尿酸はどこから来る?プリン体と核酸のつながりを理解しよう
看護師国家試験 第109回 午前 第77問 / 人体の構造・機能 / 代謝系と体温調節
国試問題にチャレンジ
最終代謝産物に尿酸が含まれるのはどれか。
- 1.核酸
- 2.リン脂質
- 3.中性脂肪
- 4.グルコース
- 5.コレステロール
対話形式の解説
博士
今回は最終代謝産物の問題じゃ。尿酸が何から生まれるかわかるかの?
サクラ
痛風の原因ですよね。ビールに多いプリン体と関係あったような…
博士
そうじゃ。プリン体とは何か、生化学的に説明できるかな?
サクラ
えっと、食事に含まれる成分…くらいしかイメージがないです。
博士
プリン体はアデニンやグアニンといった塩基の総称で、実は核酸(DNA・RNA)の構成成分なんじゃ。
サクラ
そうか、核酸の塩基ですね!DNAの『A』と『G』。
博士
その通り。アデニンとグアニンがプリン塩基、シトシン・チミン・ウラシルがピリミジン塩基。プリン体が分解されると尿酸になる。
サクラ
分解の経路はどうなってますか?
博士
アデニン・グアニン→ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸、という流れじゃ。キサンチン酸化酵素(キサンチンオキシダーゼ)が最後のステップを触媒する。
サクラ
尿酸降下薬のアロプリノールはこの酵素を阻害するんですね。
博士
よく知っておるな!その通りじゃ。ヒトは尿酸酸化酵素(ウリカーゼ)を持たんから、尿酸で代謝が止まる。他の哺乳類はさらにアラントインまで分解できる。
サクラ
なぜヒトだけ止まるんですか?
博士
進化の過程でウリカーゼ遺伝子が失われたと考えられておる。尿酸には抗酸化作用があって、長寿や高次脳機能に有利だった説もある。
サクラ
面白いですね。じゃあ選択肢1の核酸が正解で、他の選択肢はどうなりますか?
博士
リン脂質は脂肪酸とグリセロール、リン酸、コリンに分解され、最終的に水と二酸化炭素になる。中性脂肪も同様に水と二酸化炭素じゃ。
サクラ
グルコースは解糖系→クエン酸回路で水と二酸化炭素。嫌気下なら乳酸、ですよね。
博士
完璧じゃ。コレステロールは胆汁酸やステロイドホルモン、ビタミンDの原料になる。尿酸は関係ない。
サクラ
尿酸が生じるのは核酸由来のプリン体代謝だけ、と覚えます。
博士
うむ。高尿酸血症は7.0mg/dL以上と定義される。痛風、尿路結石、腎障害の原因になる。
サクラ
治療薬は?
博士
産生抑制薬のアロプリノール・フェブキソスタット、排泄促進薬のベンズブロマロン。痛風発作の急性期にはNSAIDsやコルヒチンを使う。
サクラ
患者指導はプリン体制限と水分摂取が大事ですよね。
博士
その通り。レバー、白子、魚卵、ビールはプリン体が多い。水分を多く取って尿酸の尿中排泄を促すことも重要じゃ。
POINT
尿酸は、核酸の構成成分であるプリン塩基(アデニン・グアニン)が分解される過程の最終代謝産物です。経路はアデニン・グアニン→ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸で、最終段階をキサンチン酸化酵素が触媒します。ヒトは尿酸酸化酵素(ウリカーゼ)を持たないため代謝はここで止まり、腎臓から尿中排泄されます。高尿酸血症(7.0mg/dL超)は痛風・尿路結石・腎障害の原因となり、治療はアロプリノールなどのキサンチン酸化酵素阻害薬、食事指導(プリン体制限・節酒)、水分摂取励行が柱です。生化学の基礎知識は、内分泌・代謝疾患の病態理解と患者指導の土台となります。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:最終代謝産物に尿酸が含まれるのはどれか。
解説:正解は 1 です。尿酸は、核酸を構成するプリン塩基(アデニン、グアニン)が分解される過程の最終代謝産物である。ヒトでは尿酸酸化酵素(ウリカーゼ)を持たないため、プリン体代謝は尿酸で止まり、主に腎臓から尿中排泄される。食事由来・体内細胞新陳代謝由来の核酸が源となり、体内で産生と排泄のバランスが崩れると高尿酸血症となる。
選択肢考察
-
○ 1. 核酸
核酸の構成成分であるプリン塩基(アデニン・グアニン)はヒポキサンチン→キサンチン→尿酸の順に分解され、最終的に尿酸となって尿中へ排泄される。高尿酸血症が持続すると関節に尿酸塩が沈着し痛風発作を起こす。
-
× 2. リン脂質
リン脂質は細胞膜の主成分で、代謝されると脂肪酸、グリセロール、リン酸、コリンなどに分解される。最終代謝産物は水と二酸化炭素であり、尿酸は含まれない。
-
× 3. 中性脂肪
中性脂肪(トリグリセリド)はリパーゼによりグリセロールと脂肪酸に分解され、β酸化を経てアセチルCoA、クエン酸回路で最終的に水と二酸化炭素になる。尿酸は生じない。
-
× 4. グルコース
グルコースは解糖系→クエン酸回路→電子伝達系を経て水と二酸化炭素に完全酸化される。嫌気下では乳酸となる。尿酸は関与しない。
-
× 5. コレステロール
コレステロールは胆汁酸に変換されて便中排泄、もしくはステロイドホルモン・ビタミンDの原料となる。最終代謝産物に尿酸は含まれない。
高尿酸血症の基準は血清尿酸値7.0mg/dL超。原因は産生過剰型(核酸代謝亢進、悪性腫瘍化学療法後の腫瘍崩壊症候群など)と排泄低下型(腎機能低下、脱水、薬剤性など)、および混合型に分類される。治療薬は産生抑制薬(アロプリノール、フェブキソスタット)と排泄促進薬(ベンズブロマロン)がある。痛風発作中はNSAIDsやコルヒチンで対応し、尿酸降下薬は発作後落ち着いてから開始するのが原則。プリン体の多い食品(レバー、白子、ビール、魚卵)の摂取制限と水分摂取励行も重要な指導内容。
栄養素・代謝産物の対応関係を問う基礎生化学の問題。『プリン体=核酸=尿酸』というキーワードチェーンを押さえるのがポイント。
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