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ベッド上排泄援助の根拠を理解する─工夫一つひとつの意味

看護師国家試験 第112回 午前 第37問 / 基礎看護学 / 日常生活援助技術

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第37問

成人女性に対するベッド上での排泄援助とその目的の組合せで適切なのはどれか。

  1. 1.窓を開ける。 ――――――――――――――――― 寒冷刺激による排尿促進
  2. 2.上半身を挙上する。 ―――――――――――――― 腹圧のかけやすさによる排泄促進
  3. 3.外陰部にトイレットペーパーを当てる。 ――――― 尿臭の防止
  4. 4.便器の底にトイレットペーパーを敷く。 ――――― 寝具の汚染防止

対話形式の解説

博士 博士

今日はベッド上排泄援助の問題じゃ。まずベッド上で排泄しなければならない患者さんの気持ちを想像できるかな?

サクラ サクラ

きっと恥ずかしいし、申し訳ない気持ちになると思います…。

博士 博士

その通り。排泄援助は羞恥心やプライバシーへの配慮が最重要じゃ。だからこそ一つひとつの援助の根拠を理解し、患者に丁寧に説明できることが求められるのじゃ。

サクラ サクラ

選択肢1の窓を開けるのは、寒冷刺激で排尿を促す目的じゃないんですか?

博士 博士

それは違う。窓を開けるのは排泄時の臭気を逃がすための換気が目的じゃ。寒冷刺激で患者を冷やしてしまっては本末転倒。そもそも寒冷刺激での排尿促進は一般的な援助ではないぞ。

サクラ サクラ

なるほど、換気が目的なんですね。

博士 博士

選択肢2の上半身挙上はどうじゃ?

サクラ サクラ

座っている姿勢に近づけた方が、腹圧がかけやすそうですね。

博士 博士

その通り!仰臥位では腹筋が使いにくく努責がかけられない。ギャッチアップして30〜45度程度上半身を起こすと、自然なトイレ姿勢に近づき、腹圧を利用して排泄が促進されるのじゃ。

サクラ サクラ

これが正解ですね。選択肢3の外陰部にトイレットペーパーは?

博士 博士

女性は尿道から尿が前方に飛ぶことがあるので、外陰部にトイレットペーパーを当てると尿を吸い取り、便器外への飛散や寝具汚染を防げる。尿臭防止ではないぞ。

サクラ サクラ

選択肢4の便器の底に敷くのは?

博士 博士

排泄物が便器に直接こびりつくのを防ぎ、処理後の洗浄を楽にするためじゃ。寝具汚染防止ではない。

サクラ サクラ

排泄援助って、細かい工夫にもすべて根拠があるんですね。

博士 博士

そうじゃ。ほかにも羞恥心配慮のためにカーテンやバスタオルで遮蔽する、同性介助を基本とする、処置を手早く済ませる、声かけに配慮するといった点が重要じゃ。

サクラ サクラ

体温管理も大事ですよね?

博士 博士

その通り。裸を露出する時間は最小限にし、保温を徹底する。排泄後は速やかに陰部洗浄や清拭を行い、失禁関連皮膚炎や褥瘡を予防するのじゃ。

サクラ サクラ

援助の目的を言語化できるようにしておきたいです。

博士 博士

それが看護の専門性じゃ。手技だけでなく『なぜそうするのか』を説明できるようになろう。

サクラ サクラ

上半身挙上の目的が腹圧促進というのはしっかり覚えました!

POINT

ベッド上排泄援助は単なる手技ではなく、患者の羞恥心とプライバシーに最大限配慮しながら、効果的に排泄を促すことが目的です。上半身挙上は腹筋を使いやすくして腹圧をかけやすくし排泄を促す、窓開放は臭気換気のため、外陰部へのトイレットペーパー当ては尿の飛散防止、便器内へのペーパー敷きは洗浄性向上のためと、それぞれ明確な根拠があります。看護技術は手順の暗記ではなく『なぜそうするのか』を理解することで臨機応変な応用が可能になります。排泄援助のほか、陰部洗浄・体位変換・保温・同性介助・迅速な処置など、患者の尊厳を守るための総合的な配慮を身につけることが看護師の専門性を高めます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:成人女性に対するベッド上での排泄援助とその目的の組合せで適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。ベッド上排泄では仰臥位のままだと腹筋に力が入らず努責がかけにくいため、ギャッチアップして上半身を挙上すると腹圧をかけやすく排泄が促進される。患者の羞恥心への配慮と、できるだけ生理的な姿勢に近づけることの両面で理にかなった援助である。

選択肢考察

  1. × 1.  窓を開ける。 ――――――――――――――――― 寒冷刺激による排尿促進

    窓を開ける目的は排泄による臭気を室外に逃がし換気することであり、寒冷刺激による排尿促進が目的ではない。むしろ患者が寒さで保温を損ねるのは避けたい。

  2. 2.  上半身を挙上する。 ―――――――――――――― 腹圧のかけやすさによる排泄促進

    ベッドを挙上することで腹筋が使いやすくなり腹圧を高められる。座位に近い姿勢は排泄時の生理的な体位に近く、排尿・排便の促進につながる。

  3. × 3.  外陰部にトイレットペーパーを当てる。 ――――― 尿臭の防止

    外陰部にトイレットペーパーを当てるのは尿が飛散して寝具や周囲を汚染するのを防ぐための工夫であり、尿臭防止が目的ではない。

  4. × 4.  便器の底にトイレットペーパーを敷く。 ――――― 寝具の汚染防止

    便器内にトイレットペーパーを敷くのは、排泄物が便器に直接付着するのを防ぎ、その後の洗浄を容易にすることが目的で、寝具の汚染防止とは無関係である。

ベッド上排泄援助では羞恥心への配慮(カーテン・バスタオルでの遮蔽、同性介助、手早い処置)、体位の工夫(ギャッチアップ、膝立て)、プライバシー確保(声かけの配慮、他者の立ち入り制限)、感染対策(手袋・適切な清拭)、温度管理(保温)などが重要。女性の場合は尿の飛散防止のために外陰部にトイレットペーパーを当てると便器外への漏れを防げる。排泄後はすぐに陰部洗浄や清拭を行い、皮膚トラブル(褥瘡・失禁関連皮膚炎)を予防する。

ベッド上排泄援助における個々の工夫の『目的』を正しく理解しているかを問う問題。手技だけでなく根拠をセットで学習することが求められる。