看護師も他人事ではない!業務上疾病の実態
看護師国家試験 第105回 午前 第3問 / 必修問題 / 健康の定義と影響要因
国試問題にチャレンジ
日本の平成25年(2013年)における業務上疾病で発生件数が最も多いのはどれか。
- 1.振動障害
- 2.騒音による耳の疾患
- 3.負傷に起因する疾病
- 4.じん肺症及びじん肺合併症
対話形式の解説
博士
今日は労働衛生の問題じゃ。業務上疾病とは「仕事が原因で発症した病気」のことで、労働安全衛生法で定められた疾病分類があるんじゃ。
サクラ
業務上疾病というと、じん肺症や騒音性難聴のイメージがあります。
博士
確かにそれらも重要な業務上疾病じゃが、実は発生件数でいうと、圧倒的に多いものがあるんじゃよ。
サクラ
え、それは何ですか?
博士
「負傷に起因する疾病」じゃ。平成25年の統計では5,253件と、業務上疾病全体の約7割を占めておった。
サクラ
すごく多いですね。具体的にはどんな病気が含まれるんですか?
博士
その大半が「災害性腰痛」じゃ。作業中の動作や転倒・転落などで急性に発症する腰痛のことじゃな。運輸業・保健衛生業・商業などで多発しておる。
サクラ
保健衛生業…それって私たち看護職も含まれますよね?
博士
そのとおり。患者さんの移乗介助、体位変換、入浴介助などで腰に大きな負荷がかかる。看護職の腰痛は深刻な職業病として認識されておるんじゃ。
サクラ
他の選択肢の件数も教えてください。
博士
じん肺症及び合併症は334件、騒音性耳疾患は4件、振動障害は2件じゃ。いずれも負傷に起因する疾病と比べると桁違いに少ないことがわかるじゃろう。
サクラ
じん肺症はどんな職業で起きるんですか?
博士
鉱業、建設業、製造業(特に溶接や研磨作業)などの粉じん環境での長期作業じゃな。振動障害はチェーンソーや削岩機を扱う林業・建設業、騒音性難聴は85dB以上の騒音環境じゃ。
サクラ
看護師として腰痛予防にはどんな工夫が必要でしょうか?
博士
最近はノーリフトポリシーという「持ち上げない介護・看護」の考え方が広まっておる。スライディングシートやリフトなどの移乗補助機器を活用する、2人以上で介助する、ボディメカニクスを活用する、などじゃな。
サクラ
自分の身体を守ることも大切ですね!しっかり意識します。
POINT
平成25年の業務上疾病統計では、負傷に起因する疾病が5,253件で全体の約7割を占め、最多でした。その大半は災害性腰痛で、運輸業・保健衛生業・商業などで多発しています。じん肺症及び合併症334件、騒音性耳疾患4件、振動障害2件と比べて圧倒的に多い件数です。看護職も移乗介助などで腰部負担が大きく、腰痛は深刻な職業病となっています。予防策としてノーリフトポリシーの推進、移乗補助機器の活用、複数人介助、ボディメカニクスの活用が重要です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:日本の平成25年(2013年)における業務上疾病で発生件数が最も多いのはどれか。
解説:正解は 3 です。厚生労働省の「業務上疾病発生状況等調査」によると、平成25年(2013年)の業務上疾病の総発生件数は約7,310件で、そのうち最も多かったのは「負傷に起因する疾病」で5,253件(全体の約72%)でした。この区分には、作業中の動作や転倒・転落などによって発生する災害性腰痛や関節症などが含まれ、特に運輸業・保健衛生業・商業などで多発します。看護職も患者の移乗やベッド上ケアで腰部に負担がかかるため、災害性腰痛は職業病として重要な課題です。次に多いのが「物理的因子による疾病」で、そこに含まれるじん肺症及び合併症は334件、騒音性耳疾患は4件、振動障害は2件と続きます。業務上疾病の予防には、作業姿勢の改善、ボディメカニクスの活用、機械化・自動化、適切な個人防護具の使用、定期健康診断の実施などが重要です。
選択肢考察
-
× 1. 振動障害
誤りです。振動障害は2013年にわずか2件と非常に少ない発生件数でした。チェーンソー・削岩機などの振動工具を使用する建設業や林業で発生する疾患で、レイノー現象や末梢神経障害が主症状です。
-
× 2. 騒音による耳の疾患
誤りです。騒音性難聴などの耳疾患は2013年で4件と少数でした。85dB以上の騒音環境への長期暴露で発生し、製造業や建設業で見られますが、防音保護具の普及により近年は減少傾向にあります。
-
○ 3. 負傷に起因する疾病
正しい選択肢です。2013年の発生件数は5,253件と圧倒的に多く、業務上疾病全体の約7割を占めました。このうち大半が災害性腰痛で、運輸業・保健衛生業・商業などで多発しています。
-
× 4. じん肺症及びじん肺合併症
誤りです。じん肺症とその合併症は2013年で334件でした。粉じんを長期間吸入することで発生する肺疾患で、鉱業・建設業・製造業(溶接・研磨など)で発生します。負傷に起因する疾病よりは大幅に少ない件数です。
業務上疾病の統計は厚生労働省が毎年実施する「業務上疾病発生状況等調査」で公表されます。近年の傾向として、負傷に起因する疾病(特に災害性腰痛)が一貫して最多で、全体の7〜8割を占めています。看護職の腰痛予防対策としては、ノーリフトポリシー(持ち上げない介護・看護)の推進、スライディングシート・リフトなどの移乗補助機器の活用、2人以上での介助、ボディメカニクスの活用が重要です。2013年以降のデータでも傾向は変わらず、職業性腰痛の予防は看護管理上の重要課題です。
業務上疾病で最多は「負傷に起因する疾病」で、その大半が災害性腰痛である。
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