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全身に広がる淡紅色の発疹、薔薇疹の正体は?梅毒の臨床像を読み解く

看護師国家試験 第114回 午後 第53問 / 健康支援と社会保障制度 / 感染症と生活環境への対策

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第53問

梅毒(syphilis)について正しいのはどれか。

  1. 1.ワクチンによる予防が可能である。
  2. 2.パートナーの検査は不要である。
  3. 3.ウイルス感染症である。
  4. 4.ばら疹を認める。

対話形式の解説

博士 博士

今日は梅毒について学ぶぞ。最近、国内の報告数が急増しておって国試でも頻出のテーマじゃ。

サクラ サクラ

梅毒って昔の病気というイメージでしたが、増えているんですか?

博士 博士

そうじゃ、令和に入って毎年最多更新の状況での。特に若い女性の感染増加が問題視されておる。

サクラ サクラ

そもそも梅毒って何が原因なんですか?

博士 博士

梅毒トレポネーマというらせん状の細菌、スピロヘータの仲間が原因じゃ。ウイルスではなく細菌、ここがまず大事なポイント。

サクラ サクラ

細菌だから抗菌薬で治せるんですね。

博士 博士

その通り。第一選択はペニシリン系。早期に治療すれば完治が期待できる病気じゃ。

サクラ サクラ

症状はどう進むんですか?

博士 博士

段階で覚えるとよい。第1期は感染部位に硬性下疳という痛くないしこり、第2期は感染から3か月ほどで全身に薔薇疹という淡紅色の発疹が出る。

サクラ サクラ

薔薇疹ってバラの花みたいな発疹なんですか?

博士 博士

淡紅色で小さく、体幹・手掌・足底にも左右対称に広がる。痛みも痒みもないのが特徴で、他の発疹疾患との大きな鑑別点じゃ。

サクラ サクラ

放っておくと?

博士 博士

潜伏期を経て、晩期にはゴム腫、心血管梅毒、神経梅毒と進行し、最悪は致命的になる。だから早期治療が肝心じゃ。

サクラ サクラ

ワクチンはあるんですか?

博士 博士

残念ながら梅毒にワクチンはない。予防はコンドームの使用と早期検査・治療、そしてパートナーの同時検査じゃ。

サクラ サクラ

パートナーの検査も大事ですね。

博士 博士

片方だけ治してもピンポン感染で再感染するからの。診断したらパートナーへの検査勧奨はセットで行う。

サクラ サクラ

妊婦さんが感染すると赤ちゃんにも影響しますか?

博士 博士

経胎盤感染で先天梅毒となり、流産・死産・先天異常を起こす。だから日本では妊娠初期に必ずスクリーニング検査が行われる。

サクラ サクラ

病原体・症状・予防・治療がしっかり整理できました。

POINT

梅毒は梅毒トレポネーマというスピロヘータ科の細菌による性感染症で、感染症法では5類感染症に分類されています。臨床経過は第1期の硬性下疳、第2期の薔薇疹を含む全身性発疹、潜伏期、晩期のゴム腫・心血管梅毒・神経梅毒と段階的に進み、第2期の薔薇疹は手掌・足底にも出現し痛みや痒みを伴わないのが特徴です。ワクチンは存在せず、予防はコンドーム使用と早期診断、そしてパートナーの同時検査・治療が基本となります。治療にはペニシリン系抗菌薬が用いられ、早期治療で完治が可能ですが、近年の感染者増加と先天梅毒のリスクから看護師には早期発見への啓発と妊婦スクリーニングの理解が求められます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:梅毒(syphilis)について正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。梅毒は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)というスピロヘータ科の細菌による性感染症で、感染症法では5類感染症に位置づけられ、診断した医師は7日以内に届け出る義務がある。臨床経過は第1期(感染部位の硬性下疳・無痛性リンパ節腫脹)、第2期(感染後数か月、全身に薔薇疹と呼ばれる淡紅色の発疹や扁平コンジローマ)、潜伏梅毒、晩期梅毒(ゴム腫・心血管梅毒・神経梅毒)と進行する。第2期に出現する薔薇疹は手掌・足底を含む全身に分布し、痛みや痒みを伴わないのが特徴である。

選択肢考察

  1. × 1.  ワクチンによる予防が可能である。

    現在のところ梅毒に有効なワクチンは存在しない。予防はコンドームの正しい使用、不特定多数との性交渉を避けること、早期診断・早期治療が中心となる。

  2. × 2.  パートナーの検査は不要である。

    梅毒は主に性的接触で感染するため、パートナーが無症状でも感染している可能性が高い。再感染(ピンポン感染)防止のためにもパートナーの検査・治療は必須である。

  3. × 3.  ウイルス感染症である。

    梅毒の原因病原体である梅毒トレポネーマはらせん菌(スピロヘータ)であり細菌の一種。治療にはペニシリン系抗菌薬が第一選択となり、ウイルス感染症ではない。

  4. 4.  ばら疹を認める。

    薔薇疹は感染後3か月前後の第2期に出現する淡紅色の小斑状発疹で、体幹・手掌・足底などに左右対称性に広がる。痛みや掻痒を伴わない点が他の発疹疾患との鑑別点である。

梅毒は近年、男女ともに国内報告数が急増しており、特に若年女性での増加が顕著で先天梅毒のリスクも高まっている。診断はTPHA・FTA-ABS(特異的検査)とRPR・VDRL(非特異的検査)を組み合わせて評価し、治療はベンジルペニシリン筋注または経口アモキシシリンが用いられる。治療開始数時間以内にJarisch-Herxheimer反応(発熱・悪寒)が起こることがあり患者への事前説明が必要となる。妊婦の感染では経胎盤感染による先天梅毒を起こすため妊娠初期のスクリーニング検査が法定的に行われている。

梅毒の病原体・臨床経過・予防の基本知識を問う問題。第2期に出現する薔薇疹の特徴と、細菌感染症であることを正確に押さえることがポイント。