脊髄損傷のリハと社会復帰
成人看護学 / 運動器
解説
脊髄損傷とは、交通事故や転落などの外傷によって脊髄が傷害され、損傷した高さよりも下方の運動・感覚・自律神経の機能が障害される病態をいいます。今回は脊髄損傷のリハビリテーションと社会復帰について解説します。
脊髄損傷の概観
脊髄損傷では、損傷の高位によって障害される範囲が大きく異なります。C4以上の損傷では呼吸筋が麻痺し人工呼吸器が必要となり、C6以下では上肢の一部が使用可能となります。T1以下では下肢の完全麻痺となりますが、上肢機能は保たれます。神経損傷の程度により、損傷高位以下の機能が全く失われる完全損傷と、一部の機能が残存する不完全損傷に区分されます。
主な合併症と看護
感覚障害と長時間の車椅子乗車により、坐骨部などに褥瘡が発生しやすくなります。予防には1日数回、15秒以上のプッシュアップによる除圧と、体圧分散マットやクッションの使用が欠かせません。
膀胱機能障害による排尿障害に対しては自己導尿の習得が必要です。清潔操作、カテーテルの適切な交換、十分な水分摂取によって尿路感染を予防します。直腸機能障害に対しては、決まった時間に排便する習慣の確立、摘便、刺激法によって排便コントロールを行います。
T6以上の損傷では、尿閉や便塊、褥瘡などの刺激により急激な血圧上昇、頭痛、発汗、徐脈などをきたす自律神経過反射が起こります。発症時はまず原因の除去を行うことが第一です。その他、起立性低血圧、深部静脈血栓症、痙性、関節拘縮、異所性骨化なども生じやすく、継続的な観察と予防が必要です。
社会復帰支援
リハビリテーション看護では、身体的回復だけでなく社会参加や就労継続を視野に入れた包括的支援を行います。職場復帰にあたっては、通勤手段としてバリアフリー車両やリフト付きタクシー、送迎の活用、職場環境の段差解消、多目的トイレや駐車場の整備、仕事内容の調整、自己導尿のための清潔な場所と時間の確保などを検討します。職場担当者に障害の状況を伝え、理解と協力を得ることも重要です。
自己決定支援
支援では本人の希望を傾聴して尊重し、実現に向けた課題や利用できる資源を一緒に洗い出し、必要な情報を提供し、多職種で連携して調整しますが、最終的な決定は本人が行います。
社会資源と制度
ハローワークの障害者窓口、地域障害者職業センター、ジョブコーチ制度、障害者職業能力開発校などが活用できます。障害者雇用率制度では、令和6年から民間企業の法定雇用率が**2.5%**に引き上げられました。
まとめ
脊髄損傷の看護では、合併症予防と日常生活動作の自立支援に加え、本人の意思を尊重した社会復帰支援が求められます。多職種・社会資源と連携し、患者が望む生活の再構築を支えていくことが重要です。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
脊髄損傷でC4以上の高位損傷ではが麻痺し、人工呼吸器が必要となる。
- 2.
感覚障害と長時間の車椅子乗車により坐骨部などに発生しやすい合併症はであり、予防には1日数回15秒以上のによる除圧が有効である。
- 3.
膀胱機能障害に対してはを習得し、清潔操作と十分な水分摂取によって尿路感染を予防する。
- 4.
T6以上の脊髄損傷で、尿閉や便塊などの刺激により急激な血圧上昇、頭痛、発汗、徐脈をきたす病態をといい、対応の第一はである。
- 5.
長時間の車椅子乗車による坐骨部の褥瘡予防には、プッシュアップに加えて(クッション)の使用が必須である。
- 6.
自己決定支援では本人の希望を傾聴・尊重し、課題と資源を共に整理し、情報提供と多職種連携を行うが、最終的な決定はが行う。
- 7.
障害者雇用率制度において、令和6年から民間企業の法定雇用率は%に引き上げられた。
- 8.
職業生活上の課題に対して職場に出向いて支援を行う制度を制度といい、地域障害者職業センターやの障害者窓口とも連携して就労支援が行われる。
