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片麻痺患者の良肢位、各関節の『黄金角度』を覚えよう

看護師国家試験 第109回 午前 第36問 / 基礎看護学 / 日常生活援助技術

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第36問

片麻痺のある成人の臥床患者の患側の良肢位で適切なのはどれか。

  1. 1.肩関節は内転 10 度
  2. 2.肘関節は屈曲 10 度
  3. 3.股関節は外転 10 度
  4. 4.足関節は背屈 10 度

対話形式の解説

博士 博士

今回は臨床で毎日使う知識、良肢位じゃ。片麻痺の患者さんでは特に重要じゃから、各関節の角度を暗記するくらい押さえておくのじゃ。

アユム アユム

そもそも良肢位って何ですか?

博士 博士

良肢位は、関節が拘縮してしまったとしても日常生活動作への影響が最小限で済む関節角度のこと。機能的肢位とも呼ばれる。ポジショニングでこの姿勢を維持することで、拘縮・変形・褥瘡を予防するのじゃ。

アユム アユム

片麻痺の患者さんで特に大事なのはなぜですか?

博士 博士

麻痺側は自分では動かせないため同一体位が続きやすく、拘縮や褥瘡、肩関節亜脱臼が起きやすい。看護師が定期的にポジショニングを調整することが必須なのじゃ。

アユム アユム

各関節の良肢位を教えてください。

博士 博士

肩関節:外転10〜30°、屈曲10〜30°、内旋外旋中間位。肘関節:屈曲90°。前腕:回内回外中間位。手関節:背屈10〜20°。股関節:屈曲10〜30°、外転10〜15°、内外旋中間位。膝関節:屈曲10°。足関節:背屈・底屈0°の中間位じゃ。

アユム アユム

全部覚えるの大変ですね…。

博士 博士

コツは『手は食事や整容ができる角度』『下肢は立位や歩行に近い角度』とイメージすること。肘が90°なのは食事が口元に届くため、足関節が0°なのは立位の安定と尖足予防のためじゃ。

アユム アユム

この問題では正解が『股関節は外転10度』ですが、股関節の良肢位は外転10〜15°だから、10°は範囲内ですね。

博士 博士

その通り。外転10°は適切な範囲内じゃ。

アユム アユム

選択肢1の『肩関節は内転10度』はダメですよね。

博士 博士

内転位にすると腋窩が閉じて蒸れやすく、皮膚トラブルや拘縮を招く。正しくは外転方向に保つのじゃ。

アユム アユム

肘関節は屈曲10°ではなく90°ですね。伸ばしきった状態では食事動作が難しくなる。

博士 博士

その通り。拘縮してもADLに支障がないようにするのが良肢位の発想じゃ。

アユム アユム

足関節の背屈10°はどうして違うんですか?

博士 博士

足関節は0°つまり中間位が基本じゃ。底屈位(尖足)になると歩行困難を招くため、足底板やクッションで90°を保つ。逆に背屈し過ぎても立位が不安定になる。

アユム アユム

ポジショニングでは他にも注意点がありますよね。

博士 博士

麻痺側の上肢はクッションで支え、肩関節亜脱臼を防ぐ。股関節の外旋位固定は褥瘡と歩行障害の原因になるため、大転子下にクッションを入れて中間位を保つ。体位変換は2時間ごとが原則じゃ。

アユム アユム

痙性期と弛緩期でも対応が違うと聞きました。

博士 博士

発症直後の弛緩期は関節が動きやすいため良肢位を保ちやすい。その後の痙性期は屈曲筋の緊張が強まり屈曲拘縮が生じやすいため、伸展方向のストレッチも必要になる。

アユム アユム

ただ寝かせているように見えて、実は看護師の細やかな判断が詰まっているんですね。

POINT

良肢位は関節拘縮が起きても日常生活動作への影響を最小にする機能的肢位で、片麻痺患者のポジショニングの基本です。肩関節は外転10〜30°、肘関節は屈曲90°、股関節は外転10〜15°・屈曲10〜30°、膝関節は屈曲10°、足関節は0°(中間位)が基準で、股関節外転10°を示した選択肢3が正解です。ポジショニングでは拘縮・褥瘡・肩関節亜脱臼・尖足の予防を同時に考え、2時間ごとの体位変換とクッションによる支持を組み合わせます。看護師は各関節の角度を正確に理解し、患者の回復段階に応じた体位管理を提供することが求められます。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:片麻痺のある成人の臥床患者の患側の良肢位で適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。良肢位(機能的肢位)とは、関節拘縮が生じた場合でも日常生活動作(ADL)に与える影響が最も少ない関節角度のことをいう。片麻痺患者ではポジショニングで良肢位を保ち、拘縮・変形・褥瘡を予防する。成人の代表的良肢位は、肩関節:外転10〜30°・屈曲10〜30°、肘関節:屈曲90°、前腕:回内回外中間位、手関節:背屈10〜20°、股関節:屈曲10〜30°・外転10〜15°・内外旋中間位、膝関節:屈曲10°程度、足関節:背屈・底屈0°(中間位、尖足予防)。これに照らすと『股関節は外転10度』が最も適切である。

選択肢考察

  1. × 1.  肩関節は内転 10 度

    肩関節の良肢位は『外転10〜30°』。内転位は腋窩の皮膚トラブルや関節拘縮を招きやすく、良肢位とはいえない。

  2. × 2.  肘関節は屈曲 10 度

    肘関節の良肢位は『屈曲90°』。屈曲10°では伸展位に近く、食事や整容など日常動作に支障をきたす。

  3. 3.  股関節は外転 10 度

    股関節の良肢位は外転10〜15°・屈曲10〜30°・内外旋中間位。外転10°は適切な範囲内で正解。

  4. × 4.  足関節は背屈 10 度

    足関節の良肢位は『背屈・底屈0°(中間位)』で、尖足予防が最大の目的。背屈10°では歩行時の床面との関係で不自然となる。

臥床患者のポジショニングでは、枕・クッション・足底板を用いて良肢位を保つとともに、体圧分散、関節拘縮の予防、尖足・外旋位固定の予防、肩関節亜脱臼の予防(麻痺側上肢の適切な支持)が重要。片麻痺では弛緩期と痙性期で体位の配慮が変わり、痙性期には屈曲拘縮が生じやすいため、伸展方向への配慮も必要。褥瘡予防の観点から2時間ごとの体位変換とスキンケアも併用する。

片麻痺患者の良肢位に関する各関節の基準角度を理解しているかを問う頻出問題。数値を正確に覚えているかがカギ。