一次脱水で起こる体の反応
看護師国家試験 第105回 午前 第27問 / 人体の構造・機能 / 血液と体液
国試問題にチャレンジ
一次脱水でみられるのはどれか。
- 1.尿量の減少
- 2.血漿浸透圧の低下
- 3.バソプレシンの分泌の抑制
- 4.血漿ナトリウムイオン濃度の低下
対話形式の解説
博士
今日は脱水の種類と、一次脱水で何が起こるかを整理しよう。
サクラ
脱水は水が足りない状態というイメージですが、種類があるのですね。
博士
大きく3つに分けられる。高張性、低張性、等張性。このうち高張性脱水を一次脱水、水欠乏型とも呼ぶ。
サクラ
水が主に失われるのが一次脱水ですね。
博士
そう。発熱による不感蒸泄増加、大量発汗、水分摂取不足、尿崩症などで起こる。Naに比べて水が優位に失われるから、細胞外液のNa濃度と血漿浸透圧が上がる。
サクラ
体はどう反応しますか?
博士
視床下部の浸透圧受容体が刺激され、バソプレシン、ADHの分泌が亢進する。このホルモンは腎集合管で水再吸収を増やし、尿量を減らす。同時に口渇中枢が刺激されて喉が渇き、水を飲みたくなる。
サクラ
選択肢1の尿量減少が正解ですね。
博士
その通り。血漿浸透圧は上昇するので選択肢2は逆、ADHは分泌亢進だから選択肢3も逆、Naは濃縮されて上昇するから選択肢4も逆、となる。
サクラ
二次脱水との違いは?
博士
二次脱水は低張性脱水、Na欠乏型。嘔吐・下痢・利尿薬過剰・アジソン病などでNaが多く失われ、細胞外液の浸透圧が下がる。水が細胞内へ移動するため循環血漿量が減り、血圧低下やショックに陥りやすい。
サクラ
それぞれ症状も違うのですね。
博士
一次脱水は口渇が強く尿は濃縮される。二次脱水は口渇は軽度だが血圧低下や倦怠感、意識障害が目立つ。検査値ではNaが高いか低いかで区別できる。
サクラ
高齢者は一次脱水になりやすいと聞きます。
博士
そう。加齢で口渇中枢の感受性が低下し、腎の濃縮能も落ちる。さらにトイレを気にして水分摂取を控えがち。だから看護師は定期的な水分摂取の声かけが重要だ。
サクラ
補液はどう選びますか?
博士
一次脱水は自由水の不足だから5%ブドウ糖や1/3〜1/4生理食塩液などで水を補う。二次脱水は生理食塩液など等張液でNaと水を一緒に補う。混合性ならバランスをみて。
サクラ
病態から補液を選ぶ視点が大事ですね。
博士
その通り。脱水=生食ではなく、どの成分が足りないかを見極めることが看護と医療の質を決める。
サクラ
病態、ホルモン反応、補液まで一本の線でつながりました。
博士
この流れを押さえれば、一次脱水の問題は確実に取れるはずだよ。
POINT
一次脱水は水分欠乏型(高張性)脱水で、血漿浸透圧と血漿Na濃度が上昇し、ADH分泌亢進により腎での水再吸収が進むため尿量が減少します。口渇も強く現れ、水分補給行動を促します。対する二次脱水はNa欠乏型で浸透圧低下・血圧低下が特徴です。高齢者は口渇中枢の感受性低下から一次脱水に陥りやすく、看護師の水分摂取支援が重要です。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:一次脱水でみられるのはどれか。
解説:正解は1です。一次脱水は水分欠乏型(高張性)脱水で、発汗過多や水分摂取不足、尿崩症などで主に水が失われた状態です。細胞外液中のNa濃度と血漿浸透圧が上昇するため、浸透圧受容体が刺激されバソプレシン(ADH)分泌が亢進し、腎集合管で水再吸収が促進されて尿量は減少します。同時に口渇が強まり水分摂取行動を促します。
選択肢考察
-
○ 1. 尿量の減少
血漿浸透圧上昇によりADH分泌が亢進し、腎集合管での水再吸収が増加するため尿量は減少します。
-
× 2. 血漿浸透圧の低下
水が優位に失われNaは相対的に濃縮されるため、血漿浸透圧はむしろ上昇します。低下するのは二次脱水(低張性)です。
-
× 3. バソプレシンの分泌の抑制
浸透圧上昇刺激でバソプレシンは分泌「亢進」します。尿量減少はこの結果です。
-
× 4. 血漿ナトリウムイオン濃度の低下
一次脱水ではNaが濃縮されるため血漿Na濃度は上昇します。低下するのは二次脱水(Na欠乏型)です。
脱水は主な喪失成分で分類されます。一次脱水(高張性・水欠乏型)は発熱・発汗・不感蒸泄増加・尿崩症・水分摂取不足などで起こり、口渇・尿量減少・高Na血症・高浸透圧が特徴です。二次脱水(低張性・Na欠乏型)は嘔吐・下痢・利尿薬過剰・アジソン病などでNaが多く失われ、循環血漿量減少から血圧低下・倦怠感・低Na血症が目立ちます。両者が混在する混合性脱水もあります。高齢者は口渇中枢の感受性が低下しており一次脱水に陥りやすく、水分補給の声かけが重要です。
一次脱水(高張性脱水)の病態生理と代表的所見(尿量減少・ADH分泌亢進・血漿浸透圧上昇)を理解しているかを問う問題です。
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