アナフィラキシーとI型アレルギー
成人看護学 / 血液・免疫・膠原病
解説
アナフィラキシーとは、I型アレルギー反応によって生じる重篤な全身性反応のことです。今回はアナフィラキシーとI型アレルギーについて解説します。
アレルギーの分類
アレルギーとは、本来は無害なはずの物質に対して免疫が過剰に反応し、自己の組織を傷害してしまう状態をいいます。Coombs(クームス)とGell(ゲル)による分類では、機序の違いからI〜IV型に分けられ、これにV型を加えることもあります。
I型〜V型の特徴
I型は即時型(IgE型)で、IgE抗体が肥満細胞や好塩基球に結合し、抗原と反応してヒスタミン等を放出する反応です。アナフィラキシー、蕁麻疹、気管支喘息、花粉症、食物アレルギーが代表例です。II型は細胞傷害型で、IgGやIgMが細胞表面の抗原に結合し、補体やNK細胞によって細胞が破壊されます。不適合輸血や自己免疫性溶血性貧血が該当します。III型は免疫複合体型で、抗原抗体複合体が組織に沈着して炎症を起こし、糸球体腎炎やSLE、血清病でみられます。IV型は**遅延型(細胞性免疫)**で、感作T細胞が関与し24〜72時間後に反応が現れます。ツベルクリン反応や接触皮膚炎、移植拒絶が例です。V型は受容体刺激型で、バセドウ病(抗TSH受容体抗体)が代表的です。
I型アレルギーとアナフィラキシーの機序
I型アレルギーでは、抗原(アレルゲン)に対して産生されたIgE抗体が肥満細胞・好塩基球の表面に結合した状態(感作)で待機しています。再度同じ抗原が侵入すると、IgEと抗原が架橋を形成し、細胞内からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が大量に放出されます。反応は数分〜30分以内と非常に速いのが特徴です。
アナフィラキシーでは、この反応が全身で起こるため、血管拡張・血管透過性亢進による血圧低下、気道平滑筋収縮や喉頭浮腫による呼吸困難、全身の蕁麻疹、消化器症状などが急速に出現します。
アナフィラキシーショックと5徴
アナフィラキシーショックは、血管拡張で血液が末梢に貯留して有効循環血液量が不足するため、ショック分類のうち血液分布異常性ショックに位置づけられます(他に敗血症性、神経原性)。
ショックの5徴(5P)は、Pallor(蒼白)、Prostration(虚脱)、Perspiration(冷汗)、Pulselessness(脈拍触知不能)、Pulmonary insufficiency(呼吸不全)です。
治療
第一選択薬はアドレナリンで、成人では0.3〜0.5mg(小児0.01mg/kg)を大腿外側(中央前外側)に筋肉注射します。並行して、仰臥位で下肢を挙上するショック体位をとり、気道確保と酸素投与、静脈路確保と輸液負荷を行います。補助的に抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイドを投与します。
また、初期症状が改善した4〜8時間後に症状が再燃する二相性反応があるため、軽快しても継続的な観察が必要です。
原因物質とラテックスアレルギー
原因物質には食物(牛乳・卵・小麦・そば・落花生・甲殻類)、蜂毒、薬剤(抗菌薬・造影剤・NSAIDs)、ラテックスがあります。
ラテックスアレルギーには、(1)IgEによる即時型I型、(2)ゴム加硫促進剤による遅延型IV型(接触皮膚炎)、(3)非免疫性の刺激性接触皮膚炎の3種類があります。さらにラテックスは、バナナ・アボカド・キウイ・栗と交叉反応を示すラテックス-フルーツ症候群を起こすことがあります。ラテックス手袋着用直後の口唇や手足のしびれ・喉頭違和感は即時型I型を疑う所見で、医療現場ではラテックスフリー環境の整備が重要です。
食物や蜂アレルギー患者は、自己注射用アドレナリン製剤であるエピペンを携帯し、発症時に大腿外側へ自己注射します。
まとめ
アナフィラキシーはIgEを介するI型アレルギー反応により全身の肥満細胞からヒスタミンが放出され、血圧低下と呼吸困難を主徴とする血液分布異常性ショックを引き起こします。治療の第一選択はアドレナリン筋注であり、二相性反応に備えた観察と原因物質の回避指導が重要です。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
アレルギー反応の分類のうち、IgE抗体を介して肥満細胞からヒスタミンが放出されるのは型である。
- 2.
I型アレルギーで肥満細胞表面に結合し、抗原との架橋により脱顆粒を起こす抗体はである。
- 3.
アナフィラキシーショックは、ショックの分類のうちショックに分類される。
- 4.
アナフィラキシーに対する治療の第一選択薬はで、大腿外側に注射する。
- 5.
アナフィラキシーでは初期反応の4〜8時間後に症状が再燃する反応に注意が必要である。
- 6.
ラテックスアレルギー患者でバナナ・アボカド・キウイなどの果物にも反応する現象をという。
- 7.
ツベルクリン反応や接触皮膚炎は、T細胞が関与する型(遅延型)アレルギーに分類される。
- 8.
食物アレルギーや蜂アレルギー患者が携帯する自己注射用アドレナリン製剤をという。
