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車椅子座位と褥瘡好発部位

看護師国家試験 第107回 午前 第76問 / 基礎看護学 / 日常生活援助技術

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第76問

車椅子での座位の姿勢を下に示す。 このような姿勢を長時間続けることで最も褥瘡が発生しやすい部位はどれか。

車椅子での座位の姿勢を下に示す。 このような姿勢を長時間続けることで最も褥瘡が発生しやすい部位はどれか。
  1. 1.右肘関節部
  2. 2.右大転子部
  3. 3.左坐骨結節部
  4. 4.左膝関節外側部
  5. 5.左足関節外果部

対話形式の解説

博士 博士

今回は車椅子座位での褥瘡好発部位を問う問題じゃ。

アユム アユム

写真を見ると、患者さんが左側に傾いて座っているようです。

博士 博士

そう、左半身麻痺で体幹が左に倒れかけている姿勢じゃな。

アユム アユム

褥瘡の発生メカニズムはどうでしたっけ。

博士 博士

皮膚・皮下組織に圧迫・ずれ・摩擦が持続的に加わって血流が途絶え、組織が虚血壊死を起こすのじゃ。特に骨突出部に好発する。

アユム アユム

体位によって好発部位が違いますよね。

博士 博士

その通り。仰臥位では仙骨部・踵骨部、側臥位では大転子部・外果部、座位では坐骨結節部・尾骨部・肩甲骨部が典型的じゃ。

アユム アユム

なぜ体位によって変わるんですか。

博士 博士

その体位で骨が突出して体重を支える部位、つまり圧力が集中する部位が骨突出部であることが多いからじゃ。

アユム アユム

この患者さんは左に傾いていますから、左殿部に体重がかかっていますね。

博士 博士

そうじゃ。健側(右)で支えながら麻痺側(左)に倒れこむ姿勢では、左坐骨結節に体重の大部分が持続的にかかる。

アユム アユム

しかも片麻痺だと自分で除圧ができないんですよね。

博士 博士

その通り。通常の人は無意識にお尻の位置を変えたり座り直したりして除圧しているが、麻痺があると難しい。

アユム アユム

だから左坐骨結節部が最も褥瘡になりやすいんですね。

博士 博士

その通りじゃ。他の選択肢を見ていこうか。右肘関節部はどうじゃ。

アユム アユム

右側は麻痺がないので動かせますし、持続圧迫は起きにくいですね。

博士 博士

その通り。右大転子部は側臥位での好発部位じゃから、この座位では該当しない。

アユム アユム

左膝関節外側部と左足関節外果部も側臥位での好発部位ですね。

博士 博士

そうじゃ。座位で車椅子に接触していなければリスクは低い。

アユム アユム

車椅子座位の褥瘡予防にはどんな工夫がありますか。

博士 博士

90度ルールといって、股関節・膝関節・足関節をそれぞれ90度に保つ基本姿勢を取ること、定期的なプッシュアップや前傾で除圧すること、エアクッションなど体圧分散具を使うこと、15〜30分ごとに姿勢を確認して座り直しを介助することじゃ。

アユム アユム

DESIGN-R®という評価スケールもありましたね。

博士 博士

その通り。深さ(Depth)、滲出液(Exudate)、大きさ(Size)、炎症・感染(Inflammation/Infection)、肉芽組織(Granulation)、壊死組織(Necrotic tissue)、ポケット(Pocket)の項目で評価するぞ。

アユム アユム

体位と圧力集中、個々の患者背景を合わせて判断することが大切ですね。

POINT

褥瘡は骨突出部に持続的圧迫・ずれ・摩擦が加わって組織虚血を起こす病態で、体位により好発部位が異なります。車椅子座位では坐骨結節部・尾骨部が好発部位であり、特に片麻痺で体幹が麻痺側に傾いている場合、麻痺側坐骨結節に圧力が集中し、自力除圧も困難なため褥瘡リスクが最大となります。予防には90度ルールによる姿勢保持、定期的な除圧、体圧分散具の活用が重要です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:車椅子での座位の姿勢を下に示す。 このような姿勢を長時間続けることで最も褥瘡が発生しやすい部位はどれか。

解説:正解は3です。褥瘡は骨突出部に持続的な圧迫・ずれ・摩擦が加わり、皮膚・皮下組織の血流が障害されて組織壊死が生じる病態です。好発部位は体位によって異なり、仰臥位では仙骨部・踵骨部、側臥位では大転子部・外果部、車椅子座位では坐骨結節部・尾骨部・肩甲骨部が代表的です。設問の写真は左半身に麻痺があると想定され、体幹が左側に傾き左殿部に体重が集中している状態と考えられます。この場合、左坐骨結節部に体重の大部分が持続的にかかり、皮下組織が薄い部位であるため虚血による褥瘡リスクが最も高くなります。片麻痺患者は自力での除圧や姿勢変換が困難なため、長時間同じ姿勢で圧迫が続きやすいことも褥瘡発生の助長因子となります。

選択肢考察

  1. × 1.  右肘関節部

    右側は麻痺がなく自由に動かせるため、持続的圧迫が生じにくく褥瘡リスクは低いです。

  2. × 2.  右大転子部

    大転子部は側臥位で下側になった時に褥瘡好発部位となりますが、座位で左に傾いた姿勢では圧迫されにくい部位です。

  3. 3.  左坐骨結節部

    左に体重が偏った座位では左坐骨結節に最大の圧力が持続的に加わり、左麻痺で除圧困難な状況と相まって褥瘡が最も発生しやすい部位です。

  4. × 4.  左膝関節外側部

    膝関節外側は側臥位で下側になった際の好発部位であり、座位では車椅子に当たらず圧迫を受けにくい部位です。

  5. × 5.  左足関節外果部

    外果部は側臥位での好発部位です。座位でフットサポートに足が適切に置かれていれば強い圧迫は生じません。

車椅子座位での褥瘡予防として、姿勢保持(股関節・膝関節・足関節各90度の90度ルール)、15分毎のプッシュアップや前傾姿勢による除圧、エアクッションやゲルクッションの使用、定期的な座り直しと姿勢確認が重要です。DESIGN-R®は褥瘡状態の評価スケールとして用いられます。

車椅子座位で体が傾いた姿勢における褥瘡好発部位を問う問題。圧力集中部位と好発部位の知識を組み合わせて考えます。