抗菌薬の基本と耐性菌問題
看護師国家試験 第113回 午前 第16問 / 必修問題 / 薬物の作用と管理
国試問題にチャレンジ
抗菌薬について正しいのはどれか。
- 1.ウイルスに有効である。
- 2.経口投与では効果がない。
- 3.耐性菌の出現が問題である。
- 4.正常の細菌叢には影響を与えない。
対話形式の解説
博士
今日は抗菌薬についての基礎を確認するぞ。まず抗菌薬が効く相手は何かの。
アユム
細菌です。ウイルスには効かないと習いました。
博士
正解じゃ。細菌の細胞壁やタンパク合成を標的にしているから、細胞構造の違うウイルスには無効なのじゃ。
アユム
風邪に抗菌薬を出してほしいと言う患者さんがいますが。
博士
風邪はウイルス性が大半で抗菌薬は効かん。むしろ耐性菌を増やす原因になるぞ。
アユム
経口投与では効果がないのでしょうか。
博士
そんなことはない。セフェムやキノロン、マクロライドなど経口でもしっかり効く薬は多い。重症時は注射に切り替えるだけじゃ。
アユム
抗菌薬は常在菌にも影響しますか。
博士
影響するぞ。腸内細菌叢が乱れて下痢やクロストリジオイデス・ディフィシル感染症が起こることがある。
アユム
耐性菌とはどういう仕組みで生まれるのですか。
博士
感受性のある菌が薬で倒れ、耐性を持つ菌だけが生き残って増える。これを選択圧と呼ぶのじゃ。
アユム
MRSAは代表例ですね。
博士
そうじゃ。ほかにESBL産生菌、多剤耐性緑膿菌、CREなど医療現場で問題になっておる。
アユム
対策はあるのですか。
博士
抗菌薬適正使用(AS)が世界的に進められておる。狭域薬を選び、培養結果で見直し、期間を守ることが基本じゃ。
アユム
看護師ができることは何でしょう。
博士
投与時間の遵守、培養採取の確認、副作用観察、そして患者教育じゃな。
POINT
抗菌薬は細菌特異的な構造を標的にする薬でウイルスには無効です。経口薬も多く存在し、病態に応じて経口と注射を使い分けます。常在菌への影響は避けられず菌交代症のリスクがあり、不適切使用は耐性菌の出現という最大の問題につながります。MRSAや多剤耐性菌への対策としてAntimicrobial Stewardshipが推進されており、看護師も適正使用の担い手として重要な役割を果たします。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:抗菌薬について正しいのはどれか。
解説:正解は3の耐性菌の出現が問題であるです。抗菌薬の不適切な使用により耐性菌が選択的に増加し、MRSAや多剤耐性緑膿菌などが臨床で大きな課題となっています。
選択肢考察
-
× 1. ウイルスに有効である。
抗菌薬は細菌の細胞壁合成やタンパク質合成など細菌特有の機構を標的とするため、ウイルスには無効です。ウイルス感染症には抗ウイルス薬が使用されます。
-
× 2. 経口投与では効果がない。
セフェム系やマクロライド系、キノロン系など経口投与でも十分な血中濃度が得られる抗菌薬は多数存在します。重症例では注射薬が選択されますが、経口投与が無効というわけではありません。
-
○ 3. 耐性菌の出現が問題である。
不適切な抗菌薬使用により感受性菌が排除され耐性菌が増加します。MRSA、ESBL産生菌、多剤耐性緑膿菌、CREなどは医療関連感染症として世界的問題となっており、抗菌薬適正使用(AS)が推進されています。
-
× 4. 正常の細菌叢には影響を与えない。
抗菌薬は病原菌だけでなく腸内常在菌などの正常細菌叢にも作用するため、下痢やカンジダ症、Clostridioides difficile感染症などの菌交代現象を引き起こすことがあります。
薬剤耐性(AMR)対策として国内外でAntimicrobial Stewardship(抗菌薬適正使用)が推進されており、狭域スペクトラムの選択、培養結果に基づくデエスカレーション、投与期間の適正化が求められます。看護師は投与前の培養採取の確認、投与時間の遵守、副作用モニタリング、患者への内服継続の説明など多面的に関わります。抗菌薬はウイルス性感冒には無効であることを患者教育の場面でも伝える必要があります。
抗菌薬の対象(細菌のみ、ウイルス無効)、投与経路の多様性、常在菌への影響、そして耐性菌という社会的課題を総合的に理解しているかを問う問題です。
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