は静かで適切な照度を保ちます。メガネや補聴器の使用を促し、感覚遮断を防ぎます。不要な点滴やルート類は早期に整理し、痛み・便秘・脱水などの身体要因を取り除くことも重要です。

リアリティ・オリエンテーション

見当識障害への基本対応として**リアリティ・オリエンテーション(RO)**を行います。「ここは病院で、〇〇の治療のために入院しています」と、現在の場所・日時・状況を繰り返し丁寧に伝える方法です。否定や説得ではなく、事実を穏やかに繰り返すのがポイントです。

身体拘束の3要件

やむを得ず身体拘束を行う場合は、切迫性・非代替性・一時性の3要件をすべて満たすときに限り、最終手段として用います。拘束自体がせん妄やBPSDを悪化させるため、まず環境調整や見守り体制の強化を優先します。

パーソン・センタード・ケア

パーソン・センタード・ケアは、Tom Kitwoodが提唱した「その人らしさ」を中心に据えるケア理念です。本人の生活歴・性格・好み・残された能力に合わせて関わります。リハビリを拒否する場合も、本人の特性に合った環境調整、たとえば騒がしい集団リハから静かな病棟リハへ切り替えるなどの工夫で参加できることがあります。BPSD(行動・心理症状)の予防には、馴染みのある話題、好きな音楽、家族の写真など安心感を与える刺激が有効です。

疼痛コントロールの重要性

認知症患者では疼痛が言葉ではなく、不穏・易怒性・拒否などの非言語的サインとして表現されやすく、適切な疼痛コントロールはBPSD予防の中核となります。表情やバイタルサインの変化からも痛みを評価します。

小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護は、「通い(デイ)・泊まり(ショート)・訪問」を同一事業所の顔なじみのスタッフが一体的に提供するサービスで、環境変化に弱い認知症高齢者の在宅生活を支えるのに適しています。

圧迫骨折・骨粗鬆症患者の退院指導

高齢女性に多い圧迫骨折ではコルセットで骨癒合を支持しつつADLを維持します。コルセットは医師の許可があるまで起立時には装着を継続し、装着期間は通常3か月程度です。日中独居でも、着替え・家事・トイレ歩行など家の中でできる日常生活行動を続け、廃用症候群やサルコペニア、認知症進行を防ぎます。骨粗鬆症の食事指導では、カルシウム700〜800mg/日、ビタミンD(日光浴と魚類・きのこ)、ビタミンK(納豆・緑黄色野菜)、良質なたんぱく質の摂取を促します。

蜂窩織炎急性期のケア

蜂窩織炎は皮下組織の急性細菌感染症で、発赤・腫脹・熱感・疼痛を呈します。急性期は安静、患部挙上、冷罨法、抗菌薬投与が基本です。温める足浴は血管拡張により炎症と疼痛を増強させるため、急性期には禁忌です。

まとめ

認知症高齢者の入院・リハビリ支援では、せん妄予防のための環境調整と感覚補助、身体要因の除去、リアリティ・オリエンテーションが基本となります。身体拘束は3要件を満たす最終手段とし、パーソン・センタード・ケアの理念のもとで本人の尊厳と残存能力を尊重した関わりを行います。疼痛管理やなじみの関係づくりがBPSD予防につながり、退院後は小規模多機能型居宅介護などを活用して在宅生活を支援していきます。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    入院による環境変化や不動、痛み、薬剤などを誘因として、認知症に重なって起こりやすい急性発症・日内変動・注意障害を特徴とする精神症状をという。

  2. 2.

    見当識障害への基本対応として、「ここは病院です」など現在の場所・日時・状況を繰り返し丁寧に伝える方法を(RO)という。

  3. 3.

    身体拘束を行う際に満たすべき3要件は、切迫性・・一時性である。

  4. 4.

    Tom Kitwoodが提唱した、本人の生活歴・性格・好み・残存能力に合わせ「その人らしさ」を中心に据えるケア理念をという。

  5. 5.

    「通い・泊まり・訪問」を同一事業所の顔なじみのスタッフが一体的に提供する、認知症高齢者の在宅生活支援に適した介護サービスをという。

  6. 6.

    認知症患者では疼痛が不穏や易怒性などの非言語的サインで表現されやすく、適切な疼痛コントロールは(行動・心理症状)予防の中核となる。

  7. 7.

    圧迫骨折で装着するコルセットは、医師の許可があるまで起立時には装着を継続し、装着期間は通常か月程度である。

  8. 8.

    骨粗鬆症の食事指導では、カルシウムを1日mg摂取し、ビタミンD・ビタミンK・良質なたんぱく質を併せてとることを勧める。

  9. 9.

    蜂窩織炎の急性期には安静・患部挙上・抗菌薬投与とともにを行い、血管拡張を招く温罨法や足浴は禁忌である。

認知症高齢者の入院・リハビリ支援」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。