脳腫瘍の治療と看護
成人看護学 / 脳・神経
解説
脳腫瘍とは、頭蓋内に発生する腫瘍の総称で、神経膠腫(グリオーマ)や髄膜腫、下垂体腺腫などの原発性と、他臓器がんからの転移性に大別されます。今回は脳腫瘍の治療と看護について解説します。
脳腫瘍の治療の概要
脳腫瘍の治療は、手術(開頭腫瘍摘出術)を基本とし、組織型や悪性度に応じて放射線療法と化学療法を組み合わせる集学的治療が行われます。悪性神経膠腫の代表である**膠芽腫(グリオブラストーマ)**は浸潤性が強く、全摘出が困難なため、術後に放射線療法と抗がん薬(テモゾロミドなど)の併用が標準治療となります。
開頭術後の看護
開頭術後にもっとも警戒すべき合併症は頭蓋内圧亢進です。頭蓋内圧亢進とは、脳浮腫や術後出血により頭蓋内の容積が増加し、脳組織が圧迫される状態をいいます。症状としては頭痛・嘔吐・うっ血乳頭の三徴のほか、進行すると血圧上昇・徐脈・呼吸異常を示すクッシング現象や、瞳孔不同、意識レベル低下が出現します。
予防のための体位として、ベッドの頭側を15〜30度挙上し、頸部は中間位に保ちます。これは脳からの静脈還流を促し、頭蓋内圧の上昇を抑える目的です。頸部の過度な屈曲・回旋、急激な体動、怒責は静脈還流を妨げるため避けます。観察項目は意識レベル(JCS・GCS)、瞳孔の左右差と対光反射、運動麻痺、バイタルサインで、術後出血は24時間以内、脳浮腫は24〜72時間でピークを迎えるため頻回の観察が必要です。
放射線療法中の看護
放射線療法では照射部位に放射線皮膚炎が生じます。紅斑・乾性落屑から始まり、進行すると湿性落屑・潰瘍に至ります。スキンケアの原則は、低刺激の石鹸で泡洗浄し、こすらず押さえ拭きとし、摩擦・直射日光・温熱刺激を避けることです。
重要なのは、軟膏塗布と照射のタイミングです。照射部位に軟膏が残ったまま照射すると、皮膚表面でビルドアップ効果が生じて線量分布が変化し、皮膚炎が悪化するうえ治療効果にも影響します。そのため軟膏は照射前に拭き取り、照射後に塗布するよう指導します。
化学療法中の看護と生活指導
抗がん薬の代表的副作用が骨髄抑制です。好中球が最低値(ナディア)となるのは投与後7〜14日頃で、この時期は易感染状態にあります。生活指導として、手指衛生、人混みでのマスク着用、生もの・未加熱食品の回避、37.5度以上の発熱時の速やかな連絡を伝えます。
ガーデニングや土いじりでは土壌中のアスペルギルスや細菌に曝露するため、手袋の着用と作業後の手洗いを徹底します。また性交渉では、感染予防に加え、抗がん薬が精液や腟分泌液中に排泄されパートナーへ移行するのを防ぐため、治療中から治療終了後数日間はコンドームの使用を指導します。
まとめ
脳腫瘍治療では、開頭術後は頭側挙上による頭蓋内圧管理、放射線療法では照射前の軟膏除去、化学療法では骨髄抑制期の感染予防が中心となります。これらの基本的な看護のポイントを押さえることが国試対策に直結します。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
脳腫瘍の手術後、頭蓋内圧亢進を予防するためベッドの頭側を度挙上する。
- 2.
頭蓋内圧亢進が進行すると、血圧上昇と徐脈を呈するが出現する。
- 3.
悪性神経膠腫の代表的な組織型で、放射線療法と化学療法の併用が標準治療となるのはである。
- 4.
放射線療法を受ける部位に軟膏を塗布する際は、に塗布するよう指導する。
- 5.
抗がん薬による骨髄抑制で好中球が最低値となるのは投与後およそ日目である。
- 6.
化学療法中の患者がガーデニングを行う際は、感染予防のためを着用するよう指導する。
- 7.
化学療法中の性交渉では、感染予防と抗がん薬曝露予防のためを使用するよう指導する。
- 8.
開頭術後の合併症のうち、術後出血は時間以内に好発する。
