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在宅認知症のBPSDに訪問看護師がどう関わるか

看護師国家試験 第110回 午前 第65問 / 地域・在宅看護論 / 症状・疾患・治療に応じた看護

国試問題にチャレンジ

110回 午前 第65問

Aさん( 75歳、男性)は妻( 66歳)と2人暮らし。3か月前に認知症( dementia )の診断を受けた。妻から訪問看護師に「夫は通所介護のときは穏やかに過ごしていると聞いているが、家では興奮することが多く、どう対応すればよいかわからない」と相談があった。 このときの妻に対する訪問看護師の最初の対応で適切なのはどれか。

  1. 1.主治医に相談するよう勧める。
  2. 2.Aさんと散歩に出かけることを勧める。
  3. 3.通所介護の頻度を増やすことを提案する。
  4. 4.Aさんが興奮する状況を妻と一緒に振り返る。

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは3か月前に認知症と診断された75歳。通所では穏やかだが家では興奮すると妻が困っておる。最初の対応はどうする

サクラ サクラ

選択肢は主治医相談、散歩、通所頻度を増やす、状況を妻と振り返る、ですね

博士 博士

まずBPSDの原則を確認しよう。興奮には必ず何かしらの誘因があるのじゃ

サクラ サクラ

身体要因、環境要因、関わり方要因の3つですよね

博士 博士

うむ。空腹、痛み、便秘、薬の副作用、室温や騒音、介護者の口調や急かしなどじゃ

サクラ サクラ

通所では穏やかで家では興奮するということは、家の環境や関わり方に誘因がありそうですね

博士 博士

そうじゃ。だから原因を探る手がかりを妻と一緒に見ていくことが出発点になる

サクラ サクラ

ABC分析というのを学びました。先行事象・行動・結果ですね

博士 博士

その通り。いつ、どこで、誰が、何をしていた直後に興奮が起きたかを具体化するのじゃ

サクラ サクラ

主治医相談は薬物調整を考えるなら大事ですが、まだ原因を見ていないので優先度は低いですね

博士 博士

身体症状や強いBPSDで安全が脅かされる場合は別じゃが、初期対応としては後手じゃ

サクラ サクラ

散歩や通所頻度の増加も、原因が分からないままでは効果が限定的ですね

博士 博士

しかも妻は今困って相談してきておる。その相談を聞かずに提案だけ返すのは冷たいのう

サクラ サクラ

一緒に振り返ること自体が妻の心理的支援にもなりますね

博士 博士

そのとおり。妻の介護負担や気持ちを受け止めることでレジリエンスも高まる

サクラ サクラ

場面を書き出すメモやチェックシートを活用すると整理しやすそうです

博士 博士

うむ。必要に応じて主治医やケアマネに情報をつなぎ、チームで介入するのじゃ

POINT

BPSDは必ず誘因があり、身体・環境・関わり方の3視点で原因を探るのが基本です。訪問看護師の最初の対応としては、妻と一緒に興奮が起きた具体的場面を振り返り、引き金を見つけることが最も適切です。傾聴そのものが介護者支援になり、必要に応じて主治医・ケアマネと連携しパーソンセンタードケアの視点で対応を組み立てていきます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:Aさん( 75歳、男性)は妻( 66歳)と2人暮らし。3か月前に認知症( dementia )の診断を受けた。妻から訪問看護師に「夫は通所介護のときは穏やかに過ごしていると聞いているが、家では興奮することが多く、どう対応すればよいかわからない」と相談があった。 このときの妻に対する訪問看護師の最初の対応で適切なのはどれか。

解説:正解は4「Aさんが興奮する状況を妻と一緒に振り返る」です。認知症のBPSD(行動・心理症状)は環境や関わり方など誘因が必ずあります。まずは妻と一緒に興奮が生じた具体的場面を丁寧に振り返り、引き金を同定することが介入の出発点です。

選択肢考察

  1. × 1.  主治医に相談するよう勧める。

    通所介護では穏やかに過ごしていることから、薬物調整の前にまず環境・関わり方の要因を探るのが先です。症状増悪や身体合併症が疑われる場合には主治医連携が必要ですが、最初の対応としては優先度が低いです。

  2. × 2.  Aさんと散歩に出かけることを勧める。

    散歩は気分転換に有効な場合もありますが、原因が不明なまま助言しても根本的解決にはつながらず、妻の疑問や負担感の解消にもなりません。まずアセスメントが先です。

  3. × 3.  通所介護の頻度を増やすことを提案する。

    妻のレスパイトにはなりますが、家庭内での興奮の原因究明や対応技術の習得にはつながりません。誘因を把握しないまま介護サービスを増やしても家での興奮は続きえます。

  4. 4.  Aさんが興奮する状況を妻と一緒に振り返る。

    BPSDはきっかけとなる状況・人・環境が必ず存在します。妻と一緒に時間帯、直前の出来事、Aさんの言動を振り返ることで誘因が見え、具体的な対応策を共に考えることができます。傾聴そのものが妻の心理的支援にもなります。

BPSDのアセスメントではABC分析(Antecedent先行事象・Behavior行動・Consequence結果)が有用です。空腹・痛み・便秘・脱水などの身体要因、過剰な声かけや環境刺激、妻の口調や焦りなど多面的に検討します。対応にはパーソンセンタードケアの視点が欠かせません。

認知症のBPSDに対する初期対応として、原因探索と介護者支援を優先することを理解しているかを問う問題です。