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抗癌薬の副作用、なぜ血が減る?骨髄抑制を時系列で理解する

看護師国家試験 第114回 午前 第18問 / 必修問題 / 薬物の作用と管理

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第18問

抗癌薬の副作用(有害事象)で骨髄抑制によるものはどれか。

  1. 1.嘔吐
  2. 2.脱毛
  3. 3.血球減少
  4. 4.神経障害

対話形式の解説

博士 博士

今日は抗癌剤の副作用、特に骨髄抑制についてじゃ。看護師として絶対に押さえるテーマじゃぞ。

アユム アユム

抗癌剤って色々な副作用がありますよね。骨髄抑制って具体的には何が起こるんですか?

博士 博士

骨髄抑制は文字通り「骨髄の働きが抑えられる」こと。骨髄は血液細胞を作る工場じゃから、ここがやられると白血球・赤血球・血小板が全部減るのじゃ。

アユム アユム

どうして抗癌剤で骨髄がやられるんですか?

博士 博士

抗癌剤は癌細胞のように「分裂が活発な細胞」を攻撃する薬じゃ。骨髄の造血細胞も毎日せっせと分裂しておるから、巻き添えになるのじゃよ。

アユム アユム

脱毛も同じ理由ですか?

博士 博士

その通り。毛母細胞も分裂が活発じゃから抗癌剤の標的になる。だから脱毛も骨髄抑制と並んで「分裂が速い正常細胞のダメージ」じゃ。ただし、今回問われているのは「骨髄抑制によるもの」じゃから、答えは血球減少じゃ。

アユム アユム

血球が減ると何が起こるんですか?

博士 博士

白血球(特に好中球)が減れば感染しやすくなる。これを発熱性好中球減少症(FN)と呼び、好中球500/μL未満で38℃以上の発熱があれば緊急対応が必要じゃ。

アユム アユム

血小板が減ると?

博士 博士

出血傾向じゃ。鼻血や歯肉出血、皮下出血、最悪は脳出血の危険もある。注射後はしっかり圧迫止血し、歯ブラシは柔らかいものに変えるなどの工夫が必要じゃな。

アユム アユム

赤血球が減ったら?

博士 博士

貧血じゃ。息切れ・倦怠感・動悸などが出る。重症ならエリスロポエチン製剤や輸血を考慮する。

アユム アユム

血球が減るタイミングって決まっているんですか?

博士 博士

これが大事なのじゃ。投与から白血球は7〜14日、血小板は7〜10日、赤血球は数週間後にナディア(最低値)を迎える。「2週目が最も危ない」と覚えておくと観察ポイントが明確になるぞ。

アユム アユム

他の選択肢の副作用も整理させてください。嘔吐は?

博士 博士

嘔吐は延髄の化学受容器引金帯(CTZ)が刺激されて起こる。投与当日から数日が中心。今は5-HT3受容体拮抗薬などの優れた制吐薬があり、予防的に使うのが基本じゃ。

アユム アユム

神経障害は?

博士 博士

パクリタキセルやビンクリスチン、白金製剤などで起こる末梢神経障害。手足のしびれ・感覚異常が特徴で、治療後も長く続くことがある。看護師は転倒予防やボタンの留めにくさなどADLへの影響も評価するのじゃ。

アユム アユム

副作用ごとに発症時期と対策が違うんですね。

博士 博士

そう、抗癌薬看護は「いつ・何が・どの程度起こるか」を予測する力が命じゃよ。

POINT

骨髄抑制は抗癌薬が骨髄の造血細胞の分裂を阻害することで起こる副作用で、白血球・赤血球・血小板の血球減少として現れます。好中球は投与後7〜14日でナディアを迎えるため、この時期は感染予防が最も重要となります。発熱性好中球減少症は緊急対応を要する致死的合併症で、血液培養後の広域抗菌薬投与とG-CSF併用が標準治療です。嘔吐・脱毛・末梢神経障害も抗癌薬の重要な副作用ですが、いずれも骨髄抑制とは異なる機序で発生します。看護師は副作用ごとの発症時期を予測し、感染予防・出血予防・貧血対策・栄養管理を計画的に実施することで、患者の治療継続とQOLを支える役割を担います。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:抗癌薬の副作用(有害事象)で骨髄抑制によるものはどれか。

解説:正解は 3 の血球減少です。骨髄抑制とは、抗癌薬が骨髄の造血幹細胞や血液前駆細胞の細胞分裂を阻害することで、白血球・赤血球・血小板の産生が低下する状態を指します。抗癌薬投与後、白血球(特に好中球)は7〜14日後、血小板は7〜10日後、赤血球は数週間後にナディア(最低値)を迎えるのが典型です。発熱性好中球減少症、出血傾向、貧血が骨髄抑制の主要な臨床症状です。

選択肢考察

  1. × 1.  嘔吐

    嘔吐は抗癌薬が延髄の化学受容器引金帯(CTZ)を刺激することで起こる副作用。骨髄抑制とは別機序で、5-HT3受容体拮抗薬などの制吐薬で予防する。

  2. × 2.  脱毛

    脱毛は分裂が活発な毛母細胞が抗癌薬の影響を受けて起こる。投与後2〜3週間で出現し、治療終了後に再生する。骨髄抑制とは別の正常細胞障害。

  3. 3.  血球減少

    骨髄での造血が抑制されることによる白血球・赤血球・血小板の減少。骨髄抑制の本質的な臨床所見。

  4. × 4.  神経障害

    末梢神経障害は微小管阻害薬(パクリタキセル、ビンクリスチンなど)や白金製剤で生じる手足のしびれ・感覚異常で、骨髄抑制とは独立した有害事象。

抗癌薬の副作用は出現時期で整理すると理解しやすい。①即時〜24時間以内:急性嘔吐・アレルギー反応・血管痛、②1〜2週間:骨髄抑制(好中球減少のナディアは7〜14日)、③2〜3週:脱毛、④長期:末梢神経障害・心毒性・腎毒性・二次発癌など。発熱性好中球減少症(FN:好中球500/μL未満+37.5℃以上の発熱)は緊急性が高く、血液培養採取後にエンピリック広域抗菌薬投与を行う。看護師は感染予防(手指衛生・面会制限・口腔ケア)、出血予防(採血・注射部位の十分な圧迫、歯ブラシは柔らかいものに変更)、貧血症状(息切れ・倦怠感)の観察が役割となる。G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)製剤で好中球回復を促す治療も併用される。

抗癌薬の多彩な副作用のうち、「骨髄抑制」が指す病態が血球減少であることを正しく区別できるかを問う問題。