麻疹の病態と対策
健康支援と社会保障制度 / 感染症対策と予防
解説
今回は麻疹の病態と対策について解説します。麻疹(measles)はパラミクソウイルス科に属する麻疹ウイルスによる急性熱性発疹性感染症で、感染力が極めて強く、合併症の頻度も高いため、公衆衛生上重要な疾患として国試で頻出となっています。
麻疹の感染経路と感染力
麻疹ウイルスは空気感染・飛沫感染・接触感染のすべてで伝播し、特に空気感染が主経路となります。感染力の強さを示す基本再生産数(R0)は12〜18とされ、これは既知の感染症のなかで最強クラスです。免疫を持たない人が同じ空間にいるだけでも感染が成立しうるため、医療機関では患者を陰圧個室に隔離し、職員はN95マスクを着用するなどの空気感染予防策が必要です。代表的な空気感染症である結核・麻疹・水痘の3疾患はセットで覚えておきましょう。
臨床経過と特徴的所見
麻疹の臨床経過は4期に分けられます。潜伏期は10〜12日で、続くカタル期では発熱・咳・鼻汁・結膜充血といったかぜ様症状が出現します。このカタル期の終わりに頬粘膜にみられる白色小斑点をコプリック斑といい、麻疹の早期診断に有用な特徴的所見です。その後一旦解熱したのち再び発熱し、耳後部から発疹が全身へ広がる発疹期に入り、最後に回復期へと移行します。
合併症
麻疹は合併症の多い疾患で、肺炎や中耳炎のほか、約1,000例に0.5〜1例の頻度で脳炎を生じます。さらに感染から数年後に**亜急性硬化性全脳炎(SSPE)**を発症することもあり、予後不良の重篤な合併症として知られています。
ワクチンによる予防
日本では2006年から**麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)**の2回定期接種が導入されており、第1期は1歳、第2期は小学校就学前の1年間に接種されます。2015年にWHOは日本を麻疹排除国と認定しましたが、海外からの輸入例による散発的流行は今も続いており、ワクチン接種率の維持が重要です。
まとめ
麻疹は麻疹ウイルスによる感染症で、空気感染を主経路とし基本再生産数12〜18と極めて感染力が強い疾患です。カタル期のコプリック斑、発疹期の二峰性発熱と発疹が臨床的特徴で、脳炎やSSPEといった重篤な合併症を起こしうるため、MRワクチンの2回定期接種による予防が公衆衛生上きわめて重要となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
麻疹の主たる感染経路は飛沫感染や接触感染にも及ぶが、最も重要な経路は感染である。
- 2.
結核・麻疹・水痘はいずれも空気感染で伝播し、対応する個人防護具としてマスクの着用が必要となる。
- 3.
麻疹の感染力の強さを示す基本再生産数(R0)はとされ、既知の感染症のなかで最強クラスである。
- 4.
麻疹のカタル期に頬粘膜にみられる白色小斑点をといい、早期診断に有用な特徴的所見である。
- 5.
麻疹の合併症のうち、感染から数年後に発症し予後不良とされる中枢神経合併症をという。
- 6.
日本では2006年から麻疹風疹混合ワクチン(ワクチン)の2回定期接種が導入されている。
- 7.
MRワクチンの第1期接種は歳児を対象に行われる。
- 8.
MRワクチンの第2期接種はの1年間に行われる。
