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在留外国人Aさんへの母子保健制度の説明

看護師国家試験 第115午後74

国試問題にチャレンジ

115午後74

Aさん(34歳、女性)と夫はともに外国籍である。10年前に来日し、在留資格を有し、国民健康保険に加入している。Aさんは妊娠9週と診断され、日本で出産する予定である。 Aさんに対する説明で正しいのはどれか。

  1. 1.「日本での出生届は不要です」
  2. 2.「妊娠の届出は大使館にします」
  3. 3.「出産時に出産育児一時金が支給されます」
  4. 4.「妊婦健康診査における公費負担を受けることはできません」

対話形式の解説

博士博士
今回は34歳の外国籍女性Aさんの事例じゃ。10年前に来日し、在留資格を有して国民健康保険に加入しておる。妊娠9週で日本で出産予定。Aさんへの説明として正しいのはどれかな?
サクラサクラ
選択肢は「出生届は不要」「妊娠届は大使館」「出産育児一時金が支給」「妊婦健診の公費負担は受けられない」の4つですね。私は3の出産育児一時金が支給される、が正しいと思います。
博士博士
お見事、正解じゃ。出産育児一時金は健康保険法と国民健康保険法に基づく給付で、国籍は要件になっておらんのじゃよ。日本の公的医療保険に加入していれば外国籍でも対象になる。
サクラサクラ
金額はいくらでしたか?
博士博士
令和5年4月以降は原則1児につき50万円じゃ。産科医療補償制度の対象出産であれば加算もそのまま50万円に含まれる形になっておる。妊娠4か月、つまり85日以上の分娩であれば、死産・流産でも支給対象になるのがポイントじゃ。
サクラサクラ
では1の出生届が不要、というのはなぜ間違いなんですか?
博士博士
戸籍法第49条で、日本国内で生まれた子は父母の国籍を問わず、出生から14日以内に市区町村への出生届が義務付けられておる。外国籍の子であっても日本生まれなら届出が必要じゃ。在留資格の取得にも関わってくる重要な手続きじゃよ。
サクラサクラ
妊娠届を大使館にする、というのも違いますよね。
博士博士
その通りじゃ。母子保健法第15条で、妊娠の届出は住所地の市区町村に行うと定められておる。届け出ることで母子健康手帳が交付され、妊婦健診受診票や保健指導、両親学級などにつながる。これは外国人にも適用される。
サクラサクラ
4の妊婦健診の公費負担はどうですか?
博士博士
これも誤りじゃ。住民登録があれば国籍を問わず妊婦健診の公費負担の対象になる。Aさんは中長期在留者で住民登録があると考えられ、市区町村から受診票が交付される。一般的には14回程度の健診費用が助成されるのじゃ。
サクラサクラ
在日外国人の母子保健で、看護師として配慮すべきことは何でしょう?
博士博士
まずは言葉の壁じゃな。多言語版の母子健康手帳が用意されており、英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・タガログ語など複数の言語に対応しておる。医療通訳の活用や、やさしい日本語の使用も大切じゃ。また食事制限、宗教上の禁忌、家族観の違いにも配慮する必要があるのう。
サクラサクラ
制度的なまとめとしてはどう整理すればいいですか?
博士博士
「在留資格+住民登録+公的医療保険加入」の3点セットが揃えば、母子健康手帳交付、妊婦健診公費負担、出産育児一時金、乳幼児健診、予防接種まで日本人と同じ制度が利用できる、と覚えるとよい。逆に在留資格のないオーバーステイの場合は使える制度が限られ、無料低額診療事業や行旅病人法など別の枠組みでの対応になる。
サクラサクラ
国試対策としては、外国籍であっても日本の保険制度に加入していれば日本人と同等の給付が受けられる、という原則を押さえればよさそうですね。
博士博士
その通りじゃ。在留外国人の健康支援は近年の国試で頻出テーマじゃから、制度の根拠法とともに整理しておくとよいぞ。

POINT

外国籍であっても在留資格を有し国民健康保険に加入していれば、日本人と同様に出産育児一時金や妊婦健診の公費負担などの母子保健制度を利用できることを問うています。

解答・解説

正解は3です

問題文:Aさん(34歳、女性)と夫はともに外国籍である。10年前に来日し、在留資格を有し、国民健康保険に加入している。Aさんは妊娠9週と診断され、日本で出産する予定である。 Aさんに対する説明で正しいのはどれか。

解説:正解は3の「出産時に出産育児一時金が支給されます」です。出産育児一時金は、健康保険法および国民健康保険法に基づき、被保険者またはその被扶養者が出産したときに支給される給付です。国籍を問わず、日本の公的医療保険(国民健康保険・健康保険など)に加入していれば、妊娠4か月(85日)以上の出産(死産・流産を含む)に対して、原則1児につき50万円(産科医療補償制度加算対象出産の場合、令和5年4月以降)が支給されます。Aさんは外国籍ですが、在留資格を有し、住民登録のうえで国民健康保険に加入しているため、保険給付としての出産育児一時金の支給対象となります。なお現在は医療機関等が代理で受け取る「直接支払制度」が広く活用されており、出産費用の一括支払い負担が軽減されています。

選択肢考察

  1. ×1.  「日本での出生届は不要です」

    戸籍法第49条により、日本国内で出生した子については、父母の国籍にかかわらず出生の日から14日以内に出生届を市区町村に提出する義務があります。外国籍の子であっても日本で生まれた以上、出生届の提出は必要です。

  2. ×2.  「妊娠の届出は大使館にします」

    母子保健法第15条に基づき、妊娠した者は速やかに住所地の市区町村に妊娠の届出を行います。この届出により母子健康手帳が交付され、妊婦健診受診票や保健指導につながります。大使館に届け出るものではありません。

  3. 3.  「出産時に出産育児一時金が支給されます」

    国民健康保険に加入していれば、外国籍であっても出産育児一時金が支給されます。妊娠4か月以上の分娩が支給対象で、現在は1児につき原則50万円が支給され、多くは直接支払制度で医療機関に支払われます。

  4. ×4.  「妊婦健康診査における公費負担を受けることはできません」

    母子保健法に基づく妊婦健康診査は、住民登録があれば国籍を問わず公費負担(受診票交付)の対象になります。Aさんは在留資格を有し国民健康保険に加入していることから住民登録もあると考えられ、公費負担を受けられます。

在日外国人の母子保健は、母子保健法・戸籍法・健康保険法(国民健康保険法)が国籍を問わず適用される点が重要です。中長期在留者として住民登録があれば、母子健康手帳の交付・妊婦健診の公費負担・出産育児一時金・乳幼児健診・予防接種など、日本人と同様の制度が利用できます。言語的・文化的バリアへの配慮として、多言語版母子健康手帳の活用や通訳の手配、宗教・食習慣への配慮も実践のポイントです。覚え方は「在留資格+住民登録+公的医療保険」が揃えば母子保健制度はフルに使える、と整理しましょう。

外国籍であっても在留資格を有し国民健康保険に加入していれば、日本人と同様に出産育児一時金や妊婦健診の公費負担などの母子保健制度を利用できることを問うています。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。