全介助患者の口腔ケアは誤嚥予防が鍵
看護師国家試験 第111回 午前 第40問 / 基礎看護学 / 日常生活援助技術
国試問題にチャレンジ
全介助が必要な臥床患者の口腔ケアで適切なのはどれか。
- 1.スポンジブラシは水を含ませた後、絞って使用する。
- 2.頸部を後屈した体位で実施する。
- 3.終了後は口腔内を乾燥させる。
- 4.舌苔は強くこすって除去する。
対話形式の解説
博士
今日は第111回看護師国家試験午前40問、全介助が必要な臥床患者の口腔ケアの問題じゃ。
アユム
臥床している患者さんの口腔ケアって難しそうですね。
博士
そのとおり。全介助患者の口腔ケアで最優先するのは誤嚥予防じゃ。口腔内に入れた水や汚れを咽頭に流し込まないよう細心の注意が必要なんじゃ。
アユム
選択肢1のスポンジブラシを水に含ませて絞って使う、というのが基本ですね。
博士
そのとおり。スポンジブラシに含まれた水が多すぎると、嚥下機能の低下した患者では咽頭に垂れ込んで誤嚥を起こす。水を含ませて十分絞ることで湿潤効果と清拭効果を両立させつつ、誤嚥リスクを減らせるんじゃ。
アユム
2の頸部後屈はどうですか。
博士
これは誤りじゃ。頸部を後屈すると気道が開放され、むしろ誤嚥しやすくなる。正しい体位は頭部を30度程度挙上し、頸部をわずかに前屈させる。顎を軽く引くイメージじゃ。
アユム
側臥位にすることもありますよね。
博士
うむ、側臥位やセミファウラー位にすることで唾液や水が頬側に流れ、咽頭に流れ込むのを防げる。吸引器もそばに準備しておくと安心じゃ。
アユム
3の終了後に口腔内を乾燥させる、は明らかに違いますね。
博士
そのとおり。口腔内の乾燥は粘膜損傷、出血、口臭、細菌増殖の原因になる。終了後は保湿ジェルや含嗽で適度な湿潤状態を保つことが大事じゃ。
アユム
4の舌苔を強くこする、はどうでしょう。
博士
舌苔は強く擦ると舌粘膜を損傷して出血や痛みを起こす。舌ブラシや柔らかいスポンジで、奥から手前に優しく数回に分けて除去するのが原則じゃ。
アユム
口腔ケアって誤嚥性肺炎予防にも関係するんですよね。
博士
極めて重要じゃ。口腔内細菌が唾液とともに微量誤嚥されて肺炎を引き起こすことが知られておる。1日2〜3回の口腔ケアで口腔内細菌量を減らせば、誤嚥性肺炎の発症率を有意に下げられることが多くの研究で示されておる。
アユム
経口摂取していない患者でも口腔ケアは必要なんですね。
博士
そのとおり。むしろ経口摂取していない患者は唾液分泌が減り、自浄作用が落ちて細菌が繁殖しやすい。だから絶食中こそ口腔ケアが重要なんじゃ。
アユム
手順をまとめると、体位調整、吸引器準備、ブラシを絞って使用、保湿で終わる、ですね。
博士
そのとおりじゃ。最後に口腔保湿剤を塗布して粘膜を守ることまでがワンセット。国試でも実臨床でも役立つ基本技術じゃから、しっかり押さえておこう。
POINT
全介助臥床患者の口腔ケアは誤嚥予防と粘膜保護が最優先事項です。スポンジブラシは水を含ませ十分絞って使用し、頸部前屈位で実施、終了後は保湿剤で乾燥を防ぎます。舌苔は優しく数回に分けて除去することで粘膜損傷を避けます。適切な口腔ケアは誤嚥性肺炎予防にも直結する重要なケアです。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:全介助が必要な臥床患者の口腔ケアで適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。全介助が必要な臥床患者の口腔ケアでは誤嚥予防が最優先です。スポンジブラシに水を含ませ十分に絞ってから使用することで、ブラシによる清拭効果を得つつ誤嚥リスクを減らせます。体位は頸部前屈位とし、終了後は保湿ジェルなどで乾燥を防ぎ、舌苔は優しく除去します。口腔ケアは齲歯・歯周病予防だけでなく誤嚥性肺炎予防においても極めて重要です。
選択肢考察
-
○ 1. スポンジブラシは水を含ませた後、絞って使用する。
スポンジブラシの水を十分に絞ることで、口腔内を湿潤させ汚れを除去しながら、水の垂れ込みによる誤嚥を防止できます。全介助患者の口腔ケアの基本手技です。
-
× 2. 頸部を後屈した体位で実施する。
頸部後屈は気道を開放し誤嚥リスクを高めます。枕などで頭部をやや挙上し、頸部はわずかに前屈させた体位で実施することで咽頭への流れ込みを防ぎます。
-
× 3. 終了後は口腔内を乾燥させる。
口腔内の乾燥は粘膜損傷・口臭・細菌増殖の原因となります。終了後は保湿ジェルや含嗽で適度な湿潤状態を保ち、粘膜を保護します。
-
× 4. 舌苔は強くこすって除去する。
強く擦ると舌粘膜を損傷し出血や痛みを生じます。舌苔は舌ブラシや柔らかいスポンジで奥から手前に優しく数回に分けて除去します。
口腔ケアは誤嚥性肺炎予防に直結する重要なケアです。手順としては、頭部を30度程度挙上し頸部前屈位に整える、側臥位またはファウラー位で唾液が咽頭に流れ込まないようにする、吸引器を準備する、ブラシや綿棒の水分をしっかり絞る、終了後は口腔保湿剤を塗布する、が基本です。経口摂取ができない患者でも1日2〜3回の口腔ケアで口腔内細菌量を減らせば、誤嚥性肺炎発症率を有意に低下させることが報告されています。
全介助臥床患者の口腔ケアにおける誤嚥予防と粘膜保護の原則を理解しているかを問う問題です。
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