アルコール依存症の予防は三段階 一次予防は『飲み始めさせない』
看護師国家試験 第109回 午前 第87問 / 精神看護学 / 精神保健の基本
国試問題にチャレンジ
アルコール依存症( alcohol dependence syndrome )の一次予防はどれか。2 つ選べ。
- 1.年齢確認による入手経路の制限
- 2.スクリーニングテストの実施
- 3.精神科デイケアへの参加
- 4.小学生への健康教育
- 5.患者会への参加
対話形式の解説
博士
今回は予防の三段階をアルコール依存症にあてはめて学ぶぞ。
サクラ
予防って一次・二次・三次に分けますよね?
博士
そうじゃ。一次予防は発生予防、二次予防は早期発見・早期治療、三次予防は重症化予防・社会復帰と機能回復じゃ。
サクラ
アルコール依存症での一次予防とは?
博士
『飲酒を始めさせない』『適正飲酒の知識を普及する』『社会環境として酒へのアクセスを制限する』などじゃ。正解の『年齢確認による入手制限』と『小学生への健康教育』はまさにこれに当たる。
サクラ
年齢確認はどの法律と関係しますか?
博士
未成年者飲酒禁止法やアルコール健康障害対策基本法(2013年成立)じゃ。基本法では教育振興と『不適切な飲酒の誘因の防止』が一次予防として位置づけられておる。
サクラ
小学生への健康教育は具体的にどんなことを?
博士
飲酒・喫煙・薬物の健康への影響、脳発達への悪影響、断る力(ライフスキル)の育成。学校保健で養護教諭や保健師と連携して行うんじゃ。
サクラ
スクリーニングテストはなぜ二次予防なんですか?
博士
AUDITやCAGEは既に飲酒している人の問題の有無を評価する。つまり発症後の早期発見に該当する。簡易介入(ブリーフインターベンション)にもつなげる流れじゃな。
サクラ
精神科デイケアは?
博士
依存症が確立した患者の社会復帰支援・再発予防だから三次予防。生活リズム再構築、対人関係の回復、就労準備などを行うぞ。
サクラ
患者会(断酒会、AA)も三次予防ですか?
博士
そう。当事者同士の支え合いで断酒継続を支援する自助グループは三次予防の重要な資源じゃ。
サクラ
離脱症状についても教えてください。
博士
アルコール依存症の離脱は、振戦、発汗、不眠、幻覚、痙攣、そして振戦せん妄が特徴的。断酒48〜72時間後に発症しやすく、ベンゾジアゼピン系薬剤と補液、ビタミンB1補給で治療する。
サクラ
Wernicke脳症にも注意ですね。
博士
その通り。ビタミンB1欠乏によるWernicke脳症(意識障害・眼球運動障害・失調)は、ブドウ糖単独投与で悪化するため、必ずB1先行投与じゃ。
サクラ
看護師の役割は?
博士
学校や地域での健康教育(一次)、病棟・外来でのスクリーニングと介入(二次)、断酒継続支援と家族支援(三次)と、全段階に関わる。アルコール問題は本人だけでなく家族・職場を巻き込むため、多職種連携が欠かせんぞ。
POINT
予防医学の三段階(一次予防=発生予防、二次予防=早期発見・早期治療、三次予防=重症化予防と社会復帰)をアルコール依存症に当てはめると、一次予防は未成年者への年齢確認による販売制限や小学生への健康教育のように『飲酒を始めさせない』活動です。スクリーニングテスト(AUDITなど)による早期発見は二次予防、精神科デイケアや断酒会・AAなどの自助グループ参加は三次予防に当たります。2013年のアルコール健康障害対策基本法は、教育振興・販売規制・早期介入・社会復帰支援を体系化した法律で、看護師は学校教育、病棟でのスクリーニング、退院後の断酒支援まで、全段階に関与します。離脱症状のベンゾジアゼピン治療やWernicke脳症予防のビタミンB1投与も臨床実践上の重要知識です。
解答・解説
正解は 1 ・ 4 です
問題文:アルコール依存症( alcohol dependence syndrome )の一次予防はどれか。2 つ選べ。
解説:正解は 1 と 4 です。一次予防は疾病の発生自体を防ぐ活動で、アルコール依存症における一次予防は、飲酒開始を防ぐ・適正飲酒知識を普及する・社会環境として飲酒へのアクセスを制限するなどが該当する。年齢確認による未成年への酒類販売制限(入手経路の制限)と、小学生への健康教育はいずれも飲酒開始そのものを防ぐ典型的な一次予防である。
選択肢考察
-
○ 1. 年齢確認による入手経路の制限
未成年者の飲酒を防ぎ、アルコール依存症発症そのものを予防する社会環境整備。『アルコール健康障害対策基本法』における『不適切な飲酒の誘因の防止』に該当する一次予防。
-
× 2. スクリーニングテストの実施
AUDITやCAGEなどによる早期発見は二次予防に該当する。問題のある飲酒者を早期に発見し、簡易介入につなげるのが目的。
-
× 3. 精神科デイケアへの参加
依存症が確立した患者の社会復帰支援・再発予防は三次予防。生活リズムの再構築、対人関係回復、就労準備などを目的とする。
-
○ 4. 小学生への健康教育
発達段階に応じた飲酒・薬物・喫煙の有害性教育により、将来の飲酒開始・依存を予防する一次予防の中核。学校保健の場で養護教諭や保健師、看護職が関与する。
-
× 5. 患者会への参加
AA(Alcoholics Anonymous)や断酒会などの自助グループは、依存症の再発予防・社会復帰支援で三次予防に該当する。
予防医学の三段階は、一次予防(発生予防:健康増進・特異的予防)、二次予防(早期発見・早期治療)、三次予防(重症化予防・社会復帰)。アルコール関連では2013年にアルコール健康障害対策基本法が成立し、教育、広告規制、年齢確認、販売時間・場所の規制などの一次予防が体系化された。依存症の評価には『精神依存』(強い飲酒欲求、コントロール喪失)と『身体依存』(離脱症状:振戦、発汗、不眠、せん妄、痙攣)がある。離脱せん妄はベンゾジアゼピン系薬で治療する。看護師は地域での健康教育、病棟での早期発見、断酒継続支援などあらゆる予防段階に関与する。
一次・二次・三次予防の概念を当てはめる問題。『発症前か/発症後早期か/慢性期・社会復帰か』で区別する。
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