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災害時の急性期看護と避難所支援

看護の統合と実践 / 災害看護

解説

災害時の急性期看護とは、地震や風水害などの突発的な事象により多数の傷病者が同時に発生する状況下で、限られた医療資源を最大限活用して救命と二次的健康被害の予防を行う看護活動です。今回は災害時看護の全体像、骨盤骨折を中心とした高エネルギー外傷、トリアージ、過換気症候群、災害時せん妄、避難所支援について解説します。

災害時看護のフェーズ

災害時看護は時間経過によって役割が変化します。発災から72時間までを超急性期、4日から1週間程度を急性期、1か月程度までを亜急性期、その後を慢性期・復興期と区分します。超急性期は救命と救出が中心で、急性期では避難所環境の整備や慢性疾患の管理、感染予防が重要となります。亜急性期以降は心のケアや生活不活発病の予防が課題になります。

高エネルギー外傷と骨盤骨折

高所からの転落や交通事故などの高エネルギー外傷では、骨盤骨折、頭部外傷、胸腹部損傷を念頭に全身を観察します。骨盤骨折は仙骨、腸骨、恥骨などに生じ、不安定型では後腹膜腔に1〜3L以上の出血を来し、出血性ショックの原因となります。膀胱・尿道・直腸といった骨盤内臓器の合併損傷にも注意が必要です。尿道損傷では尿道口からの出血や排尿困難、膀胱損傷では肉眼的血尿がみられます。

出血性ショックの所見としては、血圧低下、頻脈、頻呼吸、顔面蒼白、冷汗、Hb低下、尿量減少と濃縮尿、尿潜血陽性などが現れます。初期治療では輸液蘇生と輸血を行い、骨盤バンドや外固定器で骨盤輪を安定化させ、出血源に対しては動脈塞栓術(TAE)やガーゼパッキングが選択されます。

災害時トリアージとSTART法

多数傷病者が発生した場合、限られた医療資源を最も救命可能性の高い傷病者に配分するためにトリアージを行います。簡易な評価方法がSTART法で、歩行、呼吸、循環、意識の順に評価しカテゴリを決定します。区分は黒(カテゴリ0)が死亡または救命困難、赤(カテゴリⅠ)が最優先治療群で生命の危機がある重症者、黄(カテゴリⅡ)が待機治療群、緑(カテゴリⅢ)が歩行可能な軽症となります。骨盤骨折で出血性ショックを呈する傷病者は赤に分類されます。

過換気症候群

災害現場では心理的ストレスから過換気症候群を発症することがあります。頻呼吸、口周囲や手指のしびれ、テタニー、動悸、めまいなどがみられ、脈圧が狭くなることもあります。重要な特徴としてSpO2は正常または高値を示すため、低酸素ではないことを確認できます。対応はゆっくり深い呼吸を促し安心させることが基本です。かつて行われたペーパーバッグ法は低酸素を招く危険があり、現在は推奨されません。肺塞栓やショック、不整脈など致死的病態との鑑別のため、まずSpO2測定と心電図確認を行います。

災害時せん妄と環境調整

高齢者は環境変化、身体的ストレス、生活リズムの乱れにより災害時せん妄を発症しやすく、夕方から夜間に症状が増悪する夕暮れ症候群がみられます。予防には日中の覚醒と活動の促進、時計やカレンダーの配置による見当識支援、眼鏡や補聴器の使用継続、十分な水分・栄養摂取、痛みの緩和、夜間の静穏な環境づくりが有効です。段ボールベッドや間仕切りで個別空間を確保することも重要な支援となります。

避難所と福祉避難所

避難所には一般避難所のほかに、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、医療的ケアが必要な人など要配慮者を受け入れる福祉避難所があります。要配慮者は一般避難所では生活が困難な場合があり、状態に応じて福祉避難所へ移送する判断が看護職に求められます。

災害関連疾患

避難生活では長時間の同一姿勢による肺塞栓(エコノミークラス症候群)、過密環境での感染症拡大、慢性疾患の悪化、活動性低下による生活不活発病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの災害関連疾患が問題となります。水分摂取の励行、定期的な運動、服薬支援、心理的ケアが予防に欠かせません。

まとめ

災害時の急性期看護では、フェーズに応じた支援、START法による迅速なトリアージ、高エネルギー外傷と出血性ショックへの対応、過換気症候群やせん妄への適切な介入、避難所での要配慮者支援と災害関連疾患予防が求められます。限られた状況下で根拠に基づく判断と看護を行うことが、命と生活を守る鍵となります。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    災害発生から72時間までの時期を災害看護ではと呼ぶ。

  2. 2.

    骨盤骨折の不安定型では後腹膜腔に大量出血を来しの原因となる。

  3. 3.

    骨盤骨折時の骨盤輪安定化にはや外固定器が用いられる。

  4. 4.

    START法のトリアージで最優先治療群を示す色はである。

  5. 5.

    START法で歩行可能な軽症者はに分類される。

  6. 6.

    過換気症候群ではSpO2はから高値を示す。

  7. 7.

    過換気症候群への対応として低酸素を招くため推奨されない方法はである。

  8. 8.

    高齢者の災害時せん妄は夕方から夜間に増悪することがありと呼ばれる。

  9. 9.

    要配慮者の受け入れを目的とした避難所をという。

  10. 10.

    避難生活で長時間の同一姿勢により発症する肺塞栓をと呼ぶ。

災害時の急性期看護と避難所支援」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。